楽天メディカルの採用に関するメリットデメリットを考察してみた

楽天メディカル

どうもこんにちは、だいさくです。

楽天メディカルの採用が始まってから少し時間が経ちましたね。

当初、華やかに見えた楽天メディカルですが、

色々とその概要だったり、試験の結果も揃ってきています。

あとはPhaselllの結果を待って、承認されるかどうかって感じですかね。

採用活動が始まってから状況も少し変わってきていると思うので、

今日は現状をまとめて、

実際楽天メディカルの採用って魅力的なのか?という部分を考察してみたいと思います。

楽天メディカルの採用に関するメリットデメリットを考察してみた




楽天メディカルはすでにご存知の方も多いかと思いますが、

日本のメガIT企業である楽天の三木谷社長が個人出資してる会社になります。

本社は米国のカリフォルニアにおいており、

2011年に米国で創業したアスピリアン・セラピューティックスが前身になります。

三木谷さんのお父様が膵臓癌になったことがきっかけで、

治療法を探してる際にNIH(米国立衛生研究所)の小林先生を介して出会った、

「がん光免疫療法」の臨床試験を国内外で進めており、事業化に向けて奮闘しているところです。

楽天メディカルや「がん光免疫療法」に関してはこちらの記事で詳しく説明しております。

楽天メディカル(旧アスピリアン)はオンコロジーMR要チェックだよ!

楽天メディカルの採用に関するメリットとデメリット

往々にしてメリットとデメリットは裏表ではありますが、

今回の楽天メディカルの採用に関して、

特徴的な3つのことに関してメリットデメリットを考えてみたいと思います。

主には営業部隊に関してではありますが、

1、MR認定試験が必須ではない

2、ひかり免疫療法に携われる

3、英語必須である

こちらの3つかと思います。

1、MR認定試験が必須ではない

今回いわゆる営業部隊ではMRの認定証が必須ではありません。

これは正直非MRの方からすると大きなメリットになるのではないかと思います。

MR未経験者がMRへの転職を目指そうと思ったら、

CSOを経由してメーカーに転職というのが一般的でしたので、

今回製薬業界未経験で、

製薬会社にチャレンジしたいという人は絶対チャレンジした方が良いと思います。

ただ、入社してもMR認定試験を受けられるわけではないと思いますので、

非MRの方がMRになれる!と思って入社するとしたらちょっと待った方が良いかもしれません。

MR認定証を必要としないデメリット

では、MR認定証を必要としないデメリットはなんでしょうか。

それはMR認定証がないと出入りできない病院や大学があると困るくらいです。

医療機器出身の方も多く採用されると聞いているので、

そこまで大きな問題はないと思いますが、

PMSの契約や回収、薬審、ヒアリング、説明会など、

その辺をいわゆる未経験の方がそつなくこなすことは厳しいと思います。

製薬会社は売るだけが仕事ではないので、

経験やノウハウが必要とされる仕事も多いので、

おそらく未経験者が多いとこなせないのではないかと思いますし、

MR経験のある方がいらっしゃった場合にかなり負担がかかるのではないかと想像します。

2、ひかり免疫療法に携われる

楽天メディカルに入社する1番のメリットは光免疫療法に携われることだと思います。

通常の抗体(バイオシミラーでも良い)にIRDye700DXという近赤外蛍光色素を結合させ、

標的腫瘍に得意的に結合して外部照射を行い癌を死滅させるという、

画期的な治療法であると思います。

またこの治療法自体は、抗体にバイオシミラーを使っても良いので安価に製造できること、

またIRDye700DXは他の癌腫にも応用が効くことを考えると、

頭頸部癌が成功したら次の癌腫への成功期待度高まると考えられます。

光免疫療法は既存治療を凌駕するものでは無い




ただ、この治療法自体の頭頸部癌に対する臨床成績は決して良くはありません。

当初行われた第 l 相試験の結果では、

奏功率93%、完全奏功43%でしたが、

2019年のASCOで発表されたPhase lla試験の結果では、

奏功率43%、完全奏功11%という結果でした。

もしかしたら第 l 相試験でこれだけ良い結果が出ているから良いんじゃない?と思う方も、

いらっしゃるかもしれませんが、

医薬品の臨床試験は数字が小さい試験ほど患者さんの状態が良かったり、

癌が小さい患者さんを中心に集めたりするため、

結果が良く出やすいです。

そのため現在承認を取るためにPhaselll試験を行なっておりますが、

2019年ASCOで発表されたPllaのデータよりも良い結果になることはまず無いと言えます。

なので、現在行っているP3試験で既存の治療法よりも優位性が示せないことも十分考えられます。

こちらクリニカルトリアルズに試験デザインがアップされています。

Photoimmunotherapy (PIT) Study in Recurrent Head/Neck Cancer for Patients Who Have Failed at Least Two Lines of Therapy

