アデュカヌマブ何故承認!?胡散臭い薬と言われる理由をまとめてみる

エーザイ

どうもこんにちは、だいさくです。

アデュカヌマブがFDAにて承認されましたね。

20年ぶりのアルツハイマー治療薬の承認ということだったんですが、

僕は正直冷めた目で見てる人が多いんだろうなぁと思っていましたが、

かなり盛り上がっているみたいですね。

まぁ多分この薬剤の胡散臭さというのは恐らくこの業界にいる方はわかっていると思いますが、

改めてどの辺が胡散臭いのかという部分を書いていければと思います。

アデュカヌマブ何故承認?胡散臭い薬と言われる理由をまとめてみる




僕はかれこれ13年ほどこの製薬業界で働いておりますが、

一度P3試験でコケた(失敗した)薬剤が、

その後に行われた後ろ向き解析の結果のみで承認にまで至った例というのは見たことがありません。

過去にもアデュカヌマブに関しては記事を書いておりますので、

何故なのか?アデュカヌマブ が米国で申請!日本はどうなる?

エーザイが認知症治療薬アデュカヌマブの治験失敗・・悲報です

詳細な試験内容や、失敗までの経緯なんかを知りたい方はご参照ください。

これから書く文章は、

米国の記者が書かれたコラムやFDAの出した細かいコメントなどもしっかり読みましたが、

私の私見も多く含まれますのでご留意ください。

FDAもわかっているその胡散臭さ

こちらFDAのAducanumabに対する承認時のコメントになりますが、

FDA’s Decision to Approve New Treatment for Alzheimer’s Disease

FDAもその有効性に関しては臨床的利益を合理的に説明できてません。

特に青い部分ですが、「薬剤の臨床的利益については依然として不確実性が残っている」

とコメントしてます。

そりゃそうですよ。

この薬の臨床的利益なんて証明されてないのですから。

通常であれば大規模Phaselllで失敗した場合に、この薬のように後ろ向きにみて、

”この患者群では特に有効性が高そう”という解析は当然やります。

しか〜し!

しかしですよ、普通ならその”特に有効性が高そうな患者群”だけに絞って、

再度臨床試験を行うのが当たり前です。

そして、大抵はそれで失敗するんです、失敗した薬剤がこれまで何個あったかと。。。

後ろ向きに見て効果が高そうな患者群というのは大抵はたまたまであることが多いのです。

もちろんアデュカヌマブがそうとは言ってませんよ、てゆうか言えませんから。

だってそれを確かめる臨床試験をしてないんだから。

有効性は不明だけど副作用は確実にあるアデュカヌマブに年間600万

僕は長らく癌や希少疾患の領域で働いておりますが、

後ろ向きに見て良さそうな患者群を再度前向きに試験したら、

全く有効性に差がつかなかったという試験を何度も見てます。

そのように莫大なお金をかけて開発したにも関わらず失敗した薬剤を尻目に、

何故アデュカヌマブだけ承認されるんでしょうかね。

とにかく現段階で言えることは、

この薬の有効性は証明されてない、

でも、

副作用は確実にあるということです。

一番多いのはARIA(アミロイド関連画像異常)で、主な臨床的症状は頭痛です。

他にはめまい、錯乱、視覚障害、吐き気などがあります。

まだ治験の段階の情報しかないのですが、結構副作用が発現してるようですし、

そんな軽いものじゃないものもありそうです。

アデュカヌマブは米国医師の評価も当然悪い




なんかSNSを見ていたら、結構お祭りモードで考えている人もいたりしますし、

結構いくつかの記事を拝見したんですが、

今回の承認劇はすごく柔らかい口調や反応が多いんですよね。

日本人にはエーザイが人気なんでしょうかね。

一方アメリカ人の書いてるブログも拝見したんですが、結構ボロクソに書かれてます。

アデュカヌマブ自体は米国の認知症専門医からの評価も当然懐疑的です。

FDAが承認するにあたって行った調査では、

承認するに値する臨床的ベネフィットは無いと90%以上の専門医が答えています。

The FDA Has Approved A New Alzheimer’s Drug — Here’s Why That’s Controversial

こちらの記事でも、

「そもそも沢山の専門医が臨床的ベネフィットは確認されてないと答えているにも関わらずFDAが承認した」

「アデュカヌマブがどうというよりそのことが物議をかもしている理由だ」

っていうことが書かれいるんですが、

※ちなみにこの記事を書いた1ヶ月後に再度米国の下院が「高額な価格と有効性に疑問があるにも関わらず承認に至ったプロセスに深刻な懸念を抱いている」として調査を開始しています。

むしろ、この臨床的ベネフィットは臨床試験ではなく、

いわゆるこのPhase4で確認するらしいんですよ。

Phase4っていうのは市販後臨床試験のことで、

通常の胡散臭くない薬であれば有効性が確認されたP3試験の結果が、

本当に広い範囲の患者さんに使って有効性、安全性は大丈夫だったかを調べる試験なんですが、

そのP4を臨床的ベネフィットを調べるためにやるわけです。

米国で懸念されているのはむしろここまで胡散臭い薬というレッテルが貼られてしまった事で、

投与する患者がいなくて、P4自体が進まないんじゃ無いか?

バイオジェン&エーザイがP4にエントリーする十分な数の患者を確保できないと予想してるくらい、

それくらい米国の医師も懐疑的なのです。

いやいや、そんなP4にエントリーする十分な患者がどうとかじゃなくて、

P4でその有効性を確認する時点で、それって人体実験と同じじゃないかと。

FDAの諮問委員2人が今回の承認に抗議して辞任されたというニュースもありますね。

「全員反対したのに何故?」という疑問はやっぱ納得させられてないんですよFDAは。

米FDAの諮問委員2人が辞任、アルツハイマー新薬承認に抗議

まぁそれくらいありえない承認劇なんだと思います。

何故アデュカヌマブはこんなにも胡散臭いと感じるのか?

ここまで来ると、なんでFDAはアデュカヌマブを承認したのか?ってのが気になりますよね。

FDAの報告によると臨床的ベネフィットに関しては不確実であるが、

・米国では現在認知症患者が600万人いる事(日本は800万人)
→だからといって承認する理由にはならない

・そしてそれが数十年後に1400万人まで増える事
→だからと言って承認する理由にはならない

・現在期待される新薬および既存薬が無い事
→アデュカヌマブも証明されてない

・アデュカヌマブは確実に脳内のアミロイドベータプラークの減少につながっている事
(でも臨床的有用性は確認されてない)

→アデュカヌマブと同じ抗Aβ抗体である、バピネオズマブ(ファイザー)、ソラネズマブ(イーライリリー)、クレネズマブ(ロシュ)、ガンテネルマブ(ロシュ)も理論上では薬理効果はあったが臨床効果が認められず消えていったけど・・・

そして極めつけは、米国のブログには、

「P4で臨床的ベネフィットがわかるのは8年かかる」

って書かれているんですよ。

8年ですよ、8年。通常の特許期間と同じですよ。

8年間かけて壮大な人体実験と言っても過言ではないかも知れません。

ね、胡散臭いでしょ。

エーザイもバイオジェンも胡散臭く見える

エーザイの内藤社長は「感無量」「年間1千億売れる」とか、

バイオジェンも「1兆円の薬剤になる」などコメントされてます。

なんかきな臭いんですよね。

普通に考えたらそんなに使われるはずないと思うんですよね。

まぁ引くに引けない感じで、そうコメントするしかないのかもしれないですけど。

最後に

まぁそれくらい期待された薬剤であり、

アンメットニーズが高い領域であるという事なんでしょうけどね。

このP4で臨床的ベネフィットが確認されなかったらどう責任取るんでしょうか。

てか、米国医師の見立て通り、

僕はそんなに両社が期待してるほど使われないと思いますけどね。

米国の患者って結構医療リテラシーが高いですが、

日本人は手厚すぎる保険医療のせいで関係ないかもですけどね。

てか、アメリカだけで使えば良いのにね。

なんで日本も承認になるんでしょうか。

アメリカで8年かけてP4やってそれで有効性が確認できたら承認したら良いと思うんですけど。

 




コメント

  1. りくどん より:

    専門的な見解はあると思います。
    今回は全米アルツハイマー協会からの働きかけも多分にあったように思います。
    20年近く新薬がなく、既存薬はアリセプトに代表される対処療法の薬しかない。
    確かに有効性は微妙で副作用もかなりの確率です。

    ただ患者の立場からはアデュカが仮想原因物質に対する治療薬とのことでダメ元ても試してみたいのではないでしょうか?

    今後のの治験についてはバイオジェンは体液軍人協会との間で準備しているようです。←かなり治験者が確保できそう。

    胡散臭いといえば、昨年11月の諮問会議に参加した2名が抗議の辞職をしましたが、いずれもファイザー、モデルナに近い方でこれもまた胡散臭いですよね。

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