MRの説明会は何故こんなにつまらないものになってしまったのか考察

MRの仕事

どうもこんにちは、だいさくです。

以前に書かせていただきましたこちらの記事に、

思惑通り?医療用医薬品販売ガイドライン施行後現場はどうなったか考察

臨床を診られている先生から、

「MRさんの説明会が最近つまらな過ぎる!」というコメントをいただきまして、

実は以前にも別の記事に幾つかの貴重なコメントを頂戴してる先生でございまして、

現役のお医者さんからコメントをいただけるのは本当に貴重なご意見かと思います。

是非上述の記事の最後にあるコメント欄全文お読みいただけると、

臨床の先生が今の説明会事情や講演会事情なんかについても、

どのように感じているか忌憚なくコメントいただいているので是非読んでみてください。

MRの説明会は何故こんなにもつまらないものになってしまったのか考察




多分なんですが、中々面と向かっては言わないと思うのですが、

大半のお医者さんはきっと同じように思われているんだろうなぁと思います。

なので、一応製薬会社の社員として、

何故MRの説明会がつまらないものになってしまったのか、

という部分を考察させていただければと思います。

まず今の説明会ルールを再確認

この辺はMRの方であれば既にご存知の通り、

説明会で出す事のできるスライドに関しては、

随分前から規制がかかっていました。

”文献化されている情報で、且つ会社のレビューを通ったもの”

というのが基本的で絶対的なルールで、

他社品との比較や誹謗中傷を助長するようなスライド、

口頭での表現を行なってはいけないとなっております。

ただそれは疾患の種類や薬剤、

会社によってもその厳しさには若干のバラツキがあるかと思います。

例えば希少疾患などは情報が非常に限られているということもあり、

ほんの少数例のデータでも文献化されているものであれば

スライド化してもレビューを通るケースがあります。

しかし、やはり外資系のスペシャリティは相当厳しいですし、

ヤンセンさんなんかは特に厳しいイメージを個人的に持っています。

なぜMRの説明会がつまらないと言われてしまうのか

とにかく、簡単に言うと、

文献化されていて、P3などエビデンスレベルの高い情報で、

会社がOKとしたものしか説明できない状況なのです。

上述の通り他社品との比較はNG、

当然学会情報はNG、

なので、ご紹介できるような大きいデータだとしても、

それが文献化されて、

会社でOKとされるまで説明会で使えないわけです。

多分その間3ヶ月くらいかかってしまうんじゃ無いでしょうか。

そんなプロセスを辿ってる間に、とっくに現場の先生方はその情報をご存知なんですよね。

むしろ学会で発表された時点で知ってるよって感じだと思います。

昔話のような説明会になってしまって、

そりゃーつまらないと思ってしまいますよね。

つまらなさはMR自身が一番実感してるのです

コメントのところでも返信させていただいておりますが、

説明会がつまらない〜というのは、

実は実施しているMR自身が一番実感としてわかっている事なんだと思うんですよね。

特にそれなりになんでも紹介できた時代からMRをやられている方は、

過去に行っていた説明会と比較するとどうしたって、

こんな内容で説明会したって既に知ってる情報を伝えてるだけで、

全然有益な情報では無いというのは、やっぱ実感してしまうのかなと思うわけです。

MRの説明会がつまらなくなった1番の原因




では、何故説明会を聞く側も、実施する側もつまらないと思うような説明会を、

実際にやらなければならないようになってしまったのか?

その根本的な1番の原因は一体何か?というところですが、

僕はそれはやっぱり「覆面調査官」の登場ではないかと思うのです。

この説明会を含む情報提供に関する規制って、

最近始まったことでもなくて、僕が最初の外資系でMRやっている時から言われてたので、

5、6年以上前から言われていたと記憶してます。

言われてはいたんですが、

正直そこまで厳密に遵守してなかったと言うか、

会社側ももっともっと緩かったんですよね。

でも、それを医療従事者側が通報するシステムとして登場したのが、

厚労省のモニター制度で、

厚労省モニター調査の結果違反疑いが74件、MRを監視の必要な職業にしたのは誰だ?

