【2020年版】MRの今後や将来性をがっつり予測してみる!

MRの今後

どうもこんにちは、だいさくです。

昨年度に一番多くいただきましたご質問が、

MRの今後や将来性に関する内容でございました。

2019年度は本格的に厚労省のモニター制度が全国の医療機関に拡張されたり、

販売情報提供ガイドラインの施行、

製薬会社としては非常に重要な薬価が相当額減額されたり、

大手製薬会社のリストラニュースもとても多く、

明るくないニュースばかりで、不安に感じる方がいらっしゃるのは当然なのかなと思います。

【2020年版】MRの今後や将来性を予測してみる!




正直、働いている自分自身でさえはっきりと見えてこない状況ではあるのですが、

特にこれからMRになろうと考えている方にはやはり気になる事なのかと思います。

僕自身は結構MRの今後に関しては比較的楽観的に考えている部分もあったりはします。

今日はMRを取り巻く現状の整理と、

今後の動向に関してまとめて参りたいと思います。

MRを取り巻く現在の環境をおさらい

現在のMRを取り巻く環境はかなり悪いです。

特にどの辺が悪いかという部分ですが、大きく3つございます。

1、化合物の枯渇化

2、製薬会社へのパワハラ制度

3、薬価減額

詳しくは過去記事などをご参照いただければと思いますが、簡単にご紹介させていただきます。

1、化合物の枯渇化

こちらは非常に重要な問題でもあり、

直接的にMRを取り巻く環境として問題視されている事ではないのですが、

医薬品の元となる新薬候補の化合物が枯渇化しているという問題です。

現在では新規の治療薬や新しいアプローチというのがあまり無い状況になっています。

特に患者数の多い疾患であればあるほど化合物が枯渇化してきており、

製薬会社が化合物から新薬を作り出せる確率というのは、昨今では、

天文学的な確率となっています。

もちろん優れた治療薬が無いけど患者数の多い疾患はまだまだありますが、

そういった疾患はすでに沢山の治験が行われているが、結果が出ていないという状況です。

新薬を出せないというのは製薬会社にとっては死を意味する事になりますので、

昨今では新薬候補を持つバイオベンチャー や、

大手の製薬会社が大手の製薬会社を買収するケースがとても増えてきています。

こちら良く出すデータですが、

ここ5年間で新薬を出した会社のほとんどが自社で開発したものでは無いのです。

2、製薬会社へのパワハラ制度

こちらは冒頭にもご紹介した通りですが、

現在MRを取り巻く環境は非常に厳しいと言えます。

まず、販売情報提供ガイドラインが施行された事です。

このガイドラインの詳細はこちらの記事をご参照いただければと思いますが、

【超重要!】製薬会社MR活動のガイドライン改定を分かりやすく解説してみる

簡単に言うと、

医薬品の添付文書の内容や、

既に誰もが知っているような大きいデータで、

論文化された情報しか医療従事者に提供できなくなってしまいました。

ただ、以前もここまで厳しい内容では無かったのですが、

ある程度は厳しいガイドラインが存在しておりました。

しかし、このガイドラインと、厚労省が進めている別名

「製薬会社へのスーパーパワハラ制度」といわれる、

モニター制度が本格的に施行された事で、

嫌が応にもこのガイドラインをきっちり遵守しなければならないようになってしまいました。

厚労省モニター調査の結果違反疑いが74件、MRを監視の必要な職業にしたのは誰だ?

これは、MRやMSLなど製薬会社の社員と接した医療従事者(主に薬剤師、医師) が、

不適切な内容を提供している、

もしくはガイドラインから逸脱した内容を提供していると感じた場合に、

直接厚労省に報告できる制度で、

この制度が本格的に施行されてから、

MRは本当にがんじがらめの活動しかできないようになってしまいました。

なんだそんな事か、と思う人もいるかも知れませんが、

この制度が施行されて職を失ったMRがいたり、左遷された人もいるために、

明日は我が身として受け止めると、もはや何もできない状況になってしまいました。

3、薬価減額

3番目はそもそも日本国にお金が無いという問題です。

日本は今後本格的な少子高齢化社会に突入します。

高齢者が増える事で、

その介護費用等々の社会保障費が大体年々5000億円程度増加していくと予想されています。

政府はその財源の確保のために製薬企業の生命線とも言える薬価を減額しています。

【政府が発表!】高齢者のための薬価削減案がマジやばいぞ!

