どうもこんにちは、だいさくです。
IQVIAさんがまとめてらっしゃる世界の医薬品売上高ランキングが発表されておりました。
それを元に幾つかの医療系メディアのサイトがランキング記事を書かれているんですが、
なんかわざとなのかわかりにくいんですよね。
なので今日は医薬品の世界売上高ランキングをわかりやすくまとめてみました。
【2021年版】医薬品世界売上高ランク発表!新ランクした5製剤は何?
僕は毎年しっかりこのランキングをチェックしているんですが、
このランキングを見て分かる事と致しましては、
この会社儲かってるな〜、この儲かってる利益をどこに投資してんのかなぁとか、
ん?この薬大幅に前年割れしてるなぁ?後発品に相当やられてるね、しかも次の新薬なさそう、この会社やばいかもなぁとか、
お!聞いたことない会社の聞いた事ない薬がランクインしてる!日本で販売してない!日本立ち上げる?とかある?(大抵大手がライセンス持っていたりします)
この薬ベスト20に初めて入ってきたなぁ、、なんでだろう?とか、
まぁそんな感じで気軽に見ております。
一応今回の中で昨年度までランクインしてなかった医薬品は5製剤ありますのでご注目いただければと思います。
医薬品売上高ランキング20位まで一挙公開
順位 | 医薬品名 | 売上高(前年比) | 販売会社 | 前年 | 適応 |
1位 | ヒュミラ | 290億ドル(+7.5%) | アッヴィ | 1位 | 関節リウマチ、乾癬、関節炎など |
2位 | エリキュース | 173億ドル(+28.3%) | BMS | 2位 | 血栓塞栓症など |
3位 | キイトルーダ | 151億ドル(+32.9%) | メルク | 3位 | 各種癌 |
4位 | イグザレルト | 117億ドル(+12.0%) | バイエル | 4位 | 主に血栓など |
5位 | ステラーラ | 111億ドル(25.9%) | ヤンセン/ 田辺三菱 |
7位 | 主に乾癬、クローン病など |
6位 | ランタス | 103億ドル(3.0%) | サノフィ | 5位 | 糖尿病 |
7位 | トルリシティ | 98億ドル(34.4%) | イーライリリー/大日本住友 | 11位 | 2型糖尿病 |
8位 | ビクタルビ | 92億ドル(69.9%) | ギリアド | NEW! | HIV-1感染症 |
9位 | エンブレル | 91億ドル(-5.7%) | ファイザー/武田 | 6位 | 関節リウマチ |
10位 | オプジーボ | 83億ドル(2.1%) | BMS/ 小野薬品 |
8位 | 各種癌 |
11位 | ジャヌビア | 78億ドル(4.3%) | メルク(MSD) | 9位 | 2型糖尿病 |
12位 | ノボラピッド | 71億ドル(-2.9%) | ノボノルディスク | 10位 | 糖尿病 |
13位 | ジャディアンス | 70億ドル(44.2%) | ベーリンガー/イーライリリー | NEW! | 2型糖尿病 |
14位 | イムブルビカ | 66億ドル(17.6%) | ヤンセン | 17位 | 血液癌 |
15位 | レブラミド | 63億ドル(13.0%) | BMS(セルジーン) | 19位 | 骨髄腫、血液癌 |
16位 | オゼンピック | 63億ドル(146.3%) | ノボノルディスク | NEW! | 2型糖尿病 |
17位 | アイリーア | 61億ドル(59.7%) | バイエル/参天製薬 | NEW! | 各種の黄斑浮腫、緑内障 |
18位 | イブランス | 61億ドル(9.8%) | ファイザー | 20位 | 再発乳癌 |
19位 | コセンティクス | 59億ドル(18.7%) | ノバルティス/マルホ | NEW! | 各種乾癬、関節炎 |
20位 | レミケード | 57億ドル(-17.5%) | 田辺三菱 | 12位 | 関節リウマチ、乾癬など |
※IQVIAのデータはあくまで薬価ベースで計算されていますので、メーカーが発表されている製剤の売上高とは乖離があります。例えば1位のヒュミラはアッヴィ社の公表だと203億ドルとなっておりますので、290億ドルとの乖離の要因は恐らく後発品との兼ね合いから来る値引き分だと思います。
昨年度からランク外になった5製剤はバイオ後続品の影響を大きく受ける
今回新たにランクインした製剤が5製剤ありましたが、
逆にいうと昨年度から比べてランク外になった5製剤があります。
それは、長らくロシュ、日本では中外製薬の屋台骨を支えてきた薬剤が3つ、
アバスチン、リツキサン、ハーセプチンが圏外になりました。
またイーライリリーのヒューマログ、アストラゼネカのシムビコートも圏外となりました。
原因は全てバイオ後続品や後発品の影響を受けていますね。
領域別の売上高:まだまだ強い糖尿病!
