どうもこんにちは、だいさくです。
2020年度の薬価削減額の骨子が閣議会を通過したようですね。
昨今の製薬会社虐めとも取れる薬価削減に関しては、
これまでもかなり沢山の記事を書いて参りました。
2019年度は増税にも関わらず、薬価が500億下げられました。
そして2020年度はもっと下げるよ〜と事前にアナウンサされていたのですが、
1095億円下げられる事がほぼほぼ決まったようなので、
今日はその辺に関して思った事を書いて参りたいと思います。
2020年度の薬価削減額が1095億円に決定!どんな影響があるのか考えた
薬価の削減って調べてみると2018年、2019年と、
かなりドラスティックに下げられています。
削減額(国費ベース) | 削減率(薬剤費ベース) | 備考 | |
2018年度 | ▲約900億 | ▲7.48% | オプジーボが23%下落 |
2019年度 | ▲約500億 | ▲4.8% | 2%の増税有り |
2020年度(予定) | ▲約1095億(予定) | ▲4.38% | 閣議会通過(2019/12) |
基本的にはどの年も長期収載品がやはり対象になっているのですが、
高薬価の抗癌剤、例えばオプジーボやリツキサン等々もドラスティックに下げられています。
なぜ薬価ばかりが狙われるのか
今なぜ薬価がこんなにも下げられているのか?という部分ですが、
こちらも、下記の記事の振り返りになりますが、
今日本は本格的な超高齢化社会に突入しており、
ピークは2025年度と言われています。
そして、2025年度までにその高齢者への社会保障費として、
毎年毎年約5000億円程度が純増されると予想されています。
その純増されるお金を何かで賄わなければならないのですが、
医師の働き方改革も進めなければならず、診療報酬は下げられない、
選挙で負けてしまうために高齢者の医療費負担は増やせない、
とりあえず民衆が関係無さそうで、むしろ下げたら喜びそうな、
薬価を下げよう!となっているわけです。
でも外資系製薬会社が「イノベーションの阻害」を理由にかなり怒っているので、
その辺は体裁を保ちつつ(実際はあんまり保ててない)、
最近は長期収載品がターゲットになり、
なりふり構わないAG促進運動も加速していると考えられます。
とにかく高齢者は守る!選挙のために!
ただ、実は薬価をターゲットにするのも限界がきていて、
もうこれ以上無理〜という段階まで秒読みと言えそうなんですよね。
一応財務省の発表では薬価をターゲットにするのは、
2022年までのようなことが資料に書かれていました。
なげ〜って感じですね。
そして今フランスの制度を参考に「外来薬剤定額負担」というのが検討されています。
これは2020年度の導入は見送られておりますが、
それ以降はかなり具体的に導入が検討されているようです。
これは簡単に言うと、外来で処方される薬剤に対して、
疾患別に定額の負担を求めると言うものなのですが、
はっきり言って大して金額的なインパクトは無さそうに見えます。
個人的にはこの取り組み自体が高齢者の負担を少しでも増やしていますよ〜と言う
パフォーマンスにみえます。
しかもこのインパクトの少ないパフォーマンスにさえ、医師会が反対しているらしいです。
そして、後期高齢者の負担額を1割から2割に増やす案を提出する事も見送られたのは
記憶に新しいところかと思います。
どうですかこれ。
案を提出することすら見送るってどうですかこれ。
案を提出したら選挙の投票率も高く人口の多い後期高齢者に、
逆パフォーマンスになってしまうって感じに見えちゃいますよね。
日本は他国のお手本にはならない
以前、日本の現在の取り組みや、迎える状況は、
他国が今後迎える高齢化社会のお手本になるので、
そこにビジネスチャンスがあるって話があったんですが、
落合陽一さんの言うよなテクノロジーの部分ならわかりますが、
日本ほど高齢者に対して優遇した医療制度を敷いている国は、無いんですよね。
なので、他国が日本のように高齢化社会を迎えても、
そこまで悲惨なことにはならないような気はしています。
ただテクノロジーの部分は是非頑張ってもらいたいっすね。
薬価下落で考えられる3つの影響
では、これだけ毎年毎年薬価が下げられる事で、
どんな影響が予想されているのかと言うことをまとめて見ました。
1、卸さんが死活問題
現在のように毎年改定でしかもマイナスに改定されるので、
メーカー側が薬価の下落スピードを抑えるために仕切り価を高く設定し、
医療機関がこれに合わせて納入価を引き上げる事はしないので、
卸さんの利益が圧迫され、
また、マイナスの薬価改定が頻繁に行われる事で、
在庫の価値が著しく減少されるため医療機関も在庫を絞る、
緊急配送の数が非常に増えており卸さんに大きな負担がかかっているそうです。
市場実勢価格を把握する調査も卸さんにとっては負担ですよね。
これは実際に薬剤師の先生にお聞きして、
僕は全然知らなかったんですが、以前から結構話題になっているらしいのですが、
薬価を下げすぎて、医薬品の供給が正常にできなくなっているそうです。
だから政府もいい加減薬代から搾り取るのはやめて、
患者からサーチャージを取れ!と仰ってました。
2、薬剤師さんの仕事がブラック化
昨今の高齢化社会によって、患者の数は増え続けています。
なので、薬剤師さんの仕事量というのは増えているそうです。
なので、調剤数自体は増えているんですが、
なんせ薬価が下げられていて、
前述の通り、メーカー側も仕切り価を下げないので、
差益が取れなくなってきているため、
儲からないようになっているそうです。
確か、調剤数は4%程度増加しているが、
薬剤料は4.5%程度減少しているという状況だったと思います。
しっかりとしたデータを保存しておいたのですが、ちょっと見当たりません。
なので、薬局自体が儲からなくなることが予想され、
ただ患者数は増えるので仕事量は増える。
そのため薬剤師さんの仕事がブラック化するのではないかと考えられます。
3、新薬を出せない製薬会社が淘汰される
3つ目ですが、薬価削減は製薬会社の利益に直で影響されます。
当然長期収載品に頼る事はできません。
なので、頑張って新薬を出さないと生きていけない状況ですが、
化合物というのは完全に枯渇気味です。
そのため開発費用の高い分野に投資ができる会社、
または開発力のある会社しか、
目新しい新薬が出せない状況です。
ただ、せっかく上市できた新薬も製薬会社が望むような薬価がつきません。
グローバルで戦えれば良いのですが、
日本の販売権だけ取得するような会社とかだとちょっと厳しいのかと思います。
ただそれでもとりあえず新薬が出されば生きていけると思いますが、
新薬を出す開発力がなく、
資金も無いとなるとどうしても淘汰されてしまうようになってしまいます。
とにかく政府は薬屋に薬を売らせたくないので、
色々な罠を仕掛けてきているので、中堅の会社も厳しいですが、
大手で大所帯で活動してるような会社もリストラは加速するかもしれませんね。
現役MRが語る!2019年の製薬会社リストラ状況と原因や今後!
最後に
詳細な内訳は全然発表されてませんが
とにかく、2020年には1095億円の薬価削減が決定しました。
ますます実入りが厳しくなってしまいますね。
今回の記事を書くにあたって改めて知った事なんですが、
政府は実はそれなりには高齢者の負担を増やそうとしてはいるんですよね。
んでそれに断固反対しているのが医師会なんだそうです。
開業医の先生も生きて行くのに必死なんでしょうけど、
負担が1割から2割に増えた所で、
そこまで開業医の先生方の売上が変わるのでしょうかね。
僕のじぃちゃんとばぁちゃんも元気だし、長生きして欲しいので、
高齢者の方への手厚い医療制度は維持して欲しいとは思いつつも、
書いてみた次第です。
ではまた!
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