どうもこんにちは、だいさくです。
製薬会社の価値を測ると言えば、パイプラインですよね。
製薬会社を評価するにあたり、「パイプライン」というのは非常に重要な指標になってきます。
なぜなら、パイプラインが豊富にある会社というのは将来性が高く、
やりがいのある新薬の上市に携わる事ができます。
製薬会社の将来性はパイプライン以外で測ることは現状できません。
また製薬会社の社員にとってやりがいというのは”新薬”にあります。
なので製薬会社のパイプラインを調べるというのは、
とってもとっても重要なことなのです!
逆にパイプラインが枯渇してる会社というのは働いていると非常に不安になります。
また、そのパイプラインの方向性を調べておく事で、
今後自分が身につけておいた方が良いスキルや、
製薬業界全体の方向性が知ることもでき、転職を検討する上でも大切な指標になります。
そこで今回は各大手外資系製薬企業を中心にパイプラインの方向性や、
化合物の臨床試験の数を参考にランクづけしてみましたので、
ご参考いただければと思います。
製薬会社将来性ランキング!パイプラインが一番豊富な会社はどこだ?
今回、かなり網羅的に自分自身でガッツリ調べまくりました。
ただ、今回の記事はあくまで2021年版で、
パイプラインの数というのは当然毎年毎年変わりますし、
特に昨今はがん免疫療法を有している会社のパイプラインのプロジェクトは、
それだけで増加傾向にあります。
またいきなり大型合併などがあった場合には一気に膨れ上がったりもしますので、
あくまで参考値になりますが、是非ご参考ください。
網羅的に調べた大手製薬会社15社をランキングにしております。
第5位までは少し詳しめに書いており、6位以下は表にしております。
第1位:ブリストルマイヤーズスクイブ(前年3位)
Bristol Myers Squibb Global Pipeline
2021年将来性パイプラインランキング第1位はブリストルマイヤーズです。
第1位の要因は言わずもがなですが、
セルジーンの買収により手に入れたパイプラインの上乗せです。
現在のパイプライン数169で、うちP3割合は31.9%です。
※P3まで行くと成功する確率は50%と言われているので記載してます。比率が高いほど新薬上市が近いです。
中心領域はオンコロジーでその比率はなんと72.8%!
固形癌、血液癌共に非常に豊富なパイプラインを持っています。
そのほかの領域は、免疫、心疾患、ほかという感じです。
ただ、正直いうと固形癌に関してはオプジーボのパイプラインがとても多いので、
パイプラインの数=持ってるコンパウンドというわけではないです。
第2位:アストラゼネカ(前年度1位)
前年度1位から2位になりましたがやはりすごい会社でありますアストラゼネカですが、
そのパイプラインの数は166になり、うちP3の割合は14.4%になります。
前段階のパイプラインが多いのも特徴の会社です。
中心領域はなんと言ってもオンコロジーでパイプラインの割合は実に62%です。
他には免疫、心疾患、腎、他という感じです。
第3位:ノバルティス(前年度2位)
他社からのライセンスアウト比率が少なく非常に優秀な会社であり、
自社創薬率では第1位のノバルティスですが、
前年度から比べるとランクダウンの第3位です。
パイプライン数は162で、そのうちP3の割合は28.3%。
中心領域は、癌、免疫、心血管、感染症、中枢神経他という感じですが、
オンコロジーの比率が47%になります。
個人的には遺伝子治療にも積極的に取り組んでおりますし、
組織のあり方も先進的で僕は面白いと思っている会社の一つです。
第4位:ロシュ(前年度4位)
言わずもしれた世界のビックファーマですが、前年度と同じ4位です。
ロシュ社のパイプライン数は150で、そのうちP3の割合は33%です。
ただ、ロシュに関しては中外製薬オリジンのグローバル開発品も一部入っております。
ロシュ社の中心領域は主にオンコロジーが半数を占め、
その後は多い順に免疫、眼科、感染症、中枢神経、他という感じです。
ちなみにR&Dに対する開発費用ランキングでは第1位の1兆2千億円です。
第5位:ファイザー(前年度5位)
2021年はコロナのワクチンであるコミナティーが一世風靡をしておりますが、
ご存知の通りM&Aを重ね沢山のパイプラインを有しているのがファイザーになります。
現在のパイプラインの数がちょうど100プロジェクトで、
そのうちPhase3の割合は22%になります。
中心領域は全体の33%がオンコロジー領域。
あとは、免疫、ワクチン、炎症性疾患が中心となりそうです。
製薬会社の将来性(パイプライン)ランキング6位以下を一挙に
6位以下の企業はこのようになっております。
順位 | 会社名(本国) | パイプライン数 | Plllの割合 | 中心領域 |
1位 | ブリストルマイヤーズ(米) | 169 | 31.9% | 癌、免疫 |
2位 | アストラゼネカ(英) | 166 | 14.4% | 癌、免疫、心疾患 |
3位 | ノバルティス(スイス) | 162 | 28.3% | 癌、免疫、心血管、 感染症 |
4位 | ロシュ(スイス) | 150 | 33% | 癌、免疫、眼科、 感染症、中枢神経 |
5位 | ファイザー(米) | 100 | 22% | 癌、免疫、ワクチン |
6位 | アッヴィ(米) | 82 | 28.0% | 癌,免疫 |
7位 | サノフィ (仏) | 80 | 40.0% | 癌 |
8位 | 武田薬品(日) | 79 | 27.8% | 癌,免疫,消化器,他 |
9位 | イーライリリー(米) | 65 | 26.1% | 糖尿病,免疫 |
10位 | メルク(米) | 65 | 35.3% | 癌,他 |
11位 | GSK(英) | 61 | 27.8% | ワクチン,免疫,癌 |
12位 | アムジェン(米) | 59 | 38.9% | 癌,他 |
13位 | J&J(米) | 47 | 72.3% | 癌 |
14位 | ギリアド(米) | 42 | 16.6% | 免疫,HIV |
15位 | バイオジェン(米) | 29 | 20.6% | 中枢神経 |
※J&J及びメルクはFirst in HumanやP1を開示してないため実際の数より少なくなると考えられます
脱オンコロジーが特徴的
網羅的に調べてみると、やはり癌領域はまだまだ非常に強いです。
15位までの会社の中で実に約半分のパイプラインが「癌」でした。
しかし、昨今の傾向を見ていると、
例えばバイオジェンなんかは全く癌領域にパイプラインを持たないのにランクインしていたり、
その割合というのは年々減少傾向にあると感じます。
特にPD1を持ってる会社はそれだけで癌のパイプラインの数が増える傾向にあるのも要因の一つです。
イーライリリーなんかはグローバルパイプラインが65のうち癌の比率はもはや13%です。
R&Dの傾向はコモディ疾患からオーファンへ
あくまで今回調べた大手外資系の話ですが、
一昔前のようなコモディ疾患にはほぼ投資はされておらず、
傾向はやはりオーファン領域にスイッチしています。
僕もこれまで色々な記事で書いてますが、
これからは沢山の人数で積極的なプロモーションをかけるのではなく、
少人数で広域を担当するようなスタイルに確実に変わっていくと思います。
希少疾患を担当するMRが何故今後重宝され勝ち組となっていくのか解説
希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト
最後に
いかがでしたでしょうか。
皆様の会社はありましたでしょうか。
網羅的にパイプラインを見てると、なんとなく世界の医薬品市場のいく末が分かったり、
自分のやりたい事と会社のマッチングができたりしますよね。
へ〜世界の製薬会社の開発傾向ってこんな感じなんだぁと、
少しでもご参考いただくことができましたら大変嬉しいです。
ではまた!
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