これは財務省や厚労省も今後の高齢者への社会保障費の財源は「薬価」であると、

堂々と公言しています。

実際2018年から国費ベースで相当額の薬価が減額されています。

削減額(国費ベース) 削減率(薬剤費ベース) 備考
2018年度 ▲約900億 ▲7.48% オプジーボが23%下落
2019年度 ▲約500億 ▲4.8% 2%の増税有り
2020年度(予定) ▲約1095億(予定) ▲4.38% 閣議会通過(2019/12)

 

2020年度の薬価削減額が1095億円に決定!どんな影響があるのか考えた

少し長くなってしまいましたが、MRの今後や将来性を考える上では、

とても重要な3つの事をお伝えさせていただきました。

その3つの現状を踏まえた上でMRの今後や将来性についてお伝えさせていただければと思います。

MRの人数は何故減少したのか?




現状を踏まえた上で、MRの人数は今後もかなり減っていくと考えられます。

こちらここ数年間の全体のMR数の推移になります。

年度 MR人数 前年比
2012年 6万3846人
2013年 6万5752人 +1906
2014年 6万4657人 ▲1095人
2015年 6万4135人 ▲522人
2016年 6万3185人 ▲950人
2017年 6万2433人 ▲752人
2018年 5万9900人 ▲2533人

ピークであった2013年から約6000人減少し、現在では約6万人弱となっております。

また、こちらは各製薬会社のMR人数をピーク時であった2013年から比較したものです。

MRの数を公表していて、

1000人以上いる大手や準大手の会社を抽出してデータをまとめてみました。

会社名 2013年MR数(およそ) 2019年MR数(およそ) 増減
武田薬品 2000人 2100人 +100
大塚HD 1228人 1361人 +133
アステラス 2400人 2100人 ▲300
第一三共 2257人 2200人 ▲57
エーザイ 1370人 1060人 ▲310
中外製薬 1700人 1646人 ▲54
田辺三菱 2100人 1526人 ▲574
大日本住友 1387人 1064人 ▲323
小野薬品 950人 1130人 +180
ファイザー 3000人 2220人 ▲780
MSD 2400人 1900人 ▲500
ノバルティス 2300人 1900人 ▲400
GSK 1980人 1400人 ▲580
サノフィ 1500人 750人 ▲750
AZ 1600人 1600人 ±0
イーライリリー 1700人 1700人 ±0

各製薬会社別MR数

少しざっくりしたデータになってしまいますが、

これまでもMRの数は減少してきましたが、

ピークだった2013年と比べて6000人減少した内訳の傾向としては、

大手の外資系でかなりドラスティックに減少していることが挙げられます。

そして内資系に関しては、田辺三菱や大日本住友などは目立って減少してますが、

大手や準大手、中堅の内資系はそこまで減少してない事がわかります。

またそれなりにしっかり新薬を出すことができている外資系の会社に関しては、

実はそこまで減少してないことも見受けられます。

ですので、これまでMRの数が減少してきた理由は、

現在の環境として挙げました1番目の理由である「化合物の枯渇化」が、

理由の一つとして挙げられると考えられます。

MRの数は今後も減少する

上述の通り、これまでは化合物の枯渇化や新薬ハードルの高さから、

新薬が出せずに特に外資系を中心にMRの数が減少してきましたが、

今後は、現在の環境として挙げました2番目、3番目の理由から、

中堅から大手の内資系でMRの人数が減少していくと考えられます。

特に新薬を出せない、また新薬を買ってくるための大きな資金がない中堅の会社や、

競合領域に飛び込んでMR力やMRの人数で勝負するような会社の人数は、

軒並み減っていくと考えられ、

大方の予測として2025年までに5万人前後になり下げ止まりすると考えられています。

ただ、日本国にお金がなく、このまま薬価減額の方針が続くことがあれば、

外資系の動向も変わってくると考えられるので、

減少人数としてはその限りではない可能性もあります。

MRの今後の将来性はどうなのか?

