みなさんこんにちは、だいさくです。
私は27歳の時に異業種中途で外資系の製薬会社に転職しました。
現在は製薬業界に身を置いて10年目になりました。
私が転職した当時は完全なる売り手市場でしたね。
私のような異業種中途の人間でもいきなりオンコロジー領域に配属してもらえたし、
何より異業種中途入社で溢れている時代でした。
しかし、現在は異業種中途の募集すらほぼ皆無ですし、
当然オンコロジーなどのスペシャリストMRは経験者が強く優遇されています。
外資系メガファーマは女性の活躍を前面に出していますし、
この業界も色々と変化が著しいです。
後発品メーカーを取り巻く環境の変化
私はこれまで漠然と後発品メーカーだけは安泰だろうと思っていました。
今後、後発医薬品をもっと採用していく流れになって行くだろうし、
現在の経済状況が後発品メーカーにとって全ての後押しになって行くと考えていました。
しかし、後発品メーカーもこれまでのようにただ後発品(GE)を製造していれば良いという
状況では無くなってきているようですね。
先発品メーカーによるAGの台頭
一番の問題としてはAGの台頭かと思います。
AG(オーソライズド・ジュネリック)のことで、
簡単にいうと、先発品メーカーお墨付きのジュネリックです。
Authorized genericを訳すると、「先発品メーカーが特許を許諾した薬剤」
となると考えて良いと思います。
AGがGEと違うところは、AGは先発品とほぼ全て同じという部分です。
※第一三共エスファHPより
GEは苦戦していた
GEの浸透を厚労省が進めていたのが数年前でしたが、
それが中々進まなかった原因の一つが先発品とGEは成分も有効成分も違うのではないか?
ということでした。
これは患者さんというより、
先発品を処方している医師が、
GEの処方に変えた途端、先発品の時は経験していない副作用を経験したり、
有効性にイマイチ疑問を持つようなことがあり、
学会でもGEと先発品は違うという発表もされていました。
プライマリーな製剤ではあまりなかったかもしれませんが、
それまでGEは先発品の悪い部分を改良したような製品を出したりすることもあり、
そもそも先発品と同じものという前提であるにも関わらず、
改良したものを出して良いのかという話も出ていました。
そのため中々GEへの切り替えが進まなかった現状がありました。
私の担当していた施設でもGEを採用したけど、医師からの強い反発もあり、
先発品に戻した施設もあったくらいです。
GEの懸念点を全てクリアしたAG
そこで登場したのがAGになります。
GEの懸念点、有効性、安全性、成分は本当に先発品と同じなのか?
違うのではないか?実際使用してる感じも違う気が・・・
これをクリアしたのがAGになります。
AGを製造してるのは先発品メーカー?
AGは上述したように先発品メーカーお墨付きの製品になります。
こちらはアンサーズからの引用データになります。
ご覧の通り、AGを製造してる会社の多くは先発品メーカーの子会社になります。
あすか製薬は武田薬品の子会社になります。
もちろん、第一三共エスファがアストラゼネカや塩野義製薬のAGも製造してるので、
一概には言えませんが、
AGを製造してるのは先発品メーカーの息のかかった会社であることは間違いなさそうです。
先発品を安価にするではなぜダメなのか?
ところで、なぜわざわざ有効性も安全性も証明されており、
その薬剤に関する知識やノウハウも、
全てわかっている先発品を安価にするではダメなのでしょうか。
例えば、1回10万円の抗がん剤を、特許期間が終了したので、
5万円にします。これではなぜダメなのでしょうか。
むしろ、先生方も安心して使い続けることができるし、
製薬会社として、売り上げ金額は下がりますが、
0になるよりは良いのではないかと思います。
私はむしろそっちの方がずっと良いのではないかと考えていました。
雇用の問題
これは厚労省の方の記事で読んだことがあるのですが、
雇用の問題だと言ってました。
先発品を安くするのでは、新しい雇用は生まれません。
それをわざわざ、GEやAGにすることで
新しい雇用を生み出すことが目的であると。
なので、先発品メーカーは先発品メーカーとして、
新しい治療薬を開発し続けることが重要なのだと思います。
しかも、画期的な新薬を扱っている外資系ほど、
古い薬が市場に評価されていればそこまでリソースの配分を取らないこともありますし。
GEメーカーの今後は厳しい?
