どうもこんにちは、だいさくです。
シンバイオの株価が下落してますね・・・
まぁシンバイオに限らず全体的に日本の株価は下落気味ですが・・
実はですね、僕のバイオベンチャー系のブログ記事が、
YAHOOファイナンスのアプリ版で紹介していただいているみたいで、
そちらから僕のブログを読んでいただける方も少しいらっしゃるみたいなんですよね。
まぁ現役の製薬会社の社員から発信される内容はまぁそれなりに有意義なのかなぁと思ったり。
と言う事で、今日はシンバイオの株価が下落してる理由について考察してみたいと思います。
シンバイオの株価が年初来最安値・・理由を現役MRが考察してみる
シンバイオの株価は本日(2019年8月8日)、年初来の最安値を記録して、
終値が579円となりました。
何を隠そう僕もまぁまぁシンバイオの株は保有しておりますので、
結構しんどいくらいの含み損を抱えております・・・
シンバイオの魅力をおさらい
まず現在の下落状況の考察の前に、
シンバイオが魅力的な点を簡単に振り返ってみたいと思います。
まずトレアキシンの存在ですが、トレアキシン(一般名ベンダムスチン)は、
現状でも向かい風がほぼありません。
一番多く使用されているFLにおいて新薬の治験もトレアキシンベースで行われており、
しっかり日本のガイドラインにも記載され、向かう所敵なしの状況ではあります。
またDLBCLという血液がんの中で一番患者数の多い疾患においても、
治験が進んでおり、症例登録が完了したと報告されています。
抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®」の 再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした 第III相臨床試験における症例登録完了のお知らせ
DLBCLの適応追加が行われたらかなりすごいと思います。
凍結乾燥剤からの切り替えとエーザイの切り離し
現在シンバイオは、ベンダムスチンのRTD製剤とRI製剤を開発しており、
それは開発に関しては恐らくうまく行くと思います。(そんなにハードルが高くないので)
元々のトレアキシン(凍結乾燥剤)だけでも、
130億程度は薬価ベースで売上があげられると思いますが、
2020年に特許が切れますのでうまくそちらに切り替えて行く必要があると思います。
ただ、これまでの日本の状況を考えるとすぐに後発品に食われると言う感じではないので、
とりあえず目先の利益は確保でき、2021年の黒字化は達成できるのではないかと考えられます。
ちなみに2021年の黒字化が達成できなければ上場廃止になってしまうので、
今回の株価下落に関してはちょっとドキドキものですね。
また2020年からコプロモーションをこなっているエーザイを切り離し、
シンバイオが自販体制を敷くことも発表されています。
シンバイオがついにエーザイ離して自販体制開始!現役MR目線で書いてみる!
現状売り上げの半分をエーザイの献上しているので、
切り離すことによって全て利益がシンバイオに計上されます。
また、MDSへの治験も進んでいるのでその辺など詳しい情報はこちらの記事をご参照ください。
シンバイオの株価下落の理由は3つ
ここまでだとRTD製剤への切り替えなど今後の課題もありますが、
トレアキシンは適応疾患の全てで標準治療と位置付けられ、いわゆるシェアも伸びています。
エーザイを話すことによって利益もしっかり確保できそうです。
では、そんな好調に見えるシンバイオ ですが、
ここにきてなぜシンバイオの株価はここまで下落しているのでしょうか。
その理由は2つあると考えております。
1、株式併合
2、大幅な赤字計上と業績の下方修正
・自販体制の歪み
・トレアキシンの不良品
1、株式併合
シンバイオは2019年7月1日に株式併合を行なっております。
4株を1株に併合することによって、株価の調整を行いました。
なので併合するまでは180円前後の株価が単純に4倍720円となる予定でしたが、
株式併合というのは一般的に良いイメージがなく、
見かけ上の株価は上がりますが、当然企業価値は変わりませんし、
公式発表では色々書いてありますが、
(発行株式が多すぎる、最低購入価格の基準に合わせるなど)
株式併合の後は株価は下がることの方が多いと言われています。
その理由は明確にわかっておりませんが、
一般的に業績の悪い会社が株式併合を行うことが多く、
株式併合=この会社は苦しいというイメージがあります。
そのため株式併合を行なった後は720円程度にならなければならないとこr、
早々に600円代に突入してしまいました。
2、大幅な赤字計上と業績の下方修正
シンバイオは2019年第2四半期(19年1月〜6月)の決算を発表し、
売上高20,04億円(前年同期比4%増)
営業損失20,15億円(前年は13,24億円で、6,91億損失増加)
経営損失20,69億円(前年13,77億円で、6,92億損失増加)
四半期純損失20,69億円(前年13,88億円で、6,81億損失増加)
と、大幅な赤字計上を行っています。
自販体制の歪み
前述のように前年と比べ売上高は増加しているが、損失は大幅に増加してます。
この理由を自分なりに考察してみたいと思います。
それが自販体制の歪みというところです。
シンバイオは現在20人の専門MRで稼働してますが、
自販体制を敷いてみたものの、営業が定着せず、
人の出入りが激しいという話は聞こえています。
人を一人雇い、また入れ替えるだけでも相当なコストがかかります
立ち上げ系あるあるで、
経営陣の思ってるようには人は動かないというのがあります。
すでに出来上がっている(成功してる)トレアキシンを、
もっと売ってこい!
RTD製剤への切り替え準備!
みたいな仕事って全然面白くないと思うんですよね。
しかも採用してる人材は基本的に専門部隊なので、
それなりにキャリアがある人だと思います。
人間はロボットではないので、
会社の黒字化のためにこれをやれ!と言っても中々前向きに動いてくれないものだと感じます。
営業が面白いのはトレアキシンの市場を作って行くのが本来であれば面白いはずで、
出来上がってる市場を守り、
且つ、RTD製剤などへの切り替えが主な仕事はやっぱり面白くはないのではないかと感じます。
今では無いと思いますが、
先発品メーカーが後発品の参入を防ぐために頑張る仕事に似てるのかなと想像します。
人間のモチベーションは停滞や維持からは生まれないので、
日々少しでも成長している、
前へ進んでいる事を実感しないと営業に限らずモチベーションは維持できないと思います。
なので、今のシンバイオ の仕事はこうであるが、
将来としてはこうなる、そうなった時に君たちの頑張りはこのように貢献され、
君たちにはこのような未来が待っている、だから頑張ってくれ!
という事を伝えていかないと、今のシンバイオでしっかり前向きに働いてくれてる状態、
人の出入りが激しく無い状態は作っていけないのでは無いかと思います。
人を雇うのはとても大きなお金がかかるので。
良い意味でも悪い意味でもカリスマ社長のワンマンぶりが出ているのでは無いかと、
第2四半期の大幅な赤字計上から想像してしまいます。
※もちろん人件費だけでなく、販売費、一般管理費、臨床試験費用の発生も理由としてあげられています。
大幅な下方修正
シンバイオは第2四半期で大幅な赤字計上を行いました。
また、先日これまた大幅な2019年12月期の通期予想に関して下方修正を発表しました。
理由としてはトレアキシンの不良品が原因です。
トレアキシン100mg製剤において、異物の混入及び外観不良が認められました。
これを受け、不良品を含む全てのバッチ(ロットのようなもの)を返品。
また第二四半期以降の出荷を予定していたバッチの一部が年内に出荷できず、
2020年の第1四半期に遅延する可能性があることもあり、
通期の業績予想を修正しました。詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
正直、この2020年の第1四半期に遅延する可能性という部分がよくわからなかったんですが、
その期間は供給ができないということでしょうか。。
もしそうならかなり自体は重いですが、
これだけ世界でも日本でも使われている製剤なので、
多分その心配はないと思うんですが、気がかりではあります。
グローバルは適当である
シンバイオのような自前で開発をしない会社だと、
世界のどこかで作っている製剤を輸入しているわけです。
トレアキシンはアステラスドイッチランド(アステラスのドイツ法人)から輸入しているわけですが、
国内企業だとこの辺のリスク管理がしっかりされており、
不良品の発生は信頼を著しく落とすためとても厳重に管理されており、
日本で製造するように努力してる日本の会社は多いと思います。
ただ、ライセンスインしてる外資系だと海外から輸入してるケースが多く、
そのケースはこう言った不良品や、承認条件と異なる製剤を輸入していたりする問題が、
本当に多いです。どことは言いませんが見飽きるほど起きてると思いますし、
そのたんびに現場のMRが疲弊しきってるのを見たことが幾度となくあると思います。
トレアキシンは過去にも25mg製剤が今回と同様に外観不良で返品扱いされています。
かなり抗議したとシンバイオ 側から発表されてますが、
抗議しても中々治りません。
かと言って日本で製造するのもコストがかかりますので難しい問題です。
この場合はアステラスドイツに訴訟し、損害賠償を請求するというのも中々難しいものです。
供給不安というのは日本の医療機関はとても嫌がりますし、
そう言ったことがあると一気に信頼を落として使われない薬剤になってしまう可能性もあります。
この辺はしっかり改善してもらいたいですね。
まとめ
だらだらと書いてまいりましたが、
現状のシンバイオの株価下落の原因をまとめると、
・株式併合
・第1四半期の大幅赤字計上
→原因は自販の歪みか!?
・トレアキシンの不良品
→海外輸入製剤あるあるではあるが死活問題
本当に前途多難ではありますが、
トレアキシンがとても良い製剤なのは間違いないので、
しっかり日々学び修正を繰り返していただきたいと思います。
小さなことを疎かにすると大きい痛い目にいつか合うのではないかと、
今のシンバイオを見ていると思ってしまいました。
せっかく良い製剤を開発し、成功しているのにもったいないと。
一応株主なので、そんなことを思いました。
ではまた!
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