【書評】「がん」はなぜできるのか、絶対読んで欲しいです!

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どうもこんちは、だいさくです。

2018年の11月頃に、国立がん研究センター研究所(以下NCC)から、

「がん」はなぜできるのか〜そのメカニズムからゲノム医療まで〜

という本が出版されました。

僕は年末に読もうかなと思ってたんですが、

ここまでズルズルと来てしまいました。

全国のNCC(National Cancer Center)のコンビニとか書店に置いてあるとの事なので、

既に読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、

もし読んでいない方いらっしゃったら是非読んで欲しいです。

やっぱオンコロジーって凄い面白いと思わせてくれる本ですし、

なんていうかオンコロジー領域の方の教科書になるような本だと僕自身は思いました。

かなりのボリュームですが、1,100円で購入できます。

この本で学べる事




後の方で、印象に残った部分という事で詳しく書かせていただきますが、

抗がん剤の歴史、がん発生の原因、がんの発生から成長、浸潤、転移に至る、

「がん発生の自然史」の理解とそのメカニズムの解明がとてもわかりやすく書いてあります。

そして最近の研究成果による、「がんゲノム進化」の現象、

そしてエピゲノム異常まで網羅的に、しかもわかりやすく書いてあります。

内容は分子標的から、次世代シークエンサー、核酸医薬品に至っています。

「がん」はなぜできるのか、って素朴で単純な疑問ですが、

このシンプルな疑問は、

がんを克服するために求められる本質的な課題を提起してくれるんだなと思います。

冒頭に現国立がん研究センターの理事長である中釜先生から、

本書を手にしていただくことにより、「がん」という複雑で難敵な病態の理解が一層深まり、がんを克服し、がんと共生できる社会が近い将来に実現できることを期待しています。

とあるようにこの本は日本人に広く読んでもらうために書かれた本だと思います。

以下目次になります。

相当長くなってしまいますが、

是非興味を持っていただきたいので全文記載いたします。

個人的には、第3章、5章、6章、8章が面白かったです。

「がん」はなぜできるのか:目次

第1章:がんとは何か?

・細胞の増殖が腫瘍を作る
・悪性腫瘍の3つの特徴ーがんの定義に代えて
・癌と肉腫は何が違うのか?
・さまざまな種類がある血液のがん
・浸潤と転移
・医師はどのようにしてがんを診断するのか?
・がん細胞と正常細胞の違い
・骨に残る最古のがん
・浸潤と転移に関わる遺伝子
・がん遺伝子の発見
・精鋭部隊の中のうそつき
・発見当時はがん遺伝子だと思われたP 53
・がんのメカニズムの解明で治療が進歩した

第2章:どうして生じるのか?

・遺伝子変異で何が起こるのか
・一つの遺伝子変異ではがんにならない
・もっと大きな変化「染色体異常」
・細胞は全力でDNAの傷を治す
・化学物質による発がん
・化学発がんと突然変異の関係
・カビ毒の成分ががんを引き起こす
・放射線は2通りの仕組みでDNAを傷つける
・最近、ウイルス、寄生虫もがんを引き起こす
・再び遺伝的要因について
・1日でヒトゲノムを全解読できる次世代シーケンサー
・がん細胞には驚くほどたくさんの変異が蓄積されている
・多型とは何か?
・がんの原因が違うとゲノムの変異のパターンも異なる
・ゲノムの変異シグネチャーから化学発がんに迫る
・がんに共通する遺伝子変異はあるか
・ゲノムの観点から見たがんの生成過程
・がん細胞は進化する
・ゲノム解析でがん研究は新たな時代へ

第3章:がんがしぶとく生き残る術

・がんの芽はいつでも誰にでもある
・がん細胞にも免疫の仕組みが働く
・がん細胞を監視して破壊する細胞たち
・免疫の壁を突破するまでの3段階
・がんは全身の免疫機能を抑え込む
・攻撃にブレーキをかける細胞がある
・日本でみつかった免疫チェックポイント分子
・攻撃を無力化する免疫チェックポイント分子
・長い歴史を持つ、がん免疫療法
・第四世代から次世代免疫療法に有望な新顔登場
・初の免疫チェックポイント阻害剤が登場
・誰にどう使うか、いつやめるか、併用効果は?

第4章:がんと老化の複雑な関係

・細胞老化と個体老化
・個体から解放された細胞は不死化する?
・細胞の分裂回数には限界がある
・テロメアは「細胞分裂時計」
・テロメア長を維持するテロメラーゼの発見
・テロメラーゼを標的としたがん治療
・TERTの別の機能を標的とする新たな戦略
・細胞老化の原因はテロメア短小化だけではない
・改めて、なぜ年をとると発がんリスクが上がるのか
・そして「がん予防」の時代へ

第5章:再発と転移

・転移や再発の原因は「がん幹細胞」?
・白血病で解析が進むがん幹細胞
・がん幹細胞治療の進展
・がん幹細胞の誕生
・転移する能力を獲得するとき
・転移の本質に迫る
・転移しやすい場所はあるのか
・がん細胞はどうやって動くのか
・足場を失っても死なないがん細胞

第6章:がんを見つける、見極める

・早期発見で根治を目指す
・現在のがんの発見と診断の方法
・今ある「腫瘍マーカー」ではがんを早期発見できない
・ストレスの程度を知り、がん予防につなげることも
・miRNAを運ぶ「エクソソーム」の大事な役割
・がん細胞のおしゃべり”miRNA”に耳を傾ける
・色々な役割を持つmiRNA
・がんとmiRNA
・エクソソームとがんの転移
・実用化に向けて動き出したmiRNA診断

第7章:予防できるのか?

