これから血液癌領域を担当するMRの方へ僕からちょっとしたコツを

MRの仕事

どうもこんにちは、だいさくです。

血液癌領域ってどんなイメージを持ってますでしょうか。

僕は血液癌領域を担当する前は、

血液内科に対するイメージって、

なんか複雑で難しそう、

怖そう、頭良さそう、話聞いてくれなそう、

抗癌剤のプロ集団、、的なイメージを持っていました。

僕はこれまで固形癌も合わせて14癌腫くらいを経験したんですが、

なんやかんやで血液癌の領域担当してる期間が一番長いです。

今の会社も血液領域のスーパーオーファンに特化した会社で、

間違いなく血液癌領域を担当してなかったら入れなかったし、

血液内科の先生方に育ててもらった感というか、

感謝の気持ちも持っています。

血液領域担当MRの価値は若干高いらしい




なんだか、血液癌領域担当って市場価値が若干高いらしいです。

若干ってどれくらいやねん!と言われるとわからないですが、

僕の知り合いのエージェントの方が、

固形癌と違ってモリキュラーターゲットがはっきりしていてわかりやすいため、

血液癌は臨床試験も数多く行われていて、

新薬が出やすい、抗癌剤治療や放射線治療の発症が血液癌であったことから、

歴史が古く造血幹細胞移植も合わせて研究が進んでいる、

なので、その血液内科を担当するMRの価値が結構高いという話です。

歴史の古い抗癌剤治療の勉強も必要であり、

造血幹細胞移植の勉強から、

いわゆるターゲットの薬剤、

抗体医薬品から免疫、CAR-T系の再生医療まで、

古きから新しきまでをしっかり勉強して、

沢山の臨床試験もインプットしておく、

血液癌は高齢者にも多いですが、

小児やAYA世代、そしていわゆる若年者の層まで患者が幅広くいるので、

マルチな知識とDTL力が必要であるっていうのが、

現状の血液癌領域全般で価値が高いと言われている要因かもしれません。

まぁ結構大変だけど、新薬も比較的出やすい領域なので、

今から血液領域やっておくと良いよって意味もあると思います。

オンコロジーMRもピンキリ

もはや石を投げればオンコロジーMRに当たると言われるくらい、

溢れかえっているオンコロジーMRですが、

もちろんこれからオンコロジー領域が立ち上がるような会社だと、

オンコロジーの経験は活かせると思いますが、

「オンコロジーMRもピンキリ」ってのは、

最近の転職市場の中でも叫ばれていることでもあります。

オンコロジーMRもピンキリの中で、

血液癌領域をがっつり経験してる人はいわゆる「ピン」の方であると言われているそうです。

血液癌領域担当MRは何故価値が高いと言われるのか?

