外資系製薬会社の雇用はなぜ厳しいのですか?【読者さんからのQ&A】

製薬会社とリストラ

どうもこんにちは、だいさくです。

読者さんから下記のご質問をいただきましたので、

私なりの回答を書いていきたいと思います。


だいさくさん

こんにちは、いつもブログやツイッター拝見させていただき勉強させていただいております。

私は現在地方の国立大学で理系の学部に通う学生です。

製薬会社への就職を考えているのですが、

個人的には外資系の製薬会社に就職したいと考えております。

ただ、外資系製薬会社はすぐにクビを切る、

雇用が不安定であるといった話を聞くのですが、

なぜ外資系製薬会社の雇用は厳しいのでしょうか。

あまり内資系にいきたいとは考えていないのですが、

その辺の違いをとても知りたいです。

外資系製薬会社の雇用はなぜ厳しいのか?

ご連絡いただきありがとうございます。

確かに製薬会社は昨今リストラ報道もとても多いので、

これから製薬会社に就職される方は気になるテーマなのかもしれませんね。

私のこれまでの経験からお話しさせていただければと思います。

外資系製薬会社の雇用は厳しくありません




まず、1点すごく勘違いされている部分がありまして、

外資系製薬会社の雇用は厳しくありませんよ。

雇用が厳しいのはアメリカ系とイギリス系の会社だけです。

それ以外はむしろ内資系よりも優しいです。

なので、「外資系製薬会社=雇用に怯える」みたいな図は、

アメリカ系とイギリス系の会社だけです。

外資系製薬会社の母国がどこかを考える

外資系製薬会社を一括りにして、雇用が厳しいというのは間違いです。

薬剤のイノベーション云々カンヌンは置いといて、

「雇用」の厳しさ・緩さということを考えるにあたっては、

その製薬会社の母国がどこか?を考えなければなりません。

こちらは数年前に発表されたデータですが、

国別の雇用保護指標の国際比較になります。

実は日本の雇用保護指標というのはEU諸国と比べると低いです。

先ほどお伝えしたフランスやドイツは高いですよね。

こちらの図からもわかるようにアメリカ系、イギリス系は相当厳しいです。

逆にドイツ系、フランス系などのEU諸国(イギリスは抜き)の雇用は、

日本の会社よりも格段に優しいです。

ドイツの製薬会社はなぜ雇用が優しいのか

ドイツには解雇保護法というものがあり、

この法律によって一度雇った社員を解雇することが非常に難しいのです。

解雇することは一応可能ですが、そのハードルはかなり高いです。

フランスも法律に関しては少し違いますが同じような状況です。

外資系製薬会社は、母国の法律や、文化をそのまま持ってくることが多いので、

EU諸国(ドイツ、フランス)が母国の製薬会社は雇用が優しいのです。

実際に、ベーリンガーさんやバイエルさんでイメージの悪い、

非情な解雇を行ったってほとんど聞いたことがありません。

解雇するにしてもその時は手厚い退職金を出したり、

転職までの猶予期間をしっかり与えてくれたりするので、

外資系で雇用不安を感じたくないのであれば、

そういった母国の人事制度で選ぶのもありです。

アメリカ系イギリス系はなぜ厳しいか?