以前、私のブログに、独身MRさんから下記のようなコメントをいただきました。
最近発表されました、日医工へのエルメッド譲渡に関しての見解をお聞かせ願えますか?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180328-00000069-reut-bus_all
私としては、GEに関しても本格的に企業の絞り込みがスタートするなと感じております。
先般、田辺三菱が田辺製薬販売をニプロに譲渡したことからも分かるように、先発企業ではGE部門がもはや不採算部門なのだなと。
AGがここまで台頭してしまうと、AGを売れないメーカーは余程の納入価格を提示できない限りは全くメリットがなく、今まで国の政策でイケイケだったGEも完全に踊り場ですね。
若い方でもGE企業から先発企業に転職するのは非常に厳しい背景もあるので、それこそ入る企業はどこでも良いわけではないと感じています。
AGが絶対に良いは間違い
確かに現在のAG台頭の状況を考えるとGEオンリーのメーカーはかなり厳しいでしょうね。
てか、無理やんという気にすらなります。
薬剤を処方する医師からするとAGにしたいと思うのは当然だと思います。
ただ、ではAGが出てきたからGEが完全否定されるのも違うと思います。
AGが絶対!になってしまうと、現在AGが無いGEも沢山あるわけですし、
そもそもAGを作る気が無い薬剤もあると思うので、
AG絶対!の風潮はGE薬剤を患者さんが信用してくれなくなってしまうと思うので、
それはGEメーカーにとっても日本国にとっても良いことでは無いと思います。
ただ、、、やっぱりAGが無いのは厳しいのに変わりはないと思います。
GE部門は不採算
そう考えると、GE部門というのは不採算部門だと思います。
これからはその傾向が非常に強く出ますし、
これまでは下記のようにしっかり供給できる後発品メーカーが中心となっていましたが、
今後は、上述したような先発品メーカーお墨付きの会社の台頭
となっていくのではないかと思います。
よくわからないのが武田薬品
今回独身MRさんからコメントをいただき、
調べていた上で一番よくわからなかったのが、
武田薬品です。
武田薬品は元々あすか製薬という会社を子会社に持っていましたし、
あすか製薬が武田薬品のAGを製造販売もしているわけです。
なのに、わざわざテバと合弁会社を作り、
武田テバを作った意味がさっぱりわかりませんでした。
株式は49%が武田薬品で51%がテバです。
しかし、名前は武田の名前が前にきている。
テバは世界的には非常に大きな後発品メーカーですが、
日本は非常に苦戦していたことを考えると、
武田の名前を全面に出した方が良いのは明らかです。
ただ、、、武田薬品になんのメリットがあるのか???
そこが全くわかりません。
あすか製薬はどう思っているのか?
僕の仮説
これは完全に僕の仮説です。
結局答えがわからないので、仮説しかありません。
武田テバには沢山の武田薬品の社員が出向してます。
しかも、50代前後の社員です。
僕は目的はそれではないかと。
武田薬品はお金のかかる早期退職やリストラはあまり表立ってやりません。
しかし、人材を子会社に出向させたり、僻地に飛ばしたりするという手法を使うのは
よく知られています。
多分、目的はそれではないかと。。。
後発品メーカーへの転職は最後の砦か
ではそんな後発品メーカーへの転職はどうなのでしょうか。
一昔前は、50代のMRの方の最後の砦というか、、、
これまでの経験を最大限に活かせる職場であったと思います。
昔はスタートが後発品メーカーでも先発品メーカーに転職してくることも
往々にしてありました。
ただ、現在は厳しそうですね。
買い手市場の現状で、わざわざ後発品メーカーの人間を採用するというのは、
厳しいかもしれません。MR認定証を持っているのはわかりますが、
圧倒的に医師へのアプローチ経験が少ないのかなと。
後発品メーカーへの転職は年収が下がる
特に先発品メーカーで働いていた人のほとんどは年収が下がります。
私の周りの人間の話を聞いていると、大体600万くらいかとおもいます。
私自身は後発品メーカーでの仕事内容に興味はありますが、
まぁ僕は自分のこれまでの経験を最大限に生かすのであれば、
後発品メーカーではなくバイオベンチャー系の製薬会社の方が良いと思います。
現状は後発品メーカーへの転職をしたかたは、
前向きにしてるよりは、何かに迫られて転職した方が多いように見えるので、
転職はアグレッシブに計画的にチャンスを掴んで行った方が良いと思います。
では!
希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト
コメント
取り上げていただき、ありがとうございました。
GE業界は、先発品以上に競争も生き残りも厳しそうだなというのが私の試験です。
薬価の下落率もかなりキツイですし、新製品を出し続けないと売上を維持していくのも困難になります。
私もAGが絶対良いとは思わないですが、医療者、患者からすれば信頼あるだろうなと。
AGを売る戦略に関しても個人的には懐疑的で、あくまでも自社先発品のAGを自社で売るなら別として、直近の第一三共エスファみたいに他社のAGを売ることは、かなりのロイヤリティを支払ってるはずなので、相当なシャアを取らないと元は取れない気がします。
人として生き残ることを考えても、本当にGEメーカーは最後の手段という気がして、50を過ぎたベテランならともかく、若い方が転職するのはかなりリスキーな時代なのが現実ですね、次の転職やキャリアアップを考えた際には。
独身MRさん
コメントありがとうございます。
確かにそうですよね。
正直、GEとかって僕も最後の手段くらいにしか考えてない部分があったので、
AGがこんな状況になっていると言うのもよくわかってなかったんですよね。
とても勉強になりました。
GEの懸念点をうまく利用して、先発品の良い部分を活用してる優れた戦略だな〜とは思いました。
USとかでの状況も今度聞いてみようかと思いました。
USはGEを有無を言わさず変えていくから、AGが日本ほど台頭してんのかなと結構気になりました。
また何かわかったら追記したいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします!