どうもだいさくです。
読者さんから下記のようなご質問をいただきました。
だいさくさん
こんにちは、いつも楽しみにしております。
私は現在外資系の会社でプライマリーMRをしており、
現在スペシャリティ領域に転職しようと考えております。
以前だいさくさんが外資系製薬会社の雇用に関する記事の中で書かれていた、
アメリカ系やイギリス系の会社で採用しているPIPという研修制度に関して教えてください。
この研修制度は3ヶ月間という期間だと聞きましたが、
具体的にどのような内容の研修で、
その研修が終わるとどういう風になるのでしょうか。
だいさくさんのご存知の範囲で良いのでご教授いただけたら幸いです。
製薬会社でPIPに入った3ヶ月後にはどうなるんですか?
どうもご質問いただきありがとうございます。
外資系製薬会社と雇用の問題は何個も記事を書いてまして、
どの記事かは定かではないのですが、
一番最近書いた記事はこちらになりますので、
こちらの記事の中での話になるかと思います。
PIPという研修制度に関しては、
正直僕は入った事がないですし、
実際にどんな研修内容なのかっていうのを実体験として持っているわけではありません。
なので、あくまで僕が聞いた話という視点でお話しさせていただきますね。
外資系製薬会社のPIPとは何か?
主に外資系で採用されているPIP(ピップ)という研修制度ですが、
PIP=Performance Improvement Program の略称になります。
「あなたのパフォーマンスを改善するためのプログラム」という意味です。
これはPIPという名前を採用してない会社もありますが、
同じような研修内容を敷いている会社は沢山あります。
私の知る限りでは、US系だとしてもベンチャー系で採用してる会社はありません。
そして、ドイツ系の会社も採用してないと思います。
(と思ってましたが、記事の最後の欄にヨーロッパ系でも採用してますよ!というコメントをいただいてますので、会社によりけりかもしれません)
それ以外のUS系、EU系、イギリス系、
はたまた日本の会社でも採用してる会社もあります。
製薬業界以外でも外資系の大手、
例えば保険屋さんとか、化粧品屋さんとか、
医療機器の会社でも採用してます。
ちなみにパナソニックでも採用されていたという話を聞いた事があります。
外資系製薬会社のPIPにはどのような人が入るのか?
ではこのPIPという研修制度に入る人はどのような人か?って事ですが、
基本的にはパフォーマンスが悪い人です。
パフォーマンスが悪い人であれば、男性でも女性でも、
年齢が上の方でも下の方でも普通に入ります。
僕は25歳の女性が入ってるのも見たことありますし、
50代の男性が入っているのも見た事があります。
若いから入らない、女性だから入らないって事はありません。
ただ、この辺はただの推測ですが、
一般的には年齢の高い男性が入っている事が多いイメージではあります。
年齢の高い男性MRだと上司が年下だからとか、
仕事自体に飽きているとか、サボりぐせがあるとか、
その上司一人の裁量で変化を与えられないことも多いという事も考えられるかもしれません。
ただ、基本的には男性も女性も若くても関係なく入る可能性はあります。
パフォーマンスが悪いの定義は?
では、そのパフォーマンスが悪いというのはどういう定義で決められるのか?ですが、
これははっきり言って、上司の裁量で決まります。
その上司がパフォーマンスが悪いと感じ、
それを改善しようと積極的に関わっても、
変わらずにパフォーマンスが悪い。
そもそもやる気がないなど。
そして数字も悪いとなると入る可能性が出てきます。
私が以前いた外資系の会社の場合は、
売上の下位5%に2連続で入ってしまったりしたら結構危ないです。
ただ、確定ではありません。
一方で下位5%ではなく下位30%に2期連続で入ったとしてもPIPに入る可能性はあります。
というのも、個人単位というより、チーム単位で決められている事が多いです。
PIPに入る人はこの人です!という風に決まるわけでは無いのです。
外資でPIPに入る人はどうやって決まるか?