・リスクを知り、リスクを減らす
・がんの原因の多くは生活習慣病
・日本では感染によるがんが多い
・どんな生活習慣がどんながんに関与するのか
・5つの健康習慣によりがんのリスクがほぼ半減
・薬でがんを予防する「化学予防」
・ドラッグ・リポジショニングによる予防薬開発
・アスピリンが大腸癌を予防する
・日本人ではどうか
・アスピリンによるがん予防は喫煙者では逆効果?
・なぜアスピリンが大腸癌を抑制するのか
・国内初のがん予防薬を世に出すために

第8章:ゲノムが拓く新しいがん医療

・はじめは偶然見つかった抗がん剤
・細胞障害性抗がん剤と分子標的薬
・チロシンキナーゼ活性を抑える分子標的薬
・乳がん治療は個別化へ進む
・さらに広がる分子標的薬の選択肢
・副作用と治療抵抗性が問題に
・がんの原因になる融合遺伝子を探せ
・遺伝子解析して治療薬を作る時代
・がんの分類は原因遺伝子を根拠に
・がんゲノム医療提供体制の構築
・細胞内で遺伝子直接働く核酸医薬
・拡散医薬には良い運搬役が不可欠
・それでも生き延びるがんの環境適応術
・抗がん剤治療が難しい理由
・がんゲノム医療がついにスタート
・がんゲノム情報を集積する拠点が誕生
・がん制圧は夢ではない

個人的に印象に残ったところ




基礎的な部分は懐かしいなぁって感じだったり、

実は分かっているようで分かってなかったなぁという部分があったりしました。

個人的に印象に残った部分は沢山あるんですが、抜粋してお伝えさせていただきます。

チロシンキナーゼ活性を抑える分子標的薬

分子標的薬って、何らかの原因で変異が生じている、

ある受容体に特異的に作用することで、

アポトーシスを誘導する的なイメージ持ってたんですが、

例えばハーセプチンって、細胞の表面のHER2タンパク質に結合して、

膜の内側の細胞質部分にあるTS(チロシンキナーゼ)活性の働きを抑えることで、

細胞の異常増殖を抑制するんですね。

しかも、今ある分子標的薬のほとんどが受容体に結合してTSの活性を抑えるんだそうです。

分子標的とTSの活性が関係してることは初めて知りました。

ADCC活性

ADCC活性って、オンコロジーのMRやってると結構な頻度で聞くと思うんですが、

僕は分子標的が受容体に作用した時に相乗的に発生する何かみたいな感じで、

適当に解釈してたんですが、結合部位の反対側でNK細胞や単球の受容体部分と結合して、

これらを活性化する働きなんですね。

抗体依存的細胞障害の略がADCC活性と呼ばれるそうです。

本書では図を交えて非常にわかりやすく解説されています。

Cancerの由来

Cancerって「がん」という意味と「カニ」って意味があります。

がん研有明病院のマスコットがカニになってますが、

紀元前400年頃にギリシャ語で「カニ」を意味する「カルキノス」が由来だそうです。

「がん」をなぜ「カニ」と読んだかについては諸説あるそうですが、

手術で取り出した腫瘍組織の様子がカニを連想させたからだという説や、

乳がんが皮膚に達した時にできる「ひきつれ」の形がカニに似ているから、

という説が伝えられているそうです。

どこかで使えそうなトークになりそうですよね。

今後期待の持てるのが核酸医薬品

今期待の持てるがん治療薬が核酸医薬品だそうです。

え!?がんに核酸医薬品?と思ったんですが、

特に乳がんに使うドセタキセルの耐性に関与してるRPN2を阻害するのが、

siRNAというRNA干渉法だそうです。

RPN2というのは細胞のかなり奥にあるそうで、核酸医薬品でないと届かないそうです。

核酸医薬品は細胞に到着するまでに分解されてしまうので、

それをペプチドでくるんで運搬する薬剤の治験がスタートしているそうです。

がん克服のためにアプローチ方法って沢山あるんだなと思いました。

最後に

僕はなかなか本の書評を書くのが苦手で、

お伝えできたか不安ではありますが、

この本はがんの薬剤治療の教科書的な本だと思います。

難しいことがわかりやすく書いてあります。

オンコロジー領域の方は読んでみて絶対損の無い本だと思います。




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