簡単にデザインを紹介しますと、

・局所再発頭頸部扁平上皮癌のみ対象

・再発頭頸部扁平上皮癌に対して2つの治療法を実施したが、それらの治療ができなくなった方が対象

・標準治療(医師の選択、ドセタキセル、セツキシマブ、メトトレキサート などが想定)との2群間比較

光免疫が勝ちやすいようにデザインされていると感じますが、

仮にPllaくらいの結果だとしたら、既存の抗がん剤治療とさほど変わらない、

もしくは僅差になるのでは無いかと予想されます。

ただ、抗がん剤治療と違って副作用が軽微に見えること、

治療が基本的には一回(回数が決められていること)で終わることは、

大きなメリットでは無いかと思います。

またステラファーマからBNCTという治療法が頭頸部癌に良好な成績を示しており、

治療法もやや似ている部分があることを考えると、現状では微妙と言わざる終えません。

ステラファーマのBNCTは楽天メディカルと競合するのか?

普通の製薬会社では絶対にしない楽天メディカルの報道の仕方

上述のステラファーマの記事でも書きましたが、

僕は楽天メディカルの報道の仕方にやはり疑問があります。

僕が製薬業界が長いため頭が固くなっているのかもしれませんが、

既にP2aのデータが出ているのに、P1のデータを用いて「夢の治療」と報道していたり、

P2aのデータはさほど既存治療と変わらない結果なのに、

30人中4人で癌が消えた!と報道しています。

30人中4人のがん消える 光免疫療法、治験結果を公表

確かに治療を受けた30人中4人の患者さんで完全奏功にいたっています。

しかし、それは「癌が消えた」にはなりません。

昨今オンコロジー領域ではMRD(微笑残存病変)という指標が流行っており、

目に見えない腫瘍も測れるようになっています。(本邦未承認)

MRDは血液癌でよく使われるようになっていますが、

そういった指標も用いていないのに「癌が消えた」は間違っているし、

普通の製薬会社であれば絶対にしない報道の仕方で、

必ず非難されると思います。

固形癌で「癌が消えた」と言って良いのは、

完全奏功(CR)に入ってから5年経過した場合と言われています。

こう言ったあたりに若干怪しさを感じてしまうと同時に、

残念な気持ちを抱いてしまいます。

僕はこの楽天の報道の仕方はデメリットだと感じています。

3、英語必須である

楽天は営業でも英語が必須だそうです。

理由としては、IRDye700DXに対して外部照射する機械が、

ドイツ製のもので説明が英語だったりするからだそうです。

僕は楽天自体が公用語を英語にしているからかなと何と無く思っていたのですが、

そう言った理由だそうです。

ただ、その機械を本当に普及させて正しく使っていただくのであれば、

しっかり翻訳したものを普及させるべきだと思います。

社員が英語必須でも、医療現場の方は英語必須の方しか使えないのであれば、

理解できますがそうでは無いし、

日本でビジネスをする以上日本語でしっかり記載すれば良いのでは?と感じます。

多分結構しんどい楽天メディカル

楽天メディカルで光免疫療法を扱うのは結構しんどいと思います。

医療機器が翻訳されないなど、

人材のリソースが足りて無いのでは?と思うし、

実際これまでの治療を凌駕するようなものでは無いにも関わらず、

医療機器を購入したりする施設がどれだけあるのでしょうか。

その機械がいくらするのかわかりませんし、

施設の特色を出すために購入するのはわかりますが、

既存治療とそこまで大差がないのであれば、どうなのかなと。

結局歪曲された報道を見た患者さんから要望ベースになるのではないかと感じてしまいます。

最後に

すいません、デメリットの方が多く書いてしまった気がします。

ただ、この治療法の一番良いところは治療が単発で終わるという部分だと思います。

ずっと抗がん剤を投与し続けなければならなかった時代と比べると、

同じ効果だとしてもだいぶベネフィットが高いと思います。

また色々なポピュレーションの方が挑戦できる窓口の広さも良いと思います。

ただ、年収もそこまで高くないと聞いているので、

やっぱりバリバリのオンコロジーMRの方は挑戦しないのではないかと感じています。

以上です。




 

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