現在のオンコロジーのコンパウンドを見てると、

血液癌の領域はまだまだ激アツ市場とも言えます。

患者数がそこまで多くない疾患もあり、

ガイドライン読むとわかるんですが、

血液癌の種類は大体100種類以上あると言われており、

一つ一つの標準治療がはっきりとしていない疾患も多く、

「臨床試験を検討する」という項が多いのも血液癌の特徴です。

なので対照群が暫定的なエビデンスのものもあり、

新薬が出やすい。

アッビーのベネトクラクスなんかは間違いなく血液癌領域を席巻するだろうし、

セルジーンやノバルティスのCAR-T療法、

免疫各種、武田薬品や第一三共のADC系の薬剤、

核酸医薬、光免疫は血液疾患には厳しそうですが、

今後オンコロジー領域で注目される新薬候補の数々が血液疾患に対して承認され、

また新しい治験も行われています。

血液癌の治療は癌治療の基礎と言われるように、

血液癌担当してる方は沢山いらっしゃると思いますが、

おそらく今後若手の方も血液癌領域に足を踏み込む方もいると思いますので、

血液内科を担当するにあたって抑えておいた方が良いようなことを、

ざっと書いて行きたいと思います。

血液内科は難しい

これは早くもネタバレしますと、

血液癌領域の担当MRの価値が高いというよりは、

血液内科はオンコロジー系の製薬会社にとって最も難関と言われている診療科です。

あくまでオンコロジーだけに絞ったマーケティング調査ですが、

MRを始め製薬会社からの営業や情報が処方に影響を受けやすい診療科ランキング、

というのがあり、一番が乳腺です。

そして最下位になるのが血液内科なんだそうです。

血液内科は製薬会社にとって難関となる診療科であるため、

その血液内科でオピニオン担当していたなどの経験というのは、

採用者側からは魅力的に見えるんだそうです。

血液内科の武器は薬剤しかない




血液内科は何故MRにとって難関か?というと、

血液内科にとっての武器は「薬剤」しかないからです。

血液内科医が診る疾患は75%以上が血液癌です。

突発性血小板減少性紫斑病や再生不良性貧血などありますが、

メインで診られているのは血液癌全般になります。

通常外科医であれば手技という武器があります。

手技という武器と薬剤という武器を合わせて治療に望みますが、

血液内科医にとって武器は「薬」しかありません。

そのため血液内科は薬のプロ中のプロであるため、

まず知識レベルで絶対に勝てません。

勝とうとも思いませんし。

いや、移植があるだろ!と思いますが、

移植も薬剤をうまく使って行うのが基本的にはメインになります。

武器が薬剤しかない診療科ほど難関

癌領域だと肺がんの呼吸器内科も難関領域だとのことです。

ちょっとうろ覚えなんですが、血液内科ほどではなかったと思います。

ちなみに疾患全体のランキングでも血液内科はかなり下になります。

その中で神経内科もかなり難関だと聞いたことがあります。

神経内科のことは僕はよく存じてないですが、

血液内科を始め、薬剤を使うことが専門である診療科ほど難関だと言えそうです。

血液内科で営業っぽい雰囲気を出すと嫌われる

これはキャラにもよるんですが、

特に血液内科では、営業っぽい雰囲気を出すと速攻で嫌われる確率が高いです。

間違っても「使っちゃいましょう!先生!」的なことは絶対言えません。

多分MRを女性にする意味もほとんどないです。

なので、おっさんばっかです。

プライマリー系の会社が、血液癌の領域に参入してきて、

そのノリで喋って嫌われてしまい、

その後ビビって訪問できないってパターンは見飽きるほどあります。

使ってくださいの類の言葉は言わない方が良さそうです。

良いと思ったら使ってくれます。

僕も営業マンは買ってください、

使ってくださいを自信を持って言わないと伝わらないと思いますが、

よっぽど良い雰囲気というかそれを言っても大丈夫な雰囲気にならないと中々言えません。

本当に網羅的に勉強して理論的に喋らないと難しいです。

血液内科はコンパウンドから抑えてる

血液内科の先生は今走っている臨床試験も全部抑えてたりします。

作用機序から薬剤の特性をしっかり考えている先生も多いです。

これは僕がずっと東京にいるからかもしれません。

ローカルの血液内科の先生のことはわからないです。

血液内科の先生は化合物の時点からその薬の存在をマジで全部知ってます。

上述しましたが、これは血液疾患が他の疾患と違うこととして、

血液癌のガイドラインでは標準療法が確立されたものが少なく、

「臨床試験」を検討するというのが普通にあります。

この疾患でこの薬が効かなかったら臨床試験を積極的に検討するという意味合いです。

臨床試験が普通のお医者さんよりもかなりみじかにあるので、

今どんな臨床試験が走っていて、その臨床試験に入れるには、

