鳥居薬品のリストラがヤバイ!原因はギリアドで間違いないけど・・・

製薬会社とリストラ

どうもこんにちは、だいさくです。

鳥居薬品がリストラを発表しましたが、

鳥居薬品のリストラは結構厳しい状況が完全に露呈してるように見えます。

リストラを発表してから株価もガクッと下がりました。


※2022年4月段階では3100円まで戻してます。

中長期的に鳥居薬品を見たらとても安定した業績だったし、

株価も安定していたので今回のこの下落は結構厳しさが可視化されて、

露呈されたんだと感じます。

鳥居薬品株式会社とは?

【設立】1921年

【本社】東京都日本橋

【従業員数】1049人

【社長】高木正一郎(2019年から松田剛一に交代)


鳥居薬品はJT(日本たばこ産業)の傘下の会社になります。

現在の社長の高木さんも次社長の松田さんもJTの方になります。

鳥居薬品リストラ募集の要約




こちらが今回のリストラ募集の全文になります。

鳥居薬品特別転身支援制度の実施について

鳥居薬品さんは「中期経営計画2021」というもの策定しており、

そこで掲げた事業構造改革施策の一環として人員数の最適化を行うというものです。

募集人数:定めず

対象者:コーポレート部門、営業部門で2年以上の社員全員、技術部門は2年以上かつ年齢が50歳以上

募集期間:2019年4月15日から2019年5月31日

退職日:2019年9月30日

優遇措置:通常の退職金に割増退職金を支給。

このようになっております。

鳥居薬品のリストラ人数は全従業員の3分の1

鳥居薬品の今回のリストラの人数は定めずと記載されていますが、

その後発表では、400人程度を減らす方針とされています。

400人・・・全従業員が約1100人ですので、3分の1以上です。

当然対象は勤続2年以上のほぼ全員です。

2年以上って新卒3年目も含まれるわけです。

新卒3年目の若手に積み増し退職金するって言ってもたかがしれてます。

最新版:鳥居薬品のリストラ結果

※2019年6月の中頃に結果が発表されております。

鳥居薬品 特別支援制度の実施結果について

結果を要約すると、

全社員:1,200名→800名

MR数:500名→300名

退職日:2019年9月30日

中には新卒2年目の従業員もリストラされたとのことなので、

正直ここまでのものはこれまでの製薬業界の中で歴史にないので、

悪い意味で歴史に残すようなリストラかもしれません。

鳥居薬品リストラ原因の1番はギリアド

では、鳥居薬品はなぜこんな大幅な人員削減を行わなければならないのか?

というところですが、原因はギリアドとのHIV薬のライセンス契約の解消です。

ギリアドがJT(鳥居薬品)にライセンスアウトしていた、

抗HIV領域の薬剤6製品、

・ビリアード錠300mg

・エムトリバカプセル200mg

・ツルバダ配合錠

・スタリビルド配合錠

・ゲンボイヤ配合錠

・デシコビ配合錠

こちら6製品のギリアド自販体制によるライセンス契約の解消が大きく響いています。

鳥居薬品にとって抗HIV治療薬6製品は完全なる主力製品で、

年間売上高の3分の1以上(全体600億のうち200億以上)を占めています。

2019年度の業績予測も39.2%減と発表されていますね。

ギリアドとの協議はずっと行われてきていましたが、

今回のライセンス解消はとても響いています。

売上高3分の1なので、中期経営計画21の元、人員も3分の1にというところでしょうか。

しかし、ライセンス解消に関する譲渡益が406億円ほどギリアドから支払われますので、

辞める人はがっつりもらった方が良さそうですね。

鳥居薬品は新卒採用も見送り




また、鳥居薬品は新卒採用も見送っています。

たまに外資系のリストラで行われる、

50歳以上のリストラはがっつりするけど、

新卒採用もがっつりする系の状況では全くありません。

正直先日書いた協和発酵のリストラがいかに可愛いものかと思ってしまいます。

それだけじゃない鳥居薬品のヤバさ!

確かにギリアドの自社販売体制の影響で、

鳥居薬品を支えていたHIV製剤の売上が無くなるのはやばいですが、

その後見えてきたのは、鳥居薬品に対してギリアドから支払われた違約金を、

キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によってJTに流していました。

その事に相当腹を立てている株主から、

それでなくても下がった株価に対して、

JT(53%の株を保有)以外の少数株主の利益を著しく侵害している、

ステイクホルダーを蔑ろにしているから、90億円株主還元しろと強く求められています。

鳥居薬品は1998年にJTが過半の株を握ったことで子会社になり、

その研究開発機能をJTが担っています。

長い間鳥居薬品の社長もJTからのいわゆる天下りです。

JTとのよくわからない関係性のせいで他の株主に著しい損害を与えていると強い指摘を受けており、

その社内体制やガバナンス制度の改革が求められています。

ギリアドの影響で社内の人材を大幅カット、新卒入社の人間もリストラしているにも関わらず、

その違約金はJTに送っている、株主にも還元せず、

JTのマネーロンダリング会社のような事をしている、これもかなりヤバいわけです。

ただ、JTのパイプラインは豊富

ちなみにですが、JTのパイプラインってめちゃくちゃたくさんありますし、

JTって医薬品でもしっかり実績のある会社です。

こちらがこれまでJTが他者に導出したリストです。

そしてこちらが現在のパイプラインです。

医薬事業 臨床開発品目一覧 (2019 年 2 月 7 日現在)

そしてこちらが鳥居薬品の開発状況です。

2018年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

鳥居に残る人は残る決断をすることも別に全然悪くないと思いますよ。

ここまでしっかりとパイプラインが充実してる会社もそこまでないですし、

何よりJTが結構攻めた投資をしています。

ただ、鳥居薬品はJTに切られたら多分かなりやばいでしょうね。

だから歴代の社長がJTの方なんでしょうね。

JTのためにある鳥居薬品・・・どうですか?やばくないですか?

なぜ鳥居薬品が上場できるのでしょうか?

しかもプライム市場(東証の中で最も価値の高い上場)に・・・

これでは親子上場廃止を求める海外からの投資家の意見もわかる気がしますね。

最後に

リストラのおおい製薬業界ではありますが、

正直鳥居薬品の方達もこのような形でリストラされるとは思わなかったでしょうね。

今回のは少しレアケースな気もしますが、

今後も絶対にないことは無いですからね。

鳥居薬品の方達は若い方はきっと辞めるでしょうね。

是非希少疾患領域にチャレンジしてみてください!

希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト

きっと経験も活かせると思います。

あんまり案件が無いので、すぐには難しいかもしれませんが、

鳥居薬品の方達頑張ってください!

では!




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