では逆にアメリカやイギリスの会社はなぜ厳しいのでしょうか。

それはそもそも社員を流動的に動かしたいという考え方があるからです。

同じ人間が同じ場所に長くいる事で組織が腐敗をすることを防ぎたいと考えています。

そのため、PIPという制度を敷いている会社が多く、

PIPという研修システムに入ってしまうと担当を持たせてもらえなくなったり、

ガチガチに決められた事しかやらせてもらえなくなったりします。

外資系でも日本にいる限り堂々と解雇することはできないので、

そういった研修システムに入れて人材の流動を図ろうというのが根本にあります。

PIP制度を敷いている会社は毎年10%の人材を入れ替える




これはその会社で働いている人も知らなかったりするんですが、

アメリカやイギリス系の会社でPIP制度を敷いている会社は、

そもそも社員の10%の人材を入れ替えるという目標設定がされているケースが多いです。

そのパーセンテージに関しては会社によるかもしれませんが、

大体5%〜10%くらいだと思いますし、

その時の業績や立ち上げの初期はやらないとかあるかもしれません。

特に外資系は外資のコンサルがその辺を担ってることが多いので、

その会社で働いている社員でも知らされてない人が多いかもしれませんね。

そのため、うちの会社はすぐ辞めますからとか、

雇用に怯える会社なんですといった風に思ってる人もいるかもしれませんが、

これは会社が外資のコンサルと組んで本国からのお達しのため

そのようにしてるのです。

なので辞める人は自主的に辞めてるわけではなく、

自主的に辞めるような制度を会社が敷いているのです。

アメリカ系は辞めようは間違い

ただ、そういう風に書くとアメリカ系の会社はやめとこうと思いがちですが、

決してそんなことはありません。

僕は若い人はどんどんいったら良いと思います。

日本にもありますが、アメリカにも雇用機会均等法というのがあって、

アメリカは人種のサラダボールなので、

その人の人種や過去によって雇用を規制することに大きな障害があります。

なので、アメリカ系の会社ほど未経験のMRを多くとったりします。

そういった、人のバックグラウンドに関係なく力があれば給料はどんどん上がるし、

新たなステップアップやチャレンジもしやすい環境があります。

僕は20代の方が転職を考えるならアメリカ系の外資一択でも良いと思っているくらいです。

それが、人材が流動的に動かない会社に入ってしまうと、

悪い意味で人が動かないので真に力のある人間に責任のあるポジションが回ってきません。

そういった会社はとにかく次のステップに行くまでが長いです。

平気でマネジャーになるのに10年以上かかったりしますからね。

アメリカ系の会社で20代でマネジャーやったり、

30代で部長職になるという可能性は十分あり得ます。

日本は7番目に雇用が厳しい

製薬業界は外資系も多く参入しているし、

特にアメリカ系やイギリス系の会社の雇用問題や、

首切り問題がクローズアップされることもあってかわかりづらいですが、

日本の会社自体も世界的に見たら7番目に雇用が守られていない国になります。

EUは一度雇った社員を首にしたり、

もちろんそれをパワハラなどで追い詰めようものなら会社自体がヤバイです。

国から処分されてしまうのでまずやりません。

でも日本の会社は解雇はやろうと思えば普通にできます。

大手の内資系のように子会社や関連会社に不当に出向命令を出して、

退職させるなんてこともできちゃうのが日本です。

なので、個人的に「雇用」という観点だけでいうと、

EU系>日本>US/UK

の順番かなと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

なんとなくですが、

製薬会社を取り巻く雇用に関する状況把握をお伝えすることができましたでしょうか。

僕個人的には、これからはどんどん「個」の時代になると思っております。

どの会社にいるというのも大事なことですが、

「個」として、どんな施設のどのKOLを担当してきたとか、

どんなスキルがあるとかそういった部分での評価が大きくなってくるんではないかと考えております。




コメント

  1. 独身MR より:

    今回は私も勉強させてもらいました。
    内資と同じで、外資だからと一括りはイカンなと再確認です。

    米・英系:ファイザー、メルク(MSD)、GSK、J&J(ヤンセン)、アッヴィ、リリー、AZ、BMS…

    いずれの企業も成果に対して厳しく、人の入れ替わりが激しいイメージのとこばかりだなと。
    ただ、その分ストイックに結果さえ出せれば、出世も昇給も期待できる側面は強いですね。

    ドイツ系は確かに雇用が安定してるイメージ(最近はドラスティックなリストラしてますけど…)ですが、それ以外の欧州系企業ってどうなんですかね?
    ノバやロシュはスイス、ノボはデンマークですし。

    • 大作 大作 より:

      どうなんですかね。。。ノボはあんまり報酬高いイメージないですけど、安定企業な感じはします。
      最近グローバルでリストラしてましたけどね。。。

      ノバってどうなんでしょうか。雇用不安なイメージは全くないですけどね。。
      結局本国の文化をそのまま移植してるかどうかって重要なんですよね。
      アメリカやイギリスは自分たちがナンバーワンの国だと思ってるので、
      文化をそのまま日本に押し付けようとするんですよね。
      郷に入ったら郷に従えってのはあまりないんですよね。

      厚労省にたてつかないのは日本で商売するための手段ですからね。

      僕は個人的には若者は外資一択だと思っているので、
      内資はもっと後でも良いかなと。
      正直下積みが長すぎるというか。
      キャリアの最盛期がくるのが遅いんですよね。

      まぁ仕事に対する価値観は人それぞれですけどね。
      後悔のないように人生を生きて行きたいですね。

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