PIPに入る人は基本的には数字が悪い、
そのくせ上司やそのまた上の上司がアドバイスをしても、
改善が見られない、本人に自覚がない、そんな人が入るんですが、
必ずしも数字が悪いから入るわけでは無いんです。
ちょっとややこしいですよね。
実はPIPに入る入らないはチーム単位で決められるんです。
例えば、社員が全国で100人いたとします。
10人づつのチームが10個あります。
下位30%のチームは3チームあります。
8番目のチームからは1人、
9番目のチームからは2人、
10番目(ビリ)のチームからは3人、PIPに入る人を選べ!
とそのチームの上長が言われるのです。
それは会社によってやその時の状況によって、
下位50%かもしれません。
なぜPIP研修を行うのか?
なんでそんな非情な事をするかというと、
PIPを採用してる会社は基本的に人材の流動性をはかりたいと考えているからです。
PIPという非情な研修制度がある事を社員にインプットさせる事で、
組織の腐敗を防ぐ、怠け者をなくす、
パフォーマンスの悪い人材の代わりにもっと優秀な人材を入れたい、
そんな理由があります。
誰がPIPに入ったかは知らされない
基本的に誰がPIP研修に入ったかは知らされません。
本人もその上長も基本的には漏らしてはいけないルールとなっています。
このルールは守られるべきなので、
あいつがPIPに入ったらしいよ!とかいう会話は基本的にしないようになっていますし、
僕が最初に入った外資系でも漏らした人間には懲罰があったくらいです。
なので、知らないだけで、自分の同期も入っていましたなんて事も全然ありえると思います。
ちなみに、このPIP制度は上長にもあります。
マネジャークラスにもPIP制度のようなものはあります。
部長以上になったら無かったと思いますが、
部長クラスは数字が悪いとPIPに入る間も無く交代させられてしまう事もありますね。
PIP=クビではない
具体的にPIPに入るとどうなるか?って事ですが、
3パターンあります。
1、随時報告を求められる
これは今日何時から何時までどの施設のどの先生と面会し、
どのような話をしたかを事細かく報告します。
それを3ヶ月続けます。
2、ありえない行動目標を課せられる
例えば半期で説明会を30回以上行う事。
半期でアポイント面談を100回程度行う事。
その場合には必ず上長を同席させる事。
回数はまちまちですが、概ねこのような感じです。
3、担当を持たせない
これはかなり末期です。
アストラゼネカでありましたよね。
アストラゼネカのリストラ追い出し部屋について思った事をMRの僕が書いてみる
アストラゼネカのこのケースはまだ何かしらの仕事が割り振られてはいますが、
僕の知ってる限りでは、担当無しという事です。
担当を持たないで、自分より年下のMRに同行して3ヶ月間勉強してください。
そして勉強した事を日報として報告してください。
また、あなたの今までの領収証を全てひっくり返して調べます。
という感じです。
PIPは入る人による
PIPに入る人は、事前にこの人がなぜPIPに入るのか?その目的によって、
上述したような研修内容に違いが生まれます。
この人はいくら言っても聞きませんので、
できれば辞めてほしい人材です。
ここまでダイレクトではないかもしれませんが、
密談ベースではそのような会話がなされています。
そう言った人は上述の3番のような研修になります。
この人は確かにパフォーマンスは悪い、
でも他者に危害を及ぼすわけではないし、
ひたむきに頑張っています。
そんな人は、1番や2番になったりします。
まぁどっちにしてもキツイですよね。
外資系製薬会社でPIPに入った3ヶ月後はどうなるか?
