【2018年版!】オプジーボの薬価改定に関して現役MRが思う事

薬価改定

どうもだいさくです。

オプジーボの薬価改定やばいですね。

2018年11月から現状の薬価からさらに37.5%の薬価引き下げですね。

「オプジーボ」薬価に再びメス、37.5%引き下げ

オプジーボの薬価改定による薬価の変化

オプジーボは今年(2018年)の4月にもそれまでの薬価から、

23.8%の薬価引き下げがされたばかりです。

その前、2017年2月にはその時の価格から50%の薬価引き下げもされています。

その結果オプジーボの薬価はどうなったかというと、

薬価収載時 2018年11月より
100mg 72万9849円 17万3768円
20mg 15万200円 3万5766円

薬価収載時と比べると76%安くなりました。

オプジーボのためにあった!?薬価改定





今年から導入された薬価改定のルールは、

もはやオプジーボの薬価を安くするためにあったのか?とも言える内容です。

オプジーボは2017年の売上高が900億円を超えており、

元々高額薬剤として槍玉に上がっていました。

また、今後も適応拡大が予定されており、

2017年2月に特例で拡大再算定により50%の引き下げが行われたばかりでした。

用法容量の変化再算定や市場実勢価による改定、

用法用量変化再算定、

そして新たに導入された外国平均価格調整による引き下げ、

試行的導入されている費用対効果評価による引き下げ、

その全てがオプジーボに適用されて今回の薬価改定に至りました。

これまでの新規抗腫瘍薬バカ儲けの法則

2018年の薬価改定は相当激震が走ったのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、

簡単におさらいさせていただきます。

これまでは、画期的な新薬の候補化合物があった場合(特にオンコロジー)

ビジネス的な戦略として高薬価をつけてもらえるように、

まずオーファン指定されている疾患の適応を取るのが一般的でした。

そしてその後、その高薬価がついた薬剤を、

患者数の多い疾患の適応を取る戦略により、

バカ儲けしていたのが、これまでの分子標的治療薬の一般的な戦略でした。

その結果どうなったかというと、

2017年度の薬効年間売上データによると、

抗腫瘍薬の売上金額が、年間1兆円を超えてしまいました。(1兆1100億)

ちなみに、2番目が糖尿病治療剤の5500億円です。

2018年薬価改定をわかりやすく説明

2018年の薬価改定では、

この抗腫瘍薬のバカ儲けを止めないと国の財政が危機を迎えてしまうと判断されました。

その結果、年間売上高が350億円超の医薬品について、

効能追加などで市場が一定以上拡大した場合には、

年4回の新薬収載の機会に市場拡大再算定を行う、

用法用量の変化再算定についてもこのルールを活用するという、

非常にシビアなものに改定されたのです。

要は、最初に薬価が高くつきやすいオーファン指定をとっても、

その後に適応追加、用法用量の変更がされても、

すぐに算定しますよ。

というものに変更されたのです。

その薬価改定の結果オプジーボは薬価収載時よりも76%もの薬価が引き下げられました。

【2018年版!】オプジーボの薬価改定に関して現役MRが思う事




まぁオプジーボは元々かなり売上が高かったですし、

今回の薬価改定の以前からメーカー側もこうなることは予想されていたと思います。

むしろ、抗腫瘍薬の新薬を扱うメーカーの間では、

まずはオーファン指定の疾患から適応を取りに行くというのは、

普通の戦略だったので、いつメスが入れられてもおかしくないような状況だったと思います。

 

なぜこんなにドラスティックなのか?


なぜこんなにドラスティックに薬価改定が行われたかというと、

その理由は医療財政の悪化が1番の原因になります。

日本国の医療財政は非常にシビアな状況であり、

実際には医療費のうちの医薬品の占める割合は2割程度といわれていますが、

「薬価制度の抜本改革」の中でも、

2018年度中に現行の薬価から、

▲7.5%にする事が目標とされています。

昨今の新薬自体が高薬価がつかない傾向になっていますし、

350億円以上売れている薬剤にはすぐにメスが入るようになっています。

最近ではセルジーンさんのリンパ腫のお薬が、

2017年の秋頃に承認になったにも関わらず、

薬価が安すぎる!といって、本国の社長が来て直接抗議したにも関わらず、

結局変わらずにその1年後!?くらいに発売しました。

 

それでもオンコロジーは熱い!