どの医療機関に頼めば良いかというのも完全にわかっていたりします。

なので、外科医とかと違って比較的血液内科は仲が良いと思います。

あくまで比較的です。

血液内科にやってはいけないこと

上述のような営業っぽい雰囲気、

ただ売りたいだけっぽい発言ってのは血液内科に限らず、

いわゆるオンコロジストの先生には全般的にやると嫌われますよね。

でも血液内科が全般的に嫌うと言われているのが、

新薬の名前の由来の説明です。

血液内科医の先生はガイドラインで推奨されている標準治療の中に、

臨床試験が組み込まれているほど臨床試験に敏感です。

そのため、薬剤名も臨床試験の段階からずっと知ってる人がほとんどなので、

一般名で言います。

一般名でいう事に慣れすぎて、製品名で言われると、

変な名前で呼ばれる感覚になるそうで、結構嫌がります。

以前、佐久医療センターという長野県の大きな病院の血液内科の先生である、

森勇一先生がツイッターで、

「骨髄腫に対して出てきた新薬は正直一般的な血液内科の医者ならみんな知ってる。Phase lの段階からその存在を知っていて、やっと出てきたか〜くらいの感覚でいるし、一般名でいう事に慣れているのに、わざわざ製薬会社のわけのわからないネーミングをつけられ、その上そのネーミングの由来を説明されるとイラっとする」ってツイートしてたんですが、

これは現実でも本当に思っているそうです。

別にわざわざメーカーに言ったりはしないそうですが、

そういう人種なんだと思います。

血液内科医はどんな人か

こちら最後になりますが、

基本的に血液内科医は学歴の高い人が多いです。

一般的に内科は学歴高め、外科は低めっていいますが、

血液内科はその最たるところかと思います。

人柄も基本的に真面目です。

血液内科になると開業がしづらいっていうのもあるかもしれませんが、

血液内科を志した時点で、

もうその道をまっしぐらに行くと決めてる人が多いためか、

とにかく真面目な人が本当に多いです。

血液癌って治癒できる疾患も多いですし、

固形癌で言うところの膵臓癌なんかと違って治癒できなくても結構長生きします。

なので、患者さんと長く付き合っていかなければならない診療科でもあるので、

すぐ怒ったりは基本的にはしません。

体育会系ではないことが多いです。

僕はすごく理論的だと思うし、

たまに何考えてるかわからない瞬間があったり、

何気なく言った一言で笑ってくれたりして、

「今の何が面白かったんだろう?」とかおもったりもしますが、

とても勉強になるし血液癌は担当して本当に良かったと思ってます。

希少癌の数もダントツで多いのが血液癌の領域です。

小児の患者さんとか見ると本当に切なくなりますが、

やりがいのある領域だと思います。

もし今後担当するようなことがあったら是非頑張ってください!




 

コメント

  1. 独身MR より:

    ピンからキリまでのピンが血液がん経験者なら、キリはどういう方達なんですかね?

    私も今、元血液内科で今はプライマリーの疾患を診ている先生のところに訪問してるのですが、まぁー頭がいいです。&とにかく勉強熱心で、有名な文献は当然として、結構マイナーな文献やデータも全部自分で調べてはあくされてます。
    さらに、自分の論理というか、Myガイドラインを自分の中で作っていて、薬剤の使い方や飲ませ方も世間のトレンドや雰囲気とは違います。
    だいさくさんの仰る通り、こちらのPRが奏功した、刺さっていると感じたことは一度もありません笑
    使われてる薬剤は先生が勝手にハマってる、先生の中で良いデータが揃ってると考えられるものばかりです。

    ただ、ちゃんと話を聞くと物凄く理論的だし、患者さんのことをとても大事に考えてますよね。
    こんなDrを相手に立ち向かっていれば、確かにピンだと私も思います。

    • 大作 大作 より:

      キリは、大きい声では言えないですが、例えば1癌腫だけの1つの薬剤だけの会社で、
      今はかなり下火みたいな感じの会社です。
      ちょっと個別名は差し控えるんですが、多分オンコ経験者なら何と無く想像できるような会社です。

      血液内科って開業ができないらしいんですよ。
      血液内科で開業するってほとんど無理らしいので、
      総合内科的なものに転身したりとかするみたいなんですが、
      血液内科を志した時点で本当に医学に邁進する人が多い傾向にあるみたいですね。

      地味でキツイ診療科の一つみたいですからね。
      それ以外の診療科が違うという意味ではもちろん無いですが、
      多分ピュアに考えている人が多いのかもしれないですよね。

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