長々と説明してきましたが、
今回いただいたご質問、
製薬会社でPIPに入った3ヶ月後にどうなるか?に対するお答えとしては、
人によりますって事です。
PIPに入った後、普通に今までと変わらずMRとして現場を回ってる人も全然います。
その後マネジャーになった人も僕は知っています。
そして、PIP研修中に辞めていく人もいるし、
PIP前にやめていく人もいます。
ただ、基本的にはPIPに入ったから辞めたんだということは、
ハタから見たらわからないケースがほとんどです。
その人がPIPに入ったかどうかは本人から聞くか、
その上長から聞くかしかないので、
よっぽどみじかな人が入らない限り知る事がないと考えられます。
PIPはノルマ制なんです
PIPに入っても人によってその処遇に差があるのはなぜかというと、
PIPはノルマ制だからです。
この記事の中でも書いていますが、
外資系でPIPを採用してる会社は、
「年間10%の人材を入れ替える」という目標設定がされています。
以前その事を記事に書いたら、外資系の方から結構反響をいただいたので、
多分MRの方は知らない人の方が多いのかもしれませんね。
年間10%の人材を入れ替えるのはMRに限った話ではありませんで、
それはマネジャーもそうだし、本社の人間も同じなんですが、
その割合は成果報酬型の仕事であるMRが多いかもしれません。
要はノルマなので、PIPに入れることもただのノルマなのです。
今回仕方なく入れざるおえないパターンもあるのです。
でもこの人材には絶対にやめて欲しくないという人材には、
ゆるいPIPの形になったりするのです。
結局は人を切る事が一つのノルマになっているので、
そういう事が起こるのです。
外資から内資にきて嬉しい事
PIPってもちろん自分が入るのは嫌だと思うんですが、
実は「君をPIPに入れるから」という決断をする上司も嫌なんです。
すごく辛いんです。
なので、PIPを採用してる会社からPIPを採用してない会社に転職した人が、
一番嬉しいと思うことの一つが、PIPに入れる決断をしなくて良い、
人を切るという決断をしなくて良くなった事という人もいます。
内資は内資でひどい
確かに外資系のPIPという制度はあからさまです。
しかし、それは言い換えると正面から向き合ってることでもあります。
内資は本当に子会社にいきなり出向させたり、
陸の孤島に飛ばしたり、あからさまに冷たい態度をされたりっていう事もあります。
ここまで聞くとPIPという制度が非情なものにも聞こえますが、
内資は内資でやり方が姑息だったりします。
はっきり言わず影で言ってる人も多いです。
PIPに解決策は無い
PIPに対する解決策は基本的にありません。
アストラゼネカの裁判が終わってもまだその傾向は変わってません。
まずはPIPに入らないように成果をあげることに徹すること、
入らないように頑張る事です。
あとは、日本国にいる以上は、
会社は社員を成果が出ないからという理由で、
クビにする事は絶対にできません。
なので、不感症になっちゃう事です。
PIPに入っても気にしない事です。
色々な人の目や態度に不感症になって何もかも気にしなければ、
50代や40代でPIPに入っても定年まで逃げ切れる可能性はあります。
というよりPIP採用をしてる外資系でMRとして定年まで駆け抜けた人は、
大抵そんな感じの人も多いと思います。
それはそれで全然ありですし、何人にも非難はできないと思います。
コメント
だいさくさん
いつも楽しく拝見させて頂いております。
ヨーロッパ系外資メーカーでMRをやっておりますが、PIPについては弊社では普通に行っております。
年によりけりですが、毎年一定数辞めていく人の数が例年以下だった場合に実施されております。
選ばれる人にも何かしらの問題があることは間違いないですが、PIPにかける程なのか?もっとひどい人もいるんじゃないのか?と思わざるをえない人選で、その時の所長や支店長次第で行われている印象です。
ヨーロッパ系=日本人に近い感覚というのは最近ではもう崩壊しているように感じますね。
外資も大きな企業に、人数が多くなればもう内資と変わりません。
オーファンのように少人数であればまた話は変わってくるのかもしれませんが。
どうもコメントありがとうございます!
ヨーロッパ系でもやられているんですか・・・
世知辛いですね。
ちょっとその辺は修正しておきますね!
いただいたコメントは本当に全部理解できます。
もっとひどい人も?ってとこも。。
オーファンは逆にPIPやるほどの余裕が無いってのもあるかもしれません。
会社が大きくなってきたらわからないですけどね。
ありがとうございました!