【精神腫瘍科】清水研先生の「もしも1年後、この世にいないとしたら」を読んで欲しい!

おすすめ本書評

どうもこんにちは、だいさくです。

NCCN(国立がん研究センター中央病院)の、

精神腫瘍科長の清水 研先生が2019年10月に出版された書籍である、

「もしも1年後、この世にいないとしたら」

 

こちらを読了致しましたので、書評を書いて参りたいと思います。

【書評】清水研先生の「もしも1年後、この世にいないとしたら」を読んで欲しい!




「精神腫瘍科」ってオンコロジー領域以外の方はあまり馴染みがないかもしれませんが、

簡単にお伝えすると、がん患者さん専門の精神科医(心療内科医)の事になります。

僕が約10年ほど前にオンコロジー領域でMRを始めて、

その何年か後にこの「精神腫瘍科」という領域が物凄い勢いで発展してきて、

恐らく過去に精神腫瘍に関するご講演を講演会で企画された方も多いんじゃないですかね。

しかも精神腫瘍科を併設してる病院ってNCCNのような専門施設くらいしか無いと思うので、

がん治療医の先生方からもとても好評な講演だった記憶があります。

こちらの本、2019年の10月に出版されておりまして、

僕はたまたま通勤してる電車の吊り革広告的な所でお見かけしまして、

そしたら「あの清水先生が書いてる!」と思って速攻でポチって購入してみました。

自分が死ぬ時の事を想像するとても良い機会になる本

著書の中で一般の方よりもがんになった方の方が、

鬱などの心の病にかかる率が、

24倍になるというデータが紹介されています。

僕はとても大切な事だと思いますが、

表現の方法にちょっと問題有りとの事で、芸人の小藪さんのポスター炎上してましたが、

人間は全員死ぬって事を覚えておき、

その時の事を考えておく事ってやっぱ大切だと思うんですよね。

このブログでも何度か書いてるんですが、

僕はほぼ毎日癌の話をしてきたので、一般の人よりも自分が死ぬ事に関して敏感だと思っています。

死ぬときに後悔する5つの事は本当なのか看護師さんに聞いてみた

んで、調べてたら、あながち「死」を意識したり、

考えてみる事って悪い事ではなくて、むしろめっちゃ良い事なんですよね。

この本の最初に、

”僕が死を考えるのは、死ぬためじゃない。生きるためなんだ。”って書いてあるんですが、

この本はこれまで3000人以上のがん患者さんと対話してきた清水先生の集大成のような本で、

この本を読んだ後は、

暖かい人間でありたいと思うし、

今ある命に感謝して一生懸命悔いのない人生を生きたいとやっぱり思うし、

36歳の自分が今健康でいられることに感謝することができると思います。

ちなみに、とても読みやすい本です!

本読むの苦手という方でも全くストレスなく読めると思います!

目次




こちら目次です。細かい部分を記載すると長くなってしまうので、

大枠を記載しております。

はじめに
〜大切な事を先延ばしにしていませんか〜

序章
がんは体だけでなく心も苦しめる

第1章
苦しみを癒すために必要なのは、悲しむこと

第2章
誰もが持っているレジリエンスの力

第3章
人は死の直前になって、心のままに生きてないことに気づく

第4章
今日を大切にするために、自分の「Want」に向き合う

第5章
死を見つめることは、どう生きるかを見つめること

おわりに
〜「死」を意識して初めて生きることの「光」に気づく

この本を読んで印象に残った事

この本を読んで僕が印象に残った事を書いていきたいと思います。

小難しい話では全然なくって、

個別のタイプの違う患者さんベースのお話なので、わかりやすいと思います。

悲しが苦しみを癒す

著書の中で、

「医師として、自分がその人の苦しみを取り除かなければならないと思い込んでいた」

とあります。

しかし、多くの臨床を診ていく過程で、

人は悩みと向き合う力(レジリエンス)を持っている事を実感したとあります。

清水先生は今の苦しみをどう取り除くかというより、

レジリエンスを育むために、私は何ができるか?ということに気づいたそうです。

そのレジリエンスの過程で実は大切なのが、

悲しむことだったりするんだそうです。

悲しむことで苦しみを癒すことができて、

まず悲しめるということ自体がレジリエンスを育むためにとても大切なことだそうです。

なんとなく、悲しんでる時って絶望を感じたりしているかもしれませんが、

悲しんでるという事は、苦しみを乗り越えるための1stステップなんだなぁと思うと、

自分が何かで悲しんだり、親しい人が悲しんでいることも、

なんとなく前向きに捉えられることが今後できるのかなって思いました。

27歳でスキルス性胃癌になった患者さん

本の中盤に27歳でスキルス性胃癌に罹患された患者さんのお話が出てまいります。

両親よりも早く死んでしまう自分、

なぜ自分がこの病気に・・

色々と葛藤と怒りと悲しみが入り混じっていきます。

自分のそんな気持ちと向き合うために本屋さんで本を読んでみると、

本というのはほとんどが長生きする事を前提として書かれており、

「10年後」がないのになんのために今生きるか?という問いに出会います。

そして、実は自分も将来のために生きてきたという事に気付き、

逆に言い換えると将来のために今を犠牲にしてきたのではないかと感じます。

今、様変わりした現実をどう生きていくか?という前向きな考え方に変わっていくのですが、

逆に将来を考えすぎて生きづらさを感じている方とかに心にしみるお話かと思いました。




人は死の直前になって心のままに生きていない事に気づく

この本のテーマはきっとこの部分ではないかと思うのですが、

清水先生が、

「がんを体験された方の物語から学ぶ事で、自分の人生の羅針盤が定まりうる事」

それをお伝えすることができるのではないかと仰ってる部分があります。

誰かに求められたmustの自分ではなく、

wantの自分を大切にしようっていうの話が所々出て参ります。

でもまぁこういたマインドで生きるのって難しいよなぁとか思いながら読んでる自分が、

いるのはいるんですが、

がんになり、自分の余命がいくばくかの命だと分かった方が、

感じる事なのできっと真実なんだと思うんですよね。

死ぬと分かっていても人は精一杯生きるものだって仰っている部分の患者さんのお話なんかは、

ちょっと涙が出てきてしまいます。

最後に

何となくこの本の良さがお伝えできましたでしょうか。

僕はがん治療医の先生から、一番辛いのは、

治療薬がなくなった時っていう言葉をお聞きしたことがあって、

こういった患者さんの人生の中で抗がん剤ってどのような存在なのかなぁって考えました。

「患者」って一つの概念ではやっぱりないから、

個々の患者さんを想像する力っていうのはとても大切なんだなぁって思いました。

がん患者および、その家族ががんに罹患することで起こる苦しみを理解すること、

そしてその苦しみをどう克服していくかというのがテーマでもあると思います。

気になった方是非年末にでも読んで見てください!

ではまた!

 

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