【リアル体験!】後発品を扱うMRの実際の活動内容について

MRエピソード!

だいさくさん

いつも楽しく拝見しております。

せっかくの機会ですので、自身の経験の棚卸しも含めて応募させて頂きます。

私は現在30代中盤で、いわゆる専門領域でMR活動をしています。

そもそもは異業種からCSOに入って、

そこから幾つかのプロジェクトを経て現在のメーカーに自ら転職活動して入社いたしました。

CSOで最初に従事したのが後発品メーカーのプロジェクトであり、

その際の経験と実際の部分をお伝えできればと思います。

【リアル体験!】後発品を扱うMRの実際の活動内容について




当時からは多少年月が経っていますが、当時の状況と今の状況を含めてお話します。

しかし、後発品メーカーのMRと先発品メーカーのMRの活動はあまりにも違いますし、

これはあくまで私個人の見解でもありますが、

なるべく客観的な事実をお伝えしようと思っておりますのでご容赦頂ければ幸いです。

そもそも、新卒の学生や異業種の方が「MR」と言われて想像するのは、

いわゆる「新薬」を取り扱うメーカーMRだと思います。

医師に会い、最新薬剤の情報やエビデンスの情報提供を行い、

ディスカッションして処方提案を行う…。

当然、私もそのような姿をイメージしてCSOの門を叩きました。

後発品MRと先発品MRは全然違う

結論から申しますと、

後発品メーカーのMRは新薬メーカー(先発メーカーとも呼ぶ)のMRとは、

活動も実情も全てが全く違います。

MRという括りこそ同じですが、実際の業務内容は180度違います。

以下、私が新薬と後発品を取り扱う上で違うと思う部分になります。

後発品MRの顧客は主に薬剤師

MRの顧客=医師だと誰もが思うと思いますし、

もちろん後発品に関しても基本的に医師は重要です。

ただ、後発品メーカーの主な顧客は薬剤師です。

と言いますのも、後発品に関しては基本的に調剤薬局が主導権を持っています。

ご存知の方も多いと思いますが、

医師の出す処方箋が「後発品変更不可」にさえなっていなければ、

後発品に変更するかは薬局に裁量がゆだねられています。

当然、どのメーカーを採用するかは薬局の匙加減なので、

必然的に薬局へのプロモーションが主になるわけです。

院内処方先は別ですが、今のご時世は院外処方でない施設の方が少ないです。
※処方元の医師が関与している場合もあるので、そういう場合は別で医師へのPRが必要ですが、圧倒的に時間がかかって非効率です。
開業医は当然として、病院に関しても薬剤部長が後発品に関しては決定権を持っている場合も多く、医師へPRする必要がないのも大きな理由です。

後発品メーカーのMRには競合が多い

後発品メーカーには競合が非常に多く、実績は100か0になります。

今は少し前と比べれば少なくなりましたが、

大型品の特許が切れると20社前後のメーカーが後発品を発売します。
(ちょっと前は30社とか普通に発売してました)

今現在、最大のレッドオーシャンと言われる糖尿病領域のSGLT2ですら、

競合するのは6製品ですので、そう考えると凄い競争率です。

ですので、取るか取れないかの完全なる100か0で、

売れてるMRとそうでないMRは新薬メーカー以上に実績は差が付きます。

後発品MRは卸にもメーカーにも嫌われる可能性がある




新薬メーカーのプライマリー領域でも卸MSの存在は重要ですが、

後発品に関してはMSの存在はより重要だと思います。

と言いますのも、そもそも後発品メーカーは人数もそこまで多くないので、

いかにMSの力を借りて効率的にPRするか、

情報や引き合いがあれば話を振ってもらうかが非常に重要です。

ただ、後発品MRは基本的に卸MSには嫌われ者です。

彼らからすれば「売上を減らす邪魔な存在」なわけです。

新薬MRに関しても自社製品を後発品に変える邪魔な存在以外の何物でもありません。

MSは後発品に変えても売上は半減しますが、

新薬MRにとっては実績を0にされるので、嫌うのは当然です。

新薬MR同士は普通に仲良くしたり友達になることも珍しくありませんが、

私の経験上、後発品MRと新薬MRが仲良くしているのは見たことがありません。
(もちろんフィールドが違うというのもあります)