ちなみに領域別の売上高ですが、これは今回の20位のランキングに限った事ではなく、
全体のランキングになりますが、
第1位:オンコロジー(1569億ドル)
第2位:糖尿病(1138億ドル)
第3位:自己免疫疾患(653億ドル)
第4位:疼痛(539億ドル)
第5位:呼吸器系疾患(497億ドル)
ん〜、オンコロジーはまぁそうなんだけど、
糖尿病つよっ!!
すごいですね。
僕はヒュミラが1番なのは大体予想できたので、
オンコロジーの次は免疫だと思ってました。
今回NEWランクした5製剤農地2製剤が糖尿病!
まだまだ強いんですね〜。。
新しくランクインした気になった3製剤を簡単に解説
今回新しくランクインしたのは5製剤ですが、
その中で特に気になった3製剤に関してざっくり調べてみましたので簡単に解説いたします。
第8位:ビクタルビ
ビクタルビは抗HIV配合薬で、従来配合されていた、てのホビルジソプロキスに代わり、
その10分の1以下の用量で効果を示すことができる、
テノホビルアラフェナミドを使用しているそうです。
従来薬と比べて用量を少なくすることができるため腎臓や骨に対する副作用を軽減させました。
また従来薬に配合されていたコビシスタットなどのブースターが配合されていないため、
他剤との飲み合わせが容易になったそうで、
従来薬と比べ安全性が上がり使い勝手も良くなったみたいです。
第13位:ジャディアンス
ジャディアンスは糖尿病に対するSGLT2阻害薬になります。
心血管イベントの抑制効果が証明されたことで、
循環器領域を含めた広い範囲での処方が伸びてそうです。
11位のジャヌビアに迫る勢いで、ベーリンガーの発表資料には現在30億ドルの売上になり、
メルク社のジャヌビアの売上52億ドルで2022年に特許切れになるため、
2023年には順位は逆転するのではないかと思います。
第16位:オゼンピック
オゼンピックは今回第7位にランクインしたイーライリリー社のGLP-1阻害剤である「トルリシティ」と同じ週1回投与型のGLP-1のアナログで、トルリシティを猛追してる勢いです。
またオゼンピックはSUSTAIN試験という第3相試験で、
トルリシティよりも高い効果を示しているため、
その差はもっと縮んで行き、また、オゼンピックの成分であるセマグルチドが、
肥満薬として2021年にFDAに承認され、
現在アルツハイマー病、NASHの治療薬としての開発も進行中のようで、
今後さらなる売上拡大が見込まれます。
最後に
いかがでしたでしょうか。
個人的に驚いたことは、ヤンセンのインブルビカってめっちゃ売れてんですね。
そんなに患者数がいない血液癌なんですが、まぁKey Drugなのはそうなんですが、
あんな売れてんだなぁと思いました。
あと、既存の良い薬をうまくボトルネックとなっていたウィークポイントを改善したりと、
各製薬会社の工夫が感じられますよね。
こういうランキングを見ると、どうやれば売れる医薬品を作れるのか?ってのが、
わかりやすくて面白いですね。
まぁ儲かってる会社で働くというのは本当に良い経験ですし、
実際儲かってる会社で働くと、
何故この会社が儲かってるのか?っていうのが非常に勉強になります。
組織構築の仕方や研修のあり方などとても貴重な人生の経験になると思います。
そしてそういう会社ほど結構良く募集がかかるのでご興味ある方是非情報とってみてください。
ではまた!
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