薬価改定と新薬不足の影響で中堅内資製薬がマズイ・・

製薬業界の今後

どうもこんにちは、だいさくです。

いよいよ中堅規模の内資系製薬会社の状況がまずそうです。

以前にも同じような記事を書いたんですが、

MRの今後はバイオベンチャーか内資系メガファーマしか残らない?

本格的に中堅規模の内資系製薬会社が淘汰されてしまいそうな予感がしてしまいます。

薬価改定と新薬不足で中堅内資がいよいよマズイ状況に・・




僕もこれまでの記事の中で何回も書いておりますが、

現在のプロモーションGLができるきっかけとなった、

武田のCASE-J問題やノバルティスのディオバン事件を指して、

厚労省から日本には製薬会社の数が多いという、下記のような指摘が界隈の方からされていました。

「日本にはそもそも製薬会社の数が多い。そのため同じような薬効の薬剤が多く出てしまい、不適切な争いが起こりこれまでのプロモーション違反に繋がっている」という。

しかし一方で、それ以前(10年ほど前)には、後発医薬品を国として導入しなければならないが、

後発医薬品に対する信頼性の欠如が取り上げられ、

その中で今のAGのようなビジネススタイルが提案されましたが、

「後発品メーカーの雇用が失われる」という理由で却下されています。

それから10年経った今普通にAGが台頭しており、

日本の国内売上高TOP200にもAGが入るようになってきています。

【2018年度 国内医薬品売上高ランキング】

107位:カンデサルタン→あすか製薬(武田薬品子会社):先発武田

108位:モンテルカスト→キョーリン:先発キョーリン

今ままで後発品が日本の医薬品売上高TOP200に入ってくることは稀有で、

先発品メーカーのお墨付きAGが出てきたことでかなり促進されるようになりました。

Meiji Seikaファルマや第一三共エスファ、協和キリンフロンティア、あすか製薬、武田テバなど、

先発品メーカーの息がかかったAGメーカーが昨今台頭してます。

何が言いたいかというと、10年前に言われていたような、

「後発品メーカーの雇用が失われる」というのはもうどうでも良い状況になってると言えます。

中堅内資がマズイ理由は大きく2つ

これまでは製薬会社の数が欧米と比べても多い状態であったんですが、

日本国自体がまだ潤っていたのもあり、いわゆる雇用を守られている状態でありました。

しかし、今後はどんどん淘汰されて行く時代に入っていき、

新薬をしっかり創出できる開発力のある会社(パイプラインが充実してる会社)、

もしくはそういった会社を買収できるお金のある会社しか生き残ることができないというのは、

これまでも書かせていただきました。

そう言った意味では、

新薬がしっかり創出できて、

例えば後ろにビックな投資家や会社がついていて販売提携をとってこれる会社であれば、

規模に関わらず生き残りはできると思います。

ただ、それができない会社がどうしても中堅の内資系が多いのが現状です。

なので中堅の内資系がマズイ理由の1つ目は新薬を出す、もしくは買うお金がないということです。

2つ目の理由は薬価改定

2018年度に薬価改定の抜本改革が行われました。

きっかけは小野薬品の「オプジーボ」の登場でしたが、

実際この改革により小野薬品のオプジーボの薬価は薬価収載時と比較して76%安くなりました。

薬価収載時 2018年11月より
100mg 72万9849円 17万3768円
20mg 15万200円 3万5766円

これはこう言った高額な医薬品が登場したことによって、医療費の高騰を未然に防ぐ目的で、

これまで2年に1度の薬価改定であったのが、

1年に1度毎年薬価改定にすることが決まりました。

実は薬価改定に一番影響を受けているのは長期収載品




この薬価改定の改革ですが、

「オプジーボのようなパターンの高薬価新薬の適応追加による、医療費の高騰を未然に防ぐ」

厚労省からのこの大義名分をそのまま受け取ると、

この薬価改定で影響を受けているのは高薬価の薬剤を扱っている先発メーカーという気がしますが、