だからといって、後発品MR同士が仲いいかと言えば、

お互いに直接バチバチの競合ですので、仲良くしているのはこちらも見たことはありません。

ですので、正直かなり心は荒むとおもいます。

特に若い女性MRは辛そうだったのを覚えています。

販社MS(後発品専門の卸)の存在

そんな後発品MRにも強力な仲間がいます、それは販社MSです。

いわゆる後発品専門の卸ですね。

通常、卸と言うと広域の4大卸や地場卸をイメージされると思いますが、

後発品でも専門で取り扱っている業者がいて、

有名なところだと「西部沢井」「京葉東和薬品」等があります。

その名前の遠り、沢井製薬や東和薬品の製品をメインに取り扱っていますが、

その他の様々な後発品メーカーも取り扱っており、

西部沢井は日本一の販社でMSもかなりの数が存在しており、

かなりの売上をあげています。

販社は5~6年前で400社以上が大小含めて存在していたようですが、

今はかなり減っているようです。

ただ、後発品メーカーにもそもそも分類がありまして(後述)、

販社が扱うのは後発品専業メーカーの製品です。

新薬系やハイブリッド系は卸販路しか活用しておらず、

卸としても売るならなるべく新薬やハイブリッド系のメーカーを売ろうとする気配が強いです。

専業メーカーは販社を活用している事情もあり、卸MSからは嫌われる要因となっています。

新薬系…第一三共エスファ、ファイザー等
ハイブリッド系(新薬と後発品どちらも扱う)…明治製菓、吉富薬品等
専業系…沢井製薬、日医工、東和薬品等

学術知識は基本的に不要で泥臭い活動必須!差別化は困難

新薬と違い、そもそも後発品は学術的な知識を求められないので正直楽です。

基本的に「先発品と同等」ですし、

既に市場に浸透しきった成分ですので、得意先もそこは求めていません。

ただ、後発品に関しては基本的に採用されるメーカーは1社のみです。

新薬に関しては、同種同効薬でも複数製品採用されることは普通ですが、

後発品はそもそもどれも全く同じ成分ですので、

複数メーカー採用されることはありません。

そして、一度採用になった後発品メーカーを別メーカーが切り替えるのは至難の業です。

新薬であればエビデンスや特徴次第で提案が可能ですが、

後発品はそもそも同じ成分なので、

切り替えるのは余程の納入価格を提示でもしない限りは得意先も切り替えるメリットがありません。

ただ、価格で切り替えるにしてもそれは完全なる得意先都合で、

患者にとってはメリットが全くないので、新薬以上に切替は難しいです。

後発品の国内市場は頭打ち

政府が国内での後発品促進策を打ち出して、

置き換え率80%を目指すと打ち出して久しいですが、

そろそろ80%という数値も現実味を帯びてきて、

これ以上は劇的な伸びが期待できない状況です。

主要な後発品メーカーも海外事業に活路を見出そうとしており、

業績は一見好調に見えますが内実は一概にそうも言えないです。

沢井や日医工は完全にアメリカへ活路を見出そうとしていますし
(日医工はエルメッドエーザイを取り込んだ影響もアリ)、

東和が好調に見えるのは今までの直販や販社だけでなく、

卸販路を活用しだしたので好調に見えるだけだったりもします。

何よりも、最近はAG(過去のだいさくさんブログにも記事があるので詳しい説明は省きます)が市場の5~6割を席巻してしまうので、

残りの半分以下の市場を残った多くのメーカーで食い合う泥仕合が繰り広げられます。

AGを採用しない施設の理由は、

納入価格に厳しい等の何かしらの理由がある場合が殆どかと思います。

新薬メーカーへの転職は難しい




もしこれからMRになりたいと思う学生の方や、

異業種からの転職でCSOを検討されている方は、

正直後発品に関しては避けた方がいいかと私は思っています。

後発品、漢方、眼科領域は他領域に転職しにくい3大領域と言われていますが、

特に後発品は最も厳しいと思います。

それは前述した1と5の理由が大きく、
(学術が基本的に不要である事、顧客の中心が薬剤師である事)

活動相手が医師ではなく薬剤師である点と、

MRとしての活動が新薬メーカーと比べて乖離が大きい為に敬遠される場合が非常に多いです。

昔は後発品メーカーから新薬メーカーへ普通に転職できていましたが、

圧倒的な買い手市場の現在では非常に厳しい状況です。

製薬業界は転職が普通ですし、むしろそれありきで考えるべきだと思いますが、

最初に後発品を選んでしまうと、

一気にその後のキャリアで選択肢の幅が狭まってしまう可能性があります。

ですので、新卒の学生であれば後発品メーカーは選択肢から極力外す。

CSOを検討している方はなるべく応募時にアサイン予定のメーカーを確認することが必要
かと思います。
CSOの場合、最初はプロジェクトを選べないので難しい部分もありますが、

私自身がとても苦労した経験から、そこも含めて検討するべきだと私は考えています。

以上、私が認識している後発品事情をお伝えしました。
少しでもお役に立てたら幸いです。

だいさくより

渾身の記事をありがとうございました!

正直後発品の業界のことってなんとなくしか分からなかったので勉強になりました。

どの仕事もそうだと思うけど、大変な仕事だし楽では無いですよね。

新薬が良いかというと、新薬は新薬で出せなかったら終わりですしね。

最初の領域選びでこけるとびっくりするくらい未来が開けなかったりもしますしね。

でもとても勉強になりました!

本当にありがとうございました!!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました