製薬会社の将来性ランキングを現役社員が徹底解説!内資は外資と比べて・・・

製薬会社の将来性

どうもこんにちは、だいさくです。

以前製薬会社将来性ランキングとして外資系を中心にパイプラインの数をまとめてみました。

製薬会社将来性ランキング!パイプラインが一番豊富な会社はどこだ?

かなり大変な作業だったんですが、

今度は内資系に絞ったパイプラインランキングをまとめてみました。

当たり前ですが、外資と比べると日本語で書いてあるし、

株主向けの発表も多いので格段に調べるのが楽でした。

最後に外資系製薬会社も入れたランキングも作っておりますのでご参照いただけたら嬉しいです。

国内製薬会社の将来性ランキングを現役社員が徹底解説!外資と比べて・・・




国内製薬会社の場合は、

外資系と比較しますとパイプラインの数が=将来性ということには直結しにくいです。

パイプラインはあくまでパイプラインで、

内資系の場合は外資系のベンチャーなどが出したお薬の販売権や、

大手外資系の医薬品の販売権を突然獲得したりすることもありますので、

パイプラインの数はあくまで参考値として捉えていただければと思います。

ただ利益率は当然自社開発の方が断然高いですし、

利益率が高い方が儲かっているので、

儲かっている会社に入るのが自分自身の将来性も高くなる可能性があります。

内資系製薬会社のパイプラインもそれぞれに特色があって、

結構面白いランキングになっています。

重点領域も記載しましたので是非ご参考いただければと思います。

国内製薬会社将来性ランキングを一挙に公開!

それでは内資系製薬会社のパイプライン数ランキングを一気にどうぞ!

順位 会社名 パイプライン数 P3割合 中心領域
(比率)
売上高
(2020年)
第1位 武田薬品 79 46.8% 癌(27%),消化器(27%),希少疾患(21%) 3兆3千億
第2位 第一三共 70 27.1% 癌(81%) 9千8百億
第3位 大塚HD 62 32.2% 癌(56%),
中枢神経(25%)
1兆4千億
第4位 中外製薬 59 61.0% 癌(64%),
中枢神経(13%)
7千8百億
第5位 エーザイ 58 43.1% 癌(57%),
中枢神経(23%)
6千9百億
第6位 小野薬品 50 48% 癌(78%) 2千9百億
第7位 アステラス 43 44% 癌(46%) 1兆3千億
第8位 大日本住友 32 31.2% 中枢神経(45%),
癌(30%)
4千8百億
第9位 田辺三菱 30 62.3% 中枢神経(36%),
ワクチン(26%)
3千7百億
第10位 協和発酵 28 53.5% 免疫,癌,中枢神経 3千1百億

※前回の記事同様P3割合を掲載しているのはそれだけ上市が近い事を表してます。

国内製薬会社のP3割合は外資系と比較し高い!

内資系のパイプラインを見ていると外資系と比較して驚くのは、

Phaselllの割合がとにかく高いです!

内資系上位10社のP3割合平均値、なんと45%!!!