では、MRの今後の将来性に関しては実際のところどうなのか?というところですが、

今後はたくさん競合がある領域の薬を扱い、

その中で勝ち組になるようなビジネスモデルは通用しなくなってしまいます。

実際政府(厚労省&財務省)も今後の薬価減額に併せて、

同じような薬効でMR(営業)同士で戦いをさせないような方針にしていくとされており、

前述のガイドラインや厚労省のモニター制度も、

そこを監視することがメインのような表現をされているそうです。

とにかく著しく生産性が低い会社に将来性はないと言っても過言ではありません。

将来性のある会社を選ぶことがとても大切

これからMRになろうと考えている方は、

新薬をしっかり出せる会社、そしてパイプラインが豊富な会社を選ぶ必要があります。

例えば、ノバルティスやAZ、アッヴィ、中外製薬あたりのパイプラインはとても魅力的です。
(調べればもっともっと沢山あります!)

しかし、ベストインクラスの医薬品を出せる会社ほど、

その価値を見出すことができない人材だと雇用面でキツイのも確かですが、

会社としての魅力はとても高いです。

正直細胞治療系は僕自身めっちゃ興味あるし、もっと若かったら絶対経験したいんですが、

ほとんど大手に取られちゃってますからね。。

その辺はパイプラインが豊富な会社ほどよく募集してたりもしますので、

是非情報取ってみてください。

現役MRが厳選したMR転職サイトおすすめランキング!

大手の内資に関しては、現状では新薬パイプラインを有している会社を買収する体力があるので、

会社としては当面は安泰だと思いますが、昔のツケを未だ抱えている会社も多く、

外資系ほどドラスティックに人数を減らせない事もあって、狭き門になると思います。

今後特に長期収載品を抱えるような中堅の内資系はかなりキツイと思います。

これからインターンなどにいく学生は是非こちらの記事もお読みください。

製薬会社への就職を考える学生に知ってほしいブラックな製薬会社の特徴

ICTの台頭に関しては?




最後にICTに関してですが、

2010年度頃の調査では、医師が情報を触れる、キャッチするチャネルとしては、

約7割がMRからでした。

もちろん他にも学会など他のチャネルもありましたが、

医師の多くは情報はMRから得ていたのです。

しかしその後ICT(情報技術)が発達し、

一時期は医師の中でMRから情報を得るのは3割程度にまで減少し、

4割程度がデジタルチャネルという回答になっていました。

確かに昨今リモートDTLなどに力を入れている会社も多く、

特にGSKやイーライリリー社のリモートDTLは定評があるそうです。

しかし、そちらに力を入れすぎた結果、オプトインメールの開封率は業界全体で15%程度になり、

迷惑行為と化しています。

むしろ、MR(もしくはMSL)と医師のフェース・トゥ・フェースの重要性や、優位性というのは、

一時期よりもその評価が増し、

コミュニケーションが最も質的に高いものであるという評価に変わりつつあるそうです。

ですので、MRはICTに全部取られるということは、現状では考えられないと言えます。

※ちなみにこちらの情報は、プレシャスコミュニケーションジャパンが発表されていたデータの内容から抜粋してます。

最後に

昔は「MRやるならどこの会社でも同じ」と言われていたそうですが、

今後はどこの会社でMRをやっていたかで描くキャリア面も含めて、

だいぶ人生変わってくるんじゃないかと思います。

MRの情報の質的評価が高くなってきた傾向として考えられるのが、

スペシャリティ特化型の会社が多くなってきたからだと感じますし、

今後もっともっと細分化された情報の質が求められていくと思います。

こちらシンバイオの株主総会で見かけたスライドなんですが、

大型の化合物は枯渇化してますが、それはむしろこれまで無視されていた空白領域に対する、

アンメットニーズを解決できる方向に変わってきたと僕自身は思っています。

実際、シンバイオのような会社ではなくて、大手の製薬会社でも、

空白領域(希少疾患)への開発が45%を占めるようになってきています。

それはもちろん診断技術が発達したのも要因の一つです。

僕は今そういった希少疾患の会社に入って本当に良かったと思ってますし、

ここ1、2年でそういった会社がかなり増え、

同じ希少疾患の会社で働く人達が増えたのも個人的にかなり嬉しく思っています。

大手で働く安心感や人材の豊富さが羨ましくなることが無いと言えば嘘になりますけど、

今のがんじがらめの時代なので逆に追い風だと実感してる人も多いのではないかと思います。

若い人が本当に足りなくなっているMRの世界なので、

若いというだけでアドバンテージになっているので是非ご興味ある方挑戦してみてください。

希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト

コメント

タイトルとURLをコピーしました