ステラファーマのBNCTは楽天メディカルと競合するのか?

楽天メディカル

どうもこんにちは、だいさくです。

梅雨のジメジメした時期が続いて嫌ですね。

僕は6月の学会ラッシュで仕事が立て込んでしまって忙しかったです。

気づいたら早朝から晩まで仕事してた気がします。。。疲れました〜

さて、本日はステラファーマのBNCTが先駆け総合評価を開始したとのことで、

楽天メディカルのRM-1929にご興味ある方も多いと思いますので、

競合になりそうなステラファーマのBNCT療法に関して書いていきたいと思います。

ステラファーマのBNCTは楽天メディカルと競合するのか?




ステラファーマってほとんどの方がご存知ないと思います。

僕も今回のBNCT療法に関するニュースで初めて知りました。

ステラファーマはステラケミファ株式会社がBNCT療法を開発するために作った子会社になります。

こちらステラケミファになります。

ステラケミファ株式会社

調べた限りだと、半導体やリチウム電池系、フッ素化合物に強い化学系の会社です。

その一部のメディカル事業の中で、中性子の吸収能力が高い濃縮ホウ素(ボロン10)の

量産技術を初めて確立しました。

それがBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)と呼ばれる先端的な癌治療技術の開発につながっています。

そのBNCTの開発を請け負うのが今回のステラファーマです。

親会社のステラケミファは東証に1部上場してます。

BNCT療法とは何か?

BNCTBoron Neutron Capture Therapyの略で、

ホウ素中性子捕捉療法、

ホウ素(Boron)中性子(Neutron)捕捉(Capture)療法(Therapy)と呼ばれているいます。

癌の放射線治療の一種であり、がん患者にBNCT用ホウ素薬剤を投与することで、

癌細胞内にホウ素(Boron-10)を選択的に取り込ませ、

体の外部からエネルギーの低い中性子を照射するというものです。

この時、体内ではホウ素原子核が中性子を捕獲して核分裂反応を起こし、

この核反応により細胞にダーメ寺を与えるエネルギーを持つα粒子とLi反跳核が放出されます。

これらの荷電粒子は、体内ではそれぞれ約9μmおよび、5μmの飛程しかもたず、

この飛程はおよそ細胞1個分の大きさに相当します。

これらの特徴は理論的には(あくまで理論的には)、

周囲の正常な細胞等をほとんど傷つけることなく、

ホウ素を取り込んだ癌細胞を細胞レベルで選択的に破壊することが可能となります。

※BNCTの画像(国立がんセンターHPより)

