どうもこんにちは、だいさくです。
ルンドベック社が立ち上げ募集を開始しましたね。
CNS領域では、
米リリーとAZが共同開発していたアルツハイマー型認知症の治療薬ソラネズマブの失敗、
シンガポールTauRxファーマシューティカルズのタウタンパク質標的の失敗、
米メルクのBACE阻害薬ベルベセスタットの試験中止など、
かなりの開発費が注ぎ込まれているにも関わらず、
中々ものになっていない領域ではあり、
CNSの専門畑を歩んできた方にとっては寂しい状況だったと思います。
ルンドベック社がMR募集開始!CNS経験者には朗報!
CNSの領域は日本では内資系が中心になっていたこともあってか、
転職案件が少なく、
もしかしたら途中でCNS専門領域を諦めてしまった人もいるかもしれません。
ルンドベックのような会社が立ち上がることはそんなCNS領域専門MRの方にとって、
朗報なのかなと思いました。
ちなみにですが、僕はオンコロジー専門しかやった事がありませんので、
CNS系の記事を書くのに慣れておりませんので、
その辺悪しからず。。
CNS領域の将来性は高い
こちらは大手製薬会社の研究開発費の領域別の参考データです。
実は、CNS領域にはオンコロジーの次に開発費が注ぎ込まれている領域になります。
色々な化合物に対して名だたる製薬企業が現在でも開発費を注ぎ込んでおり、
失敗と挑戦を繰り返している段階です。
タウタンパク質に関してもTauRxは治験失敗しましたが、まだ包括的に議論がされており、
J&J、ロシュ、BMS、アッヴィも開発を進めています。
少し不遇な面のあるCNSですが、エーザイ&バイオジェンのアデュカヌマブは良好な成績を示しているなど固い扉に少しづつ穴が空き光が差し込んでいる状況でもあります。
※のちに失敗してしてしまいました
依然としてCNS系の疾患で苦しんでいる患者さんは多く、
そこに対する研究開発費も注がれていることを考えると、
将来性は非常に高い領域だと思います。
ルンドベック社とは?
ルンドベック・ジャパン株式会社
【本社】東京都港区虎ノ門
【本国】デンマーク
【社員数】20人(日本)5,120人(世界)
【世界売上高】2,848億円(2017年)
ルンドベック社はCNS領域を経験されている方はご存知の会社だと思います。
デンマークに本社を構えており、
中枢神経系(CNS)の疾患治療薬に特化したグローバル企業です。
日本法人は2001年に設立されておりますが、
デンマークでは1915年にコペンハーゲンに設立されており、
当初は、映写機からお菓子、掃除機のレンタル業などをやっていた、
いわゆる商事会社だったようです。
1922年に統合失調症患者に対する持続睡眠療法としてのソムニフェン治療をきっかけに、
医薬品事業に参入し、1926年から自社製造も開始しています。
現在はコペンハーゲンの証券所に上場しており、
60%以上の株はルンドベック財団が保有しているので、
多分ですが、買収リスクがそこまで高くない気がします。
いわゆる安定企業かと。
ルンドベックはライセンスアウトの会社
ルンドベックは日本においては、これまでライセンスアウトをしてきた会社です。
薬剤名 | 導入先 | 適応 | 導入時期 | 年間売上高 |
レクサプロ | 持田・田辺三菱(吉富) | うつ病・うつ状態・社会不安障害 | 2011年 | 114億円(2016年) |
レキサルティ | 大塚製薬 | 統合失調症治療薬 | 2018年1月 | 675億(海外売上含む) |
セリンクロ | 大塚製薬 | アルコール依存症治療薬 | 2018年11月 | 不明 |
「ライセンスアウト」というよりは、共同開発ですかね。
EUと米国ではルンドベックが中心に開発をしてるように見えますが、
日本では、基本的に導入先にある会社と共同開発を行っており、
レキサルティの化合物(Brexpiprazole)は大塚が発見したということもあり、日本では大塚製薬が主導で日本の治験も行っているようです。
ルンドベック MR募集開始!
そして、これまでライセンスアウトを行ってきたルンドベック社ですが、
2019年の8月頃より、本格的に営業部隊が立ち上がっています。
現在の社員数20人から80人まで段階的に増やす予定です。
ただ、上述の現在ライセンスアウトしている3つの薬剤に関しては、
現状ではそのまま従来通り行っていくと発表されております。
ルンドベック社MR募集背景にあるボルチオキセチンとは?
今回ルンドベック社の営業部隊立ち上げは武田薬品と共同開発してきた、
ボルチオキセチンという薬剤を武田薬品とコプロモーションを行うからです。
ボルチオキセチンとは?
ボルチオキセチンは、チオエーテル型フルオキセチン誘導体で、
商品名は「トリンテリックス」です。
ボルチオキセチンの抗うつ作用の機序は完全には解明されておりません。
セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用と5-HT受容体活性を直接調節する5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体部分的刺激作用、5-HT3,5-HT1D,5-HT7受容体拮抗作用などを持ち、セロトニン系、ノルエピネフリン系、ドーパミン系、ヒスタミン系、アセチルコリン系、ガンマアミノ酪酸(GABA)系、グルタミン酸系を含む、いくつかの系において神経伝達の調節を行うとされています。
これらの作用の一つ一つがボルチオキセチンの抗うつ作用にどのように寄与しているかはっきりとわかっておりませんが、こういった薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の化合物であると考えられております。
ボルチオキセチン(トリンテリックス)の適応は大うつ病
ボルチオキセチンの適応は大うつ病になります。
武田薬品との共同治験の結果、大うつ病性障害(MDD)において、日本における臨床第lll相試験で良好な結果が出たと発表してます。
成人MDD患者を対象に490例の患者さんに、投与8週目で評価基準であるMADRSがプラセボ群と比較して有意に改善されています。
この試験の結果を元に武田薬品とルンドベック社が2018年に国内申請しております。
MDDは世界では約3億人、日本国内では約70万人の患者さんがいると言われています。
ボルチオキセチンは既に2013年に米国で承認取得され、その後欧州、中国を含めて77カ国で承認されています。
ルンドベックのMR募集背景
※ルンドベック・ジャパンの社長:ビョーン・ヴェリン社長
では、これまで日本のビジネスはライセンスアウトのみだったルンドベック社が、
なぜ今回立ち上げを行うことになったのでしょうか。
一応パブリック的に公表されている内容としては、
ボルチオキセチンを武田薬品とコプロモーションしていくため、
社員数を4倍の80〜90人まで増員していくとあります。
数字は組織評価とされており、
恐らくですが個人数字は持たないのではないかと思います。
なので、今回のパターンの立ち上げは、「MR」というよりは、
どちらかというと武田薬品の社員との同行やマネジメントが中心になりそうです。
ちなみに、面接は2月からで具体的な立ち上げは7月か8月頃を予定しているとの事。
ルンドベック社立ち上げ背景(私見)
これまでいくつかの会社の立ち上げ背景などを見ていると、
今回のルンドベック社のようにこれまで日本ではライセンスアウトしてきた会社が、
営業部隊を立ち上げるパターンは、
何かしらのビジネス的な背景が必ずあります。
僕のブログ内でも何度か触れてますが、ライセンスアウトはコストもかからない代わりに、
そんなに儲かりません。
ルンドベックの国別売上構成比を見ても日本は皆無です。
売上構成比のほとんどがアメリカ、ついでEUです。
実はルンドベックの得意とするCNS領域の日本の市場は、
アメリカに次いで2番目に大きな市場です。
しかも創製が難しいCNS領域の薬では、わずかな差が重宝されます。
日本国内の医薬品市場は良いとは言えない状況ですが、
ライセンスアウトのみの企業が新たに立ち上げる理由は、
やはり日本の市場は魅力的なのです。
ルンドベックに関しても、得意のCNS領域で、
市場が大きい日本、他者にライセンスアウトしてきて、
日本でのノウハウも蓄積されてきた、
その辺りが今回の立ち上げ背景だと思います。
ルンドベックの採用面接に関して
ルンドベックの面接内容ですが、
簡単にわかってることだけ記載させていただきます。
書類通過したら、通常面接に加えて、
ロールプレイがあります。
時間は大体10分弱くらいで、
うつ診療に関するドクターの本音を探れるか?
