エーザイが認知症治療薬アデュカヌマブの治験失敗・・悲報です

エーザイ

どうも・・だいさくです。

エーザイのアデュカヌマブの治験、中止しちゃいましたね。

かなり期待を持たれていただけにとても残念で仕方ないです。

サンバイオの慢性期脳梗塞の失敗が発表されて株価の大暴落したくらい、

エーザイの株価も下がってます。

エーザイが認知症治療薬アデュカヌマブの治験失敗・・悲報です




今回調べていて率直に思った事は、

エーザイのパイプラインは今回の失敗でかなり枯渇しそうです。

不安を煽る気持ちはもちろん無いですが、

正直大手のパイプラインには見えないくらい枯渇してきそうです。

買収するかリストラするかわからないですが、

なんらかの策を打つ必要がエーザイはありそう。。。

それにしても、嫌なニュースが続きますね。

2019年に入ってから落ちるニュースばかり記事にしてる感じがします。

アデュカヌマブとは?

アデュカヌマブはエーザイがスイスにあるNeurimmune社から導入した、

早期アルツハイマー病の治療薬候補として臨床試験が行われていた、

開発コードBIIB037という名前の化合物(コンパウンド)になります。

ヒト遺伝子組み換えモノクローナル抗体(mAb)で、

アルツハイマー型認知症の原因の一つであると言われていた、

いわゆる「アミロイドカスケード仮説」に対する治療薬候補であり、

認知症発症後のアミロイドβとタウの分解・排出促進を行い、

アミロイドβ量を低下させる作用があると言われていました。

治験が最終段階である第lll相試験が行われており、

認知症に対する治療薬候補の中で、

もっとも期待されていたのがアデュカヌマブでした。

2017年10月より、バイオジェンとエーザイで全世界的にアデュカヌマブの開発、

ならびに製品化を共同で実施しておりました。

※Neurimmune社

エーザイ&バイオジェンのアデュカヌマブ第lll相試験が中止に

人類最大の疾患の一つと言われていたアルツハイマー型認知症に対して、

アデュカヌマブは治療できる可能性の時代を迎える夢の実現に期待されておりましたが、

今回残念ながら主要評価項目が達成される可能性が低いと判断され、

本試験が中止されることが決定いたしました。

今回中止になったのは、ENGAGE試験、EMERGE試験で、

アデュカヌマブの有効性、安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、

プラセボ対照、並行群間比較のグローバル共同臨床第lll相試験になります。

主要評価項目はプラセボと比較したアデュカヌマブのCDR-SBによる、

認知機能・臨床症状の低下抑制の効果を評価するというものでした。

日本の厚労省からも「先駆け審査指定制度」の指定を獲得しております。

アデュカヌマブはNature誌の表紙にも

本試験は、前駆期および軽度のAD患者(n=165)を対象に実施された、

第lb相プラセボ対象試験において、

アデュカヌマブ投与が脳内のアミロイドβを用量依存的に減らせることが示され、

解析の結果臨床的機能の低下を抑制することが示されました。

その結果はNature誌の2016年9月号にも掲載され、

表紙も飾っております。

Nature誌表紙

内藤社長はアデュカヌマブは失敗しない!と言っていた

2019年の2月に東洋経済のインタビューに創業家の孫である内藤社長が、

「認知症薬は失敗しない、全身全霊を傾ける」と言っていました。

インタビュー/エーザイCEO 内藤晴夫 「認知症薬は失敗しない、全身全霊を傾ける」

エーザイの姿勢としても、内藤社長の姿勢としても、

挑戦する姿勢は凄いと思います。

ちょっと読みが甘いという投資家からの厳しい意見も結構あります。

でも、挑戦した上での失敗はバイオの世界では必ずあることだし、

しょうがないことです。

現に内藤社長は「リスクを取らないなら薬屋である資格はない」と話しています。

結果が全てのこの世界でありますが、

この分野は欧米のメガファーマが撤退する中でリスクをとってチャレンジしていることは、

評価されることだとは思います。

本当に残念ではあります。

エーザイの認知症コンパウンドはかなり厳しい




まだ結果が出てない状況ではありますが、

ここでは勝手にエーザイの認知症治療薬3本柱と名付けさせていただきますが、

現在エーザイの認知症治療薬のコンパウンドは3つあります。

今回中止となった「アデュカヌマブ」、

そして「エレンベセスタット」、「BAN2401」です。

エレンベスタットは第ll相試験では臨床的有意差が出ませんでした。

しかし、現在強行的に第lll相試験に突入してる状況です。

そして「BAN2401」、こちらも第ll相試験で12ヶ月時点で効果が認められず、

18ヶ月の段階で有効性や独自エンドポイントにも懸念されていた結果でしたが、

第lll相に突入してます。

もちろん蓋を開けてみないと何もわからないですが、

この疾患の難しさを考えるとエーザイの認知症3本柱はちょっと厳しいかと個人的に思います。

エーザイのパイプラインも厳しい状況に

またエーザイのパイプラインも全体的にかなり厳しいと思います。

こちらエーザイの決算説明会のパイプラインに関する資料ですが、

11.主要開発品

今回中止となったアデュカヌマブを含めた認知症三本柱を仮に除いて考えてみると、

正直かなり厳しいかなと。

一見たくさんあるように見えますが、既存薬であるレンビバや、

ハラヴェンに関するものも多く、

新規の薬剤に関しては適応があまりにもニッチではあります。

単体の社員3,200人を支えられるようにはちょっと見えません。

社員900人くらいの中堅の製薬会社であれば良いのかもしれませんが、

パイプラインだけ見ると中堅製薬会社の規模にみえます。

エーザイの株価は急落

