製薬会社の不適切プロモーションはなぜ起こるのか社員が考察する

厚労省覆面モニター

どうもこんにちは、だいさくです。

製薬会社による不適切プロモーションは昨今よく耳にするようになりましたね。

本格的に明るみに出たのは厚労省によるモニター制度が制定されてからです。

モニター制度は医療機関の主に医師、薬剤師に対して、

厚労省がモニターを設置してMRの活動を注視して、

MRが不適切なプロモーションをしてないか?というのを見張る制度です。

通称覆面制度と言われています。

2017年度に報告された製薬会社の不適切プロモーション

こちらアンサーズさんがまとめてくれた、

2017年度に厚労省のモニター制度によって報告された不適切プロモーションの詳細になります。

未承認の効能効果や用法容量を示したこと、

事実誤認の恐れのあるデータ加工、

事実誤認の恐れのある表現、

信頼性欠如のデータ、etc

ちなみに2018年度の結果は、こちらの記事でも書きましたが、

厚労省の覆面モニターが増員!次はスペシャリティとMSLが対象っぽい・・

そこまで2017年度と内容に大きな変化は無いです。

製薬会社不適切プロモーションはこれ以外では無い




厚労省のモニター制度からわかった製薬会社の不適切プロモーションというのは、

あくまでモニターとなっている医師、薬剤師からの報告ベースであって、

詳細を読んでみてもそこまで悪どい内容では無いと思います。

モニター制度から判明したような内容以外にも、

ノバルティスのディオバン事件や武田薬品のCASE-J事件、

最近ではバイエルの社員がカルテを無断閲覧していたなど、

ちょっと考えられないような不適切な行為も報告されています。

製薬会社の不適切プロモーションはなぜ起こるのか社員が考察する

そもそもモニター制度自体が刑事事件にもなったような、

製薬会社の不適切行為が発端だったわけですが、

なぜ製薬会社による不適切なプロモーションは起こるのでしょうか。

製薬会社の不適切プロモーションの原因は1つだけ

製薬会社による不適切プロモーションが行われてしまう原因は、

たった一つです。

それは売上至上主義であるからです。

「医薬品」という生命関連製品を扱うにもかかわらず、

医薬品営業を行うMRに課せられている「販売目標」これを達成しなければならないため、

どんなことをしてでも達成したいという気持ちが生まれ、

そこから不適切プロモーションが行われます。

なので、製薬会社による不適切プロモーションを無くしたいのであれば、

「販売目標」を無くせば良いというのは簡単な結論ではあります。

販売目標が原因の不適切行為

モニター制度から見えてくる不適切プロモーションというのは、

かわいいレベルではあります。

販売目標をどうしても達成しなければいけないがために、

行われている不適切な行為というのは、それ以外にもあります。

例えば、期末の「詰め作業」。

これは決算月や期末に売上が足りないために、

病院や薬局にお願いをして大量に買い込んでもらう行為です。

薬局に大量に積まれた在庫があることによって、

医師の処方意欲が増すと言われており、

いわゆる購買意欲を刺激するものです。

この場合の購買意欲は患者さんへの薬の投与になるので、

不適切な行為であると考えられます。

激安の殿堂ドンキホーテが使う手法と同じです。

これは主に内資系のプライマリー領域に多い行為だと思います。

基本的に外資の方が多い不適切プロモーション

期末詰め作業は置いといても、

いわゆる医薬品の情報提供に関する不適切行為は外資系の方が多いと思います。

特に統計的なデータはありませんし、

あくまで大手の外資系、大手の内資系、現在の外資系バイオベンチャーと転職してきた、

私の感覚の話ではあります。

例えば、外資系ではある一つの医薬品に対して「A試験」と「B試験」が存在し、

A試験の方ではその医薬品に対して有効性が示されたが、

B試験の方では対照群と比較して有効性が変わらなかった場合、

A試験の方しか紹介しないという事が起こったりします。

A試験の方を強調して紹介してくれる医師だけを講演会の演者に選定したりもします。

もちろんB試験の存在を知っている医師もいますが、

なんとなく誤魔化すということをするケースがあります。

また、その医薬品に何かあった場合、

例えば供給不安だったり、品質に何か問題があったようなケース、

こういった時にも販売目標を達成しなければならないので、

販売停止になるようなことでなければ、重要なことは誤魔化して、

医療従事者に伝えたりする、そんな真摯ではない対応も外資系の方が多いと感じています。

外資系で多かった副作用報告漏れ

また製薬会社の責務である医薬品の副作用報告ですが、

この漏れを指摘されたのも大半は外資系です。

※アンサーズニュースより

これは僕自身は、

儲かってる外資系に対する一種の嫌がらせという風に捉えていた時期もあるのですが、

内資で副作用漏れが少なく外資で多い理由というのを当ブログ経由で教えていただき、

外資系では売上至上主義はやはり内資系よりも強い傾向にあり、

ランキング上で下位に入ってしまうと自分自身の雇用問題にも繋がってしまうことから、

副作用報告よりも有効性の訴求に力を入れすぎていること、

またそういった社風が影響をして人材の流動性が非常に高いことから、

副作用に関する情報の引き継ぎがされておらず、

漏れが多く発生してしまうというものです。

不適切プロモーションが外資で多い理由はMRの問題ではない




ここまで読むと製薬会社の不適切プロモーションはMRに課せられている、

高い販売目標が不適切プロモーションの原因だと考えますが、