現在未採用の自社抗うつ薬(架空製品)を次回訪問時に詳細説明させてもらう確約を取る、
みたいな感じだそうです。
面接官がそのままDr役をやるそうですが、
その先生の背景も設定されていたりしますので、
しっかり気合い入れて準備しましょう。
ロープレで話せないことは本番でも話せませんもんね。
ルンドベックのパイプライン
立ち上げに関して重要なのはパイプラインかと思います。
こちらがルンドベックのパイプライン及びコンパウンドになります。
フェーズ1のものは記載してません。
疾患 | 化合物 | Phase |
統合失調症 | Lu AF35700 | lll |
PTSD | Brexpiprazole | ll |
アルツハイマー病 | Brexpiprazole | lll |
双極性疾患 | Brexpiprazole | lll |
パーキンソン病 | Foliglurax | ll |
Brexpiprazoleはレキサルティのことなので、日本では大塚製薬が自販してます。
すでに米国でも統合失調症と大うつ病で承認されています。
上述しましたが、この化合物は逆に大塚製薬が発見して共同開発してると記載されていますね。
他の二つの化合物も後期Phaseに進んでおり、
今後は完全自販体制を敷いていくためのパイプラインはそれなりに充実していると考えられます。
また、2019年にAbideという会社を買収しているので、
今後はNASHへの適応症も含むパイプラインが入ってきそうです。
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ルンドベックで働きたい方はデンマークを知ろう!
実は日本にある外資系製薬会社というのは母国の考え方に依存するケースがあります。
外資系製薬会社の雇用はなぜ厳しいのですか?【読者さんからのQ&A】
なのでまずその母国がどういうところなのかを知ると結構良いと思います。
デンマークは、スェーデンの下、ドイツの上に位置する小さい国です。
人口は550万人で、なんと!女性の就業率が74.8%と非常に高いです
国民総出で働いている国なんですね。
一時期国内に職がありすぎて働いてくれる人がいなくなって困ったくらいだそうです。
通過は「デンマーク・クローネ」という通貨で、
1デンマーク・クローネが約15円になります。
小さい国なので国民を大切にしている印象で、
もし職を失った場合の失業保険が非常に手厚くできております。
雇用の保護指標を見ると、デンマークは、日本よりも雇用保護指標が高いです。
アメリカやイギリスはご存知の通り非常に雇用保護が低いので、
アメリカ系やイギリス系の会社よりは雇用が守られている国であると言えます。
ルンドベックへの転職に関して
ルンドベックへの転職に関しては、
上述の通り、CNS専門領域をなんらかの理由で諦めてしまった方には良いと思いますよ。
基盤がしっかりしてますし、
パイプラインも充実している。
今後の市場の大きさを考えても僕は良いと思います。
ただ、募集要項がCNS領域の経験者オンリーであることや、
武田薬品とのコプロモーションから始まるので、
最初は少しぶつかりそうな感じはします。
武田は武田のやり方みたいなのがあると思いますので、
自分のやり方で自由にやる!ガンガン数字上げてやる!って感じでは全くないと思います。
立ち上げの最初のメンバーってとても重要ですし、
立ち上げメンバーのパフォーマンスによって今後のルンドベックの日本での将来性が
決まってきます。
僕がもし元々CNS領域専門MRで本当はCNSがやりたいんだけど、、、
案件がないから諦めてしまった、、、のであれば絶対挑戦したいなと思います。
でもこれがオンコロジー領域に置き換えて、
ライセンスアウトしてた会社がコプロでオンコで新規立ち上げだったら、
多分受けないと思います。
オンコロジーは今後も立ち上げ案件がかなりありそうなので、
あくまでオンコロジーだったらの話です。
僕が知ってるルンドベックの事(英語必須かもよ)