実際小野薬品は肺がんの適応追加の恩恵も少しはありますし、

影響度14%程度ありますが、その分売上額も増えており、

この薬価改定の影響はほとんどないと述べられています。

それでこの薬価改定の改革で一番影響を受けているのが「長期収載品」なのです。

2018年の薬価改定では、薬価ベースで平均7.48%の引き下げが実施されました。

特に影響を受けた(7.48%以上の影響を受けた)と言われている会社が、

杏林製薬8%弱、持田製薬9%台、科研製薬8%台後半、久光製薬7%前半、キッセイ薬品10%台、日本新薬8%台です。

2018年の時は特に新薬創出加算ルールの見直しが大きく影響しており、

上述したような新薬を出せてない会社は軒並みこの薬価改定の改革に巻き込まれています。

※ちなみに、その中堅内資の中でも参天、大鵬、帝人、旭化成に関してはそこまで影響を受けていませんでした。

この状況はもっと酷くなる

上述の通り一部あまり影響を受けてない会社もありますが、

新薬が出せず、長期収載品を多く持つ会社としてはいわゆる中堅内資が多く挙げられてしまうのです。

なので、ここまでをまとめると、

新薬を出せない、買収できる資本力がなく長期収載品を多く持つ会社には、

もっともっと厳しい状況が訪れることが予想されています。

薬価改定の抜本改革の本当の意図(私見)

薬価改定の抜本改革の本当の意図は、

「オプジーボのようなパターンの高薬価新薬の適応追加による、医療費の高騰を未然に防ぐ」

ではないと僕は思っております。(その意図ももちろんある)

どう考えても薬剤費の削減です。

実際消費税増税に伴い緊急的に行われた2019年の10月に行われる薬価改定では、

増税されるにも関わらず、薬価ベースで500億円程度の薬剤費の削減が見込まれています。

厚労省と密接に関わる財務省の示唆では、

2020年度の日本国の高齢化社会における社会保障費の自然的増額は5300億と言われており、

その財源を薬剤費を500億削減することで捻出しようというのがみえみえです。

しかも!

2019年10月の改定は増税に伴う緊急的なものでしたが、

2020年4月にも改定は通常通り行われます。

その際はさらに薬価を下げる方針が打ち出されているんです!!!

安倍政権の「充実の社会保障制度の確立」という高齢者向け施策を実行するには、

薬剤費を削減して捻出するというのが一つの方法になっています。

薬価改定の抜本改革にクレームを入れたのは外資だけ

ちなみにですが、今回の薬価改定の抜本改革が決まった際にクレームを入れたのは、

イーライリリーの米国の会長、MSDの米国の社長、ファイザー日本法人の社長だけです。

その主な理由は「創薬への意欲を削ぐ」というものです。

ちなみに大体どれくらいまで薬剤費って下がるのかなというところですが、

欧米の今の基準が、全体の医療費支出のうち薬剤費が10%弱を占めており、

日本はそれが20%程度になります。

なので他への言い訳(外資系への)が効くレベルだと日本の医療費の中で薬剤費が占める割合を、

10%程度になるまで削減するのではないかと思います。

なぜ日本の製薬会社が何にも言わないのかはわかりませんが、

そういった外資系へのExcuseの観点からも、

日本の医療費全体の10%程度(欧米と同じ基準)かなと。

まとめ

今回の記事の内容まとめますと、

・日本には製薬会社の数が多く、それ故の違反があった

・後発品浸透のためAG台頭

・薬価改定の抜本改革は高齢化社会の社会保障費財源の捻出(私見)

・長期収載品がメインの会社は非常にマズイ

という感じです。

今回書いていてちょっと思ったのは、

日本の医薬品ビジネスが儲からないとなると、

外資系が日本に投資してくれなくなって、

外資もちょっとマズイ感じになるのかなぁとも思ったりしちゃいました。

MSDも投資先を中国に移すとか報道されてましたしね。。。

ではまた!




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