外資系のP3平均値が28%でしたのでその高さがわかると思います。

武田薬品を除いた場合、内資系は大手外資と比較すると、

研究開発費用やパイプラインの数は約5分の1くらいの規模になりますので、

当然物になるかわからないシーズに投資するよりは、

多少割高でも確実に製剤化される可能性が高くなった段階で買収をかける傾向が見られますので、

ある程度物になりそうな段階で投資をしてるのがわかるかと思います。

国内製薬会社で強化される癌領域

外資系でも中心領域は依然として癌領域でしたが、内資系でもその傾向は同じでした。

ただ、外資系では過去に多額の投資を癌領域に行っておりましたが、

依然投資の中心が癌なのは間違いないのですが、

それが遺伝子治療や細胞治療を含めた希少疾患に移っており、

脱癌領域!というのが特徴でした。

内資系では逆にコモディ領域から癌領域に強くシフト変換が見られています。

大手から準大手の内資系は癌領域のものになりそうな会社の買収が多く見られているのが、

昨今の特徴になります。

売上高とパイプラインの数にギャップがある2社




外資系というのは売上高と研究開発費用の比率というのは比較的リンクします。

売上高が高いと研究開発費用というのも総じて高いのですが、

今回内資系のパイプライン数と売上高を眺めてみるとそのギャップを感じる2社があります。

1、アステラス製薬は売上高の割にパイプラインが少ない

まず1社目ですが、アステラス製薬です。

アステラス製薬の売上高は1兆3千億となり、武田、大塚に続き国内第3位になります。

しかし、パイプラインの数は43となり国内パイプラインランキングでも第7位、

規模としては内資準大手よりも低い水準になります。

また別記事で書こうと思っていたのですが、

アステラス製薬は内資系の中で大塚HDと同じくらい、

遺伝子治療の強いパイプラインを強化してましたが、それが失敗したことが発表されています。

その辺も原因となっているかもしれませんが、

アステラスの特徴として他社とコプロモーションしているケースが多いイメージなので、

実はその売上高の規模からイメージされるよりも研究開発型の会社ではないのかもしれません。

※あくまで私の憶測です。何かご知見お持ちの方教えてください。

2、小野薬品は売上高の割にパイプラインの数が多い

一方小野薬品ですが、売上高が2千9百億で国内10位ですが、

パイプラインの数は50となり第6位となります。

昨年度のパイプラインは64だったのですが、

14のパイプラインが承認取得となったため50に減少した上での現在のランクになります。

パイプラインの内、癌領域が78%で第一三共に続いて2番目に多い癌の比率になります。

オプジーボのパイプラインが圧倒的に多いのですが、

それ以外にも癌悪液質に対してエドルミズが承認された事、

癌領域以外では、パーキンソン病治療薬「オンジェンティス」、

SGLT2阻害剤の「フォシーガ」、など別領域にも投資がされており、

成功を収めているのが特徴です。

オプジーボでの利益をパイプライン強化に使っている会社だという印象を受けます。

国内製薬会社と外資を合わせて総合ランキングを一挙にドン!

順位 会社名(本国) パイプライン数 Plllの割合 中心領域
1位 ブリストルマイヤーズ(米) 169 31.9% 癌、免疫
2位 アストラゼネカ(英) 166 14.4% 癌、免疫、心疾患
3位 ノバルティス(スイス) 162 28.3% 癌、免疫、心血管、
感染症
4位 ロシュ(スイス) 150 33% 癌、免疫、眼科、
感染症、中枢神経
5位 ファイザー(米) 100 22% 癌、免疫、ワクチン
6位 アッヴィ(米) 82 28.0% 癌,免疫
7位 サノフィ (仏) 80 40.0%
8位 武田薬品 79 27.8% 癌,免疫,消化器,他
9位 第一三共 70 27.1%
10位 イーライリリー(米) 65 26.1% 糖尿病,免疫
11位 メルク(米) 65 35.3% 癌,他
12位 大塚HD 62 32.2% 癌、中枢神経
13位 GSK(英) 61 27.8% ワクチン,免疫,癌
14位 アムジェン(米) 59 38.9% 癌,他
15位 中外製薬 59 61% 癌、中枢神経
16位 エーザイ 58 43.1% 癌、中枢神経
17位 小野薬品 50 48%
18位 J&J(米) 47 72.3%
19位 アステラス 43 44%
20位 ギリアド(米) 42 16.6% 免疫,HIV

最後に

外資の場合はEraly Phaseが多い事によって失敗していく、

内資の場合はLate Phaseが多いので承認によってなくなっていく傾向が見られるので、

パイプラインに関しては数ヶ月単位でコロコロと変わってしまいますが、

なんとなくでもパイプラインに関する、

昨今の外資の傾向、内資の傾向をお伝えすることができましたでしょうか。

不思議なのが糖尿病領域へのパイプライン比率ってすごい悪いんですよね。

糖尿病って領域別の売上高でいうとオンコロジーに続いて第2位の巨大市場なんですけどね。

不思議な領域だなぁと思いました。

ではまた!




 

コメント

  1. ホルモン より:

    パイプラインの数を比較する意味はなんですか?予想売上が、数十億円と数千億円を同じように数えても意味ないかかなと。むしろ研究開発費を比較する方が役に立ちそうです。

    • 大作 大作 より:

      パイプラインの数を比較する意味は、一番は業界の方向性を把握することですかね。
      確かに以前の外資系のを集めたときには結局オプジーボやヒュミラなど売れっ子薬剤を抱えている方がパイプラインの数が多くなるってのは学びましたかね。
      なんでもやってみないとわからないものなんですよね。
      研究開発費用の比較は以前Youtubeやってる時にやったんですよね。
      一番は確かロシュで1兆2千億くらいだったかと。
      内資だと武田の5千億、次が大塚の2千億でしたかね。

      Youtubeの動画を記事化してほしいという要望も結構いただいているので、
      また今度やってみます。

  2. りんぷしー より:

    大学の研究で使用させていただきたいと思うのですが、パイプラインの数え方をだいさくさんはどのように数えているかを教えていただけないでしょうか?

    • 大作 大作 より:

      どうもこんにちは、だいさくです。
      今回の記事に関しては、ある程度企業を絞っていて、基本的には国内製薬会社の中で売上上位10社に絞っています。
      正直いうと、一社だけのパイプラインを見るというのは非常に簡単で、
      その会社の決算資料を見れば全部載っています。

      ただ、企業によって決算の時期が異なるのでそう言った意味ではすべての企業の同時期のパイプラインではないかも知れませんね。
      あと、細かいですが、例えば現在P/2/3が同時進行中の場合はP3で1としてカウントしていたと思います。

      どのような研究なのかわからないですが、頑張ってください!

      だいさくより

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