この問題はMRの問題では無い事が多いです。

上述したようなA試験とB試験のようなことや、

品質に関する隠蔽のような行為を決定しているのは、

ほとんど本社の部門です。

本社はMRがそのように動くように仕向けるようなことをする傾向にあります。

ディオバンのケースも武田のCASE-J事件も元々は本社の部門が行なっている、

不適切な行為です。

MRが不適切な行為を行う背景は、

実は本社機能の教育の問題であったり、

ガバナンスの問題である事が多いのです。

外資系の社長は本社に成果を見せることに必死

また外資系における日本支社の社長というのは、

往往にして外国人である事があり、本国に対して日本で目に見える成果を出したい、

成果を出して本国でもっと出世したいと思っています。

そのため自分が任期についている間は変なことが起きずに、

売上を最大化して本国にアピールしたいと強く思っています。

日本でトラックレコードを作るということに必死になりすぎているのです。

MRの販売目標が不適切プロモーションを起こすと上述しましたが、

それは外資系の日本法人の社長にも同じ状況がグローバルでみると起こっているのです。

結局外資系の社長でもグローバルで見れば上司のいるサラリーマンです。

しかし日本の会社では上述したようなB試験の存在を隠したり、

供給問題や品質問題が起こった場合は真摯に対応する事が多いです。

それはやはり日本での信頼を失いたくなくし、

日本で信頼をなくすということはビジネスの終了を示す事も考えられます。

「何か」があった時の対応は、隠蔽しようとする外資系、

公表して真摯に対応しようとする内資系というイメージはあくまで個人的ではありますが、

持っております。

※外資系でも真摯な対応をした例ももちろんあります。あくまで傾向です。

競争無くしてイノベーションが生まれないのも事実

ただ、販売目標をなくす事で全て解決するかというと全くそんなことはありません。

基本的に資本主義の基本は競争ですし、

競争無くして新薬イノベーションは間違いなく起こりません。

営利企業である製薬会社が行った臨床試験と、

医師主導試験で行なった臨床試験では、

良い結果が出る確率が製薬会社が行った臨床試験の方が良い結果が出るという結論も出ています。(論文化もされている)

なので、そこに利益を追求していかないと、

イノベーションも起こらないのは事実です。

ただ、その利益のために平気で隠蔽したり嘘をつく、

そんなマッチポンプの状況、いわゆる不適切プロモーションはあってはいけません。

最後に

当ブログを読んでいただいている方はご存知かと思うんですが、

僕は基本的に外資系製薬会社の方が好きです。

イノベーションに果敢に取り組んでいると思いますし、

結果を出してるのも外資系だと思っています。

ただ、外資系の方が成果を出すためには平気で嘘をつくというのは散見されると思っています。

せっかくすごいイノベーションを起こしてるのに本当に勿体無いと思います。

ディオバン問題でも、ノバルティスの記者会見の際に、

日本の医者の体質のせいにしていたのも僕はとても残念でした。

せっかく良い製品を扱っているのに・・と思ってしまいます。

ということでたまには外資系dis記事書いてみました。

ではまた!




 

コメント

  1. 独身MR より:

    ノバが日本の医師をdisったときは本当に遺憾というか、怒りを通り越して呆れました。先生方もあの発言で、一気にノバから心が離れたのを感じます。それまでは非常に評価されている企業だったんですけどね。

    私も先日、地域の重要Drと面会した際に、この記事と似たような話になったんですよね。
    その先生曰く、『外資は基本的に嫌い、同種同効薬なら日本の薬を使う』のだと。
    その理由は2つあって、

    1、外資の薬を使っても儲かるのは海外企業
    どうせ使うなら余程のドラッグエフェクトがない限り、日本の企業を儲けさせてあげないといけない。外資の薬を使っても日本の財源が外国に奪われるだけ。

    2、企業としてのスタンス、MRも嫌い
    まさにディオバン事件のことを話してて、商業主義に走りすぎだと苦言を呈しており、MRのプロモーションに関しても、彼らは基本的に『売りたいが全面に出過ぎてて、押しが強すぎる』とのこと。(首がかかってるから必死なんだと思われますが)。
    勤務してる施設の同僚若手女医が、某外資MRがあまりにも押しが強く恐怖を覚えたため、MR自体との面会を禁止にした例をお話しされていました。これからは女医も増えていくから、同じような例は増えるぞと懸念される。
    この先生は某大手外資を2社出禁にしてるのですが、担当者が変わってもスタイルや性質が変わらないから出禁にしたと話してました。

    まとまりなくてすいかせん。
    でも外資の方がイノベーション度の高い製品も多いし、本当に勿体無いですよね。

    • 大作 大作 より:

      コメントありがとうございます。
      同じ同効薬なら内資を使うってのは僕もそれで全然良いと思います。
      利益は外国に持っていかれてしまうので、その辺は僕も大賛成!って感じです。

      外資はイノベーション度の高い薬を作り続けるしか無いんですよね結局。

      担当変わっても中々変わらないですよね企業の体質って。

      ちょっと内資系が元気ない部分もあるのでちょっと応援する意味で書いてみました。

      いつもありがとうございます!

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