実は、僕の今の会社の薬事業務で働いている方の知り合いがルンドベックで働いていました。
その方は女性で、デンマークというお国柄かとにかく女性が働きやすいと言ってました。
育児休暇中だったり、いわゆるワーキングマザーも多いとのこと。
ちなみに現在のルンドベック社の男女比は4:6で女性優位です。
ルンドベックは年棒制で昇給・賞与は年に1回になります。
都内勤務の方で保育園が入れなかった人のための無認可保育園手当てみたいなのもあるとか。
今までは内勤職が中心だからというのはあると思います。
ライセンスアウトしかしてなかった事もあると思いますが、
比較的暇だと聞いたこともあります。
まぁ導入先がコテコテの内資系で人が多いのもあってのことかもしれません。
あと、上司がデンマーク人で(社長もデンマーク人)、
20人しか社員がいない事もありレポート先が外国人であることが普通だそうです。
MRの募集要項には英語必須とは書いてませんが、
採用が基本的にマネージャー職なので、
上に上がっていきたいと思ったらやっぱり英語はできておいた方が良いと思います。
英会話がもっと上手になりたい!そんな方におすすめの7つの方法!
ルンドベックの管理職はGSKが多い
あとこの記事をアップした後にいただいた情報ですと、
ヨーロッパつながりなのか、
ルンドベックの管理職はGSKの方が多いそうです。
後、ルンドベックの薬剤の導入先の企業からの採用は原則しないという話です。
あくまで原則なのでエージェントの方に聞いてみると良いと思います。
最後に
実は、今回の記事は、読者さんから教えていただき、
僕の私見も交えてとのことだったので私見多めで書いてみました。
CNS領域の勉強はしてるつもりではあるんですが、
やっぱり経験者の方にはかないません。
細かい部分が勘違いしてるとかあるかもしれませんが、
その時はどうぞご指摘いただければ嬉しいです。
CNS領域のことに関して、いくつかの記事を拝見していて思うのは、
まだまだ未成熟な領域なんだなと単純に思いました。
オンコロジーと違うのは疾患の原因が曖昧すぎるので、
今回のボルチオキセチンも治験してみたら良さそうだった、
だからP3やってみたらやっぱり良かったみたいな感じなんですよね。
癌と違って腫瘍径のサイズが小さくなったとか、
生存期間が延びたなどの明確な違いがよくわからないっていうのが、
良い意味でも悪い意味でも面白そうだと感じました。
あとは、日本国内に関しては、とにかくCNSは内資系優位な状況ですね。
特に大塚さんがかなり台頭してそうですね。
兎にも角にもCNSの経験者の方には朗報であり、希少な案件だと思いました。
いただいた情報からだとリクルートから案件をもらえたそうです。
この手の立ち上げあるあるでエージェント絞ってるかもしれませんね。
こちらの記事もご参考ください。
MR転職サイトおすすめランキング!現役MRが厳選したおすすめサイト
ではまた!
コメント
いつも楽しく拝見させて頂いております!
元GSKなのですが、今回の案件は元GSK、元GSK、ライセンス先の企業からは採用しないとヘッドハンターから伺いました。。
恐らくMKTや営業のTOPが全員GSKの旧CNSチームなので、そういう形にしたのだと思います。
個人的にはそのやり方だと良い人材が集まらないので条件緩和されると思っていますが、、
ルンドベックが、安定企業かどうかは実はあんまりよくわかってはないんですが、
ライセンス先から採用しないっていうのはなんか安定企業っぽい考え方ですよね。
多分協業規定のことを意識しすぎているんでしょうね。
なんか、なんとなくですが、、、MRもGSKから引っ張ってきそうな感じがしますね。。それは。
一つの企業に絞りすぎると良くないですからね。
緩和された方が良さそうな気はしますけど、日本での営業が新参だから色々軌道修正しながらやっていけると良いんでしょうけど、
その辺は経営者の手腕が試されますね。
貴重なコメントありがとうございます!