僕はオンコロジーはオワコン気味というのは当ブログでも何回か書いておりますが、

確かにオンコロジー自体に高薬価がつかない現状は続きますし、

今までのようなオンコロジーバブルの再来は間違いなく無いと思います。

なので、オンコロジーが激アツな領域だったのは、

過去10年間の話ですし、モリキュラーターゲット が分かってから、

最初に新薬を出せたメーカーほどバカ儲けしたと思います。

ただ、それから新薬候補の化合物の枯渇問題もありますが、

現状の製薬企業の多くはオンコロジー・CNS・免疫に多額の研究費を注いでいます。

中でもオンコロジーはどこの会社もまだまだ力を入れています。

実際様々な転職サイトの求人をみてみても、

募集のほとんどはオンコロジーです。

なので、まだまだオンコロジー領域は熱い領域だと考えられます。

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今後はオーファン全盛期時代


当ブログでも何回もお伝えしてるかもしれませんが、

こんな世知辛い時代でもオーファンの薬だけはしっかり高薬価がつくようになっています。

今回のシビアな薬価改定の中でもオーファンだけは守られる結果になりました。

オーファンといっても、その多くはオンコロジーやCNSだったりもしますので、

その辺の住み分けは難しいところもあります。

こちらの図はオプジーボとペンブロリズマブの売り上げの推移ですが、

オンコロジーは確かにどの会社も研究を注いでいます。

しかし、「選択と集中」という名の下に、

逆にどの会社もオンコロジー依存してる傾向にあり、

革新的な医薬品が出て来てもすぐに同類の薬が出て来てしまいます。

逆にオプジーボはペンブロに売上高で抜かれることが予想されています。

その辺は適応などうまく住み分けができれば良いですが、

若干、血で血を洗うような様相になってくることが予想できます。

最近だと、リリーのアベマシクリブもファイザーの同薬効の二番煎じの薬です。

確かにオンコロジーはまだまだ食える領域ですが、

僕がオンコロジーがオワコン気味だと思う理由の1番が、

リリーのようなこれまでBest in Classを目指して、

それを実践して来たような会社が、

このように二番煎じの領域に足を突っ込んでいるのをみると、

ん〜オンコロジーも厳しいなと思ってしまうのです。

最後に

いかがでしたでしょうか。

オプジーボの薬価改定はかなり衝撃でしたね。

ここまでやるか!?って感じでしたね。

自分がいるからいうわけでは無いですが、

やっぱりオーファンは今後熱いと思います。

募集は少ないですが・・・

僕も今実際に働いてい、MRに関する色々なネガティブ要素、

訪問規制や弁当規制などもオーファンにはむしろ大手の手足を縛ってくれているので、

追い風だと感じています。

希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト

結構激務ですが、オーファン自体はとてもやりがいのある領域です。

僕は今後は一人で広域を担当するような形になっていくのでは無いかなと思っています。

では!




コメント

  1. 独身MR より:

    いやぁ〜…もうガチでエゲツなさすぎるな、という感じです。
    国は完全に、
    『薬屋は必要以上に儲けさせない』
    という意思を明確にしており、良い薬剤を開発しても、売れ過ぎているモノは容赦なく期中でも安くするという強いメッセージが込められていると感じました。

    これは外資企業にとって由々しき問題だし、日本で今までと同様に展開する旨味は無くなりますね。
    下手すりゃ日本撤退だって全然有り得る話だと思います。
    実際にいくつか外資のトップは批判してるし、収載見送りという判断もしてますよね。
    慈善団体じゃなくて営利企業なんだなら当たり前ですけど。

    日本企業にとっても、もはや「苦しくても一発当てれば」という創薬は限界で、500億の薬を1つ持つより、100億の薬を5つ持ってた方がずっと低リスクで薬価も守られることになりましたね。
    売れ過ぎたら安くされちゃうんだから。

    もはやSOVの概念は消え去りそうだし、人員を揃えて売り込んでいくというスタンスも消え去りそうです。

    • 大作 大作 より:

      苦しくても一発当てれば、ってのは確かに無くなりますね。
      そう考えると、大手みたいに買収交戦しかけたほうがよっぽどリーズナブルだったりするんでしょうかね。

      オーファンみたいな高薬価な薬をいくつか持っているほうが確かに全然いいのかもしれないですね。。

      時代は変わっていきますね。。。。

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