この記事の通り、毎年毎年厚労省から、

製薬会社に対して「この医療機関で君の所のMRがこんな事を言っている」

と報告されるようになってしまいました。

この記事の中でもお伝えしてる通り、

MR側からのExcuseが全くできない制度で、

理不尽なパワハラ制度とも言われていますが、

製薬会社側は厚労省からの報告を無視する事は絶対にできないので、

これをきっかけに職を失った人って本当にいるんですよ。

このモニター制度が大きなきっかけとなって、

厳密に今のルールを遵守するようになり、

ちょっとしたことでも報告されてしまうので、

社内ではもっともっと厳しいレビューになってしまい、

職を失った人がいる手前、現場の方も危ない橋は渡らないようになり、

会社側はMRに遵守させるように絶対自作できないようにiPadで説明会させて、

しかもそれをトラッキングしたりするようになってしまいました。

結果、”MRの説明会はつまらない”が出来上がってしまったのかなと。

お医者さんの貴重なお時間をいただいて行なってる説明会なのは重々承知なのですが、

このMR(会社)本当につまらない説明会してるなぁと言う気持ちは、

150%共感するのですが、

そういった背景もあるんですよね。

なんでもありの時代の説明会は何してたか

では最後になりますが、

最近MRになられた方は、なんでもありの時代ってどんな説明会をしていたの?と、

気になる方もいらっしゃるかもしれませんので、

簡単に回想してみますと、

僕はオンコロジーしかやってないのですが、

オンコロジーの場合は学会情報は速攻でフィードバックしてましたかね。

もう事前に学会の後に説明会予約しておいて、

例えばASCO(米国腫瘍学会)での主要な報告は全てスライドに起こして、

ASCOフィードバック説明会なるものを医局説明会でやったりしてました。

多分1時間くらいやってたと思います。

それはESMO(欧州腫瘍学会)や、ASH(米国血液学会)の内容も同じで、

業者さんからスライド買ってやってましたかね。

その説明会の精度が良いと、

あの会社のあのMRの学会フィードバックは勉強になるから絶対聞いた方が良いとか言ってくれたりもして。

別に自社品に限らずで、このスタディはこう言った偏りがあると考えられとか、

スライドには無いけど、発表者がおっしゃっていた事とか、その発表の際に出た質問はこうでとか、

そんなんも説明会でやってましたかね。

あとなんすかね、医療制度の事とか、外資は儲けても日本に税金払ってないとか。。

プライマリーの方の説明会とかも拝見したことあるんですが、

とにかく面白かったですね。

冗談も交えつつ、切り口が鋭いので、

お医者さんが聞いてて飽きないような工夫がされていました。

最後に

てか、あんま当時のルールを記憶してないので詳しくは言いづらいですね(笑)

なんでもありの説明会って口では簡単に言えるんですが、

当時のMRは本当にめっちゃ勉強してたと思います。

それこそ学会情報なんかは、まとめるのに数人がかりで徹夜でやっていて、

言い回しとか外人先生の録画を何度も聞いて研究したりしてました。

僕働きすぎのストレスで帯状疱疹とか出てたし。。

本番では先生から突っ込まれて脇汗かいてトンボ帰りして、

また調べてみたいな事やってましたかね。

ブログだと適応外のことも学会情報もリアルとは裏腹に書くことができるので、

当時調べていた方法とか、視点みたいなのは、ブログに活きてるのかなぁとか、

そんな事を書いてて思った次第です。

ではまた!




コメント

  1. ヒロ より:

    いつも鋭い切り口の情報ありがとうございます。
    今は本当に説明会はお弁当の提供とイメージの刷り込みだけのツールになってしまっています。いろいろな媒体からワクワクしながら情報を選んでいた時が懐かしいです。
    1つ質問させて頂きたいのですが、学会のスライドを売っている業者があることを今初めて知りました。今後の参考にしたいので、差し支えなければどこの業者がどのくらいの値段で売っているのか教えて頂けませんでしょうか。

    • 大作 大作 より:

      どうもコメントありがとうございます!
      学会のスライドの業者なんですが、すいません、会社名までちょっと思い出せないのです。
      多分こんな感じの会社だと思います。
      http://www.academicbrains.jp/outreach.php

      ただ僕が使っていた会社はここではありません。

      おそらくですが、本社のマーケの方とかに聞けば教えてくれるのではないかと思います。
      かなり高額です!

      ただ、スライドの写真を撮って、それを綺麗にスライド化してくれる会社もあるので、
      もし使用される場合はしっかり見積もりとサービスを聞いて見た方が良いと思います。

      博報堂とかが取りまとめて全部やってくれるサービスをその昔展開していたと記憶してます。(今もやってるかはわかりません)

      曖昧でごめんなさい!!

  2. 独身MR より:

    最近の説明会がつまらないと思ってるのは我々MR自身ですよね…。
    今の説明会は会社の審査済みスライドしか一切使えない状況ですし(厳密には前々からルール的にはそうだったけど)、工夫したくても出来ないのが正直なところだと思います。

    私自身もホンの3年くらい前まで、ガッツリ他剤比較や自作スライド使いまくってましたし。
    学会情報や雑誌でパブリッシュされた最新文献からグラフ等を上手く引用してスライド作ってたものです。
    中には会社顔負けのクオリティで自作スライド作成してるMRも沢山いました。

    今は工夫自体できないし、個人のカラーを活かしたくてもそれが許されない時代になってるし、仕事がつまらないと言えば否定できないっすね…。

    • 大作 大作 より:

      お!正直に書いてますね(笑)
      先生方は昨今の事情は知らない先生も多いんでしょうね。

      弁当も普通に持って帰っちゃいますしね。。
      今の方が楽で良いんだけど、最近MRになられた方は力つかないだろうなぁとか思う今日この頃です。。

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