BNCT療法の現状

BNCT療法は現在どの癌腫においても保険適用されておりません。

研究段階の先進医療として有名なのが、陽子線治療、重粒子線治療がありますが、

BNCTも同じ研究段階の先進医療に含まれます。

国立がんセンターなどを中心に、BNCT治療を行うための機器が導入されております。

ちなみに自費で治療すると大体300万くらいの費用がかかりそうです。

現在開発中の治験はいくつかありますが、

2019のASCO(米国腫瘍学会)にて、

ステラファーマのBNCT療法(SPM-011)が、

切除不能な頭頸部癌に対して良好な成績を示し、

先駆け総合評価相談が開始されたことも後押しとなり早く承認になる可能性があると思います。

一部の医療機関で自費診療として導入予定の施設もありそうです。

ステラファーマと住友重機械工業




BNCT療法は前述の通り、患者にホウ素薬剤を投与します。

そのホウ素薬剤はステラファーマと大阪府立大学の共同研究で開発されました。

その後に外部から中性子を照射するわけですが、

その照射するシステムがサイクロトロン中性子照射システムと言われるものです。

その機器自体は、京都大学と住友重機械工業の共同開発によるシステムになります。

ステラファーマはステラケミファの子会社ですが、

一部では住友重機械工業も出資してます。

このステラファーマの開発したSPM-011は住友重機械工業のシステムがなければ、

活かせないというところは覚えておいて良いと思います。

ちなみにその辺の開発に関する秘話みたいなものはこちらでよくまとめられています。

革新的がん治療法 BNCT シンポジウム 講演録

頭頸部癌に対する臨床成績

こちら、2019年のASCOで発表されたSPM-011の頭頸部癌に対する臨床成績と、

楽天メディカルのRM-1929の臨床成績の内容です。

対象患者のクライテリアが多少違うのでそこは注意です。

SPM-011(ステラファーマ) RM-1929(楽天メディカル)
フェーズ Phasell Phasell b
試験の目的 安全性と有効性 安全性と有効性
対象患者 治療抵抗性、
および再発の頭頸部患者
標準治療抵抗性局所進行頭頸部患者
n数 21名(うち8名が治療抵抗性) 30名
ORR 全体では71.4%

再発患者では75%,(CR50%)

治療抵抗性では69.2%(CR7.7%)

50%(15/30)、うちCR16.7%(5/30)
1年PFS 70.6% 未発表
1年OS 100% 未発表
副作用 悪心(81%),味覚異常(71%),耳下腺炎(67%)ほか、 96.7%の患者に何らかの副作用SAEは43.3%、

Safety and antitumor activity of accelerator-based boron neutron capture therapy in patients with inoperable recurrent and locally advanced head and neck cancer: A phase II study.

Results of a phase 2a, multicenter, open-label, study of RM-1929 photoimmunotherapy (PIT) in patients with locoregional, recurrent head and neck squamous cell carcinoma (rHNSCC).

ステラファーマのBNCTは楽天に取って競合になる

アブストラクトからの情報しか取ってませんし、

対象患者の詳しい情報はわからないのですが、

効果としてはステラファーマのBNCTの方が若干良い様に見えます。

発表内容も細かいのでさすが日本の先生が出した発表という感じがします。

BNCTと楽天の光免疫が競合になるかどうかっていうのは、

僕もわからないですが、同じ様なフローをたどる治療法ですので、

少なからず競合にはなると思います。

細胞に取り込ませる薬剤と、外部照射のための機械をどちらも使います。

僕の個人的な意見では、ステラの方が全て日本の会社が開発してますので、

浸透するのはステラファーマの方が早いのではないかという気もしてます。

コマーシャルはとても重要だと感じた両社の発表

僕が今回の記事でお伝えしたかったこととしては、

コマーシャルって重要だなということです。

楽天の光免疫は多分、癌領域に携わる人であれば恐らく知っていると思います。

でも、ほぼ同じ患者群に対して行われた治療で発表されたステラファーマのBNCTに関しては、

よくわからないと思った人も多いのではないかと思います。

楽天メディカルの情報発信の仕方は改めてすごいと思います。

ただ、2019年ASCOで今回のP2aが発表されているにも関わらず、

ORRは50%程度で正直普通にセツキシマブと化学療法を行っても、

そう変わらないくらいの成績だったわけです。

それでもASCOの発表後(6月5日)にもP1での成績を用いて、

半分の患者で癌が消えた!夢の治療みたいな情報を流しているのは、

楽天メディカルの対応ってどうなのかなとは思います。

小林 久隆―― 米国立がん研究所主任研究員 近赤外線を使ったがん光免疫療法を開発

今回楽天メディカルの募集ってMR経験の有無を問わない様になっているし、

色々な意味で今までのやり方とは違うもので行こうと思ってるのかと思うのですが、

医薬品は患者への啓蒙ももちろん大事ですが、処方するのは医師なので、

いわゆる普通のコンシューマー向けの商品を扱うのとは違うので、

僕みたいなものが言うことではないかと思うんですが、どうなのかなぁとは思いました。

最後に

すいません、最後は少し愚痴の様な形になってしまいましたが、

ステラファーマの方も今後営業職を募集していくとされておりましたので、

僕もアンテナ張ってみたいと思います。

ではまた!




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