今回の発表を受けてエーザイの株価は急落してます。

現在(2019年3月22日)の段階で7,565円ですが、

ストップ安となっており売買が成立してない状態になっています。

ブルームバーグのニュースでは、売り注文が413万株に対して、

買い注文が14万株となっており、アナリストの計算では、

おそらく6千円くらいまで下がるとされています。

ちなみにバイオジェンの株価も30%程度下げています。

今回の試験中止を受けて、エーザイ株は「買い」から「ウエート下げ」に引き下げられ、

これまで目標とされていた株価1万7千円から6千円に変更されました。

上述のBAN2401の治験成功確率も50%から10%に引き下げられています。

現状のままだとエーザイは厳しいです。

今のパイプラインではエーザイの体力を支えられないし、

新たな買収をするか、人員整理も再度行われる予感がします。

認知症治療薬の開発は本当に難しい

僕は認知症の領域も含めてCNSの領域を担当した事はありませんが、

ブログきっかけで結構調べてますが、

かなり開発が難しいですね。

癌領域で言うところの、膵臓癌のような、

何をやってもうまくいかない様相を呈しているようにみえます。

今回のアデュカヌマブを含めた抗Aβ抗体の失敗、BACE阻害剤の失敗、

タウタンパク質標的の失敗、

患者さんの数が莫大なだけに開発費もかなりのお金が注がれていますが、

現実は厳しいですね。

失敗を重ねた結果何か新しい光が見えてくると良いですけどね。

最後に

未曾有の暗黒時代に入ってきそうな予感がしてしまう製薬業界ではありますが、

結局はトライ&エラーしかないと思います。

現在売る薬があって、

パイプラインもあるってことがとても幸せなことにように感じますね。

一つの薬剤を大事にこれからも頑張っていきたいと思います。

まだまだエーザイは認知症の治療薬に関する開発は諦めない!とコメントされいるので、

本当に頑張って欲しいです。

頑張れエーザイ!

では!




コメント

  1. 独身MR より:

    単純にこの領域の有望なパイプラインが消えたことが非常に残念ですが、それ以上にエーザイやばいな…というのが率直な感想ですね。

    おそらく、エーザイとしてはこの薬剤が上市できると想定して今まで中長期的な展望を持って、アリ・パリのパテントクリフを乗り切ろうと考えてたと思いますが、今回の結果で水泡に帰した感があります。
    悪い言い方ですが、絶対に上手く結果の出るようなプロトコルも厳密に組んでたと思うけど、それでも断念せざるを得ないということは、とても残念です。

    以前、エーザイで働いてる知人に聞いた話ですが、
    社員は将来を楽観視している、新しい認知症の薬剤が出るからだと。それまでは厳しいが、なんとか冬を乗り切ろう!的な感じだったらしいです。
    もはやそんな状況ではないし、有望なパイプラインの買収がそう簡単にできるとは思えないし、今以上に人員削減を強行するしかなさそうです。
    全般の早期退職一発目で辞めた人は正解だったかもしれませんね。もはや、割増もどれだけ積めるのか…。

    • 大作 大作 より:

      全てが仰る通りだと思います!
      全体的に冬の時期な感じをひしひしと感じます。

  2. 小さい会社のMR より:

    いつも楽しみに拝見しております。

    先の方のコメントにもあるように、エーザイのこのニュースのインパクトは計り知れませんね・・・。

    エーザイといえば、日経ビジネスなんかでの「企業別平均年収ランキング」の製薬部門でトップ(あるいはその次くらい)を現在進行形で突っ走っている企業です。

    個人的には、ザックリいうと、毒にも薬にもならない化合物を巧く売ってるっていう印象の会社でしたが、アルツハイマーに関してはまあ一日の長があるので「この分野で伸ばしてくんだろうなー」と思ってました。

    それすらも完全に、見事にひっくり返っちゃいましたね・・・。

    • 大作 大作 より:

      コメントありがとうございます!
      エーザイってなんかおぼっちゃま、お嬢様の会社って感じのイメージを個人的に持ってましたが、
      中々泥臭いことになりそうですよね。。

      アルツハイマーの失敗はかなりやばそうっすね。
      エーザイに限らずですが大変な時代に入りそうっす。。

  3. 独身MR より:

    エーザイにいた知人から、給料が高い理由も聞きましたね。どこまで本当なのかは分からないけど。

    なんでも、ちょっと前のプライマリー全盛で各製薬企業がイケイケだった時期に、他の内資各社は社内インフラやその他パイプラインなんかに重きを置いて投資していたにも関わらず、エーザイはそっちじゃなくて社員の給料を上げたらしいんですよね。
    だから今でも各製薬企業の年収ランキングでもトップだと。
    ただ、その分他に投資しなかったので、社内システムとかもめっちゃ使いにくいし、結構酷いらしいんすよね。
    でも社員は殆ど生え抜きしかいくて他を知らないから、何も疑問は持ってない。逆にコントラクトで配属されたCMRからの評判はあんまりよくないんですよね。

    • 大作 大作 より:

      コメントありがとうございます。
      へ〜、、、そうなんすね。。。
      そういえば、昔エーザイの人からエーザイのシステムでは見れないけど、
      当時いた会社のシステムでみれる資料があって、
      見せてくれませんかって言われた記憶があるんですが、
      そんな背景があったんすね。

      各社の状況を知ってるCMRの方が言うのであれば間違い無いでしょうね。。

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