どうもこんにちは、だいさくです。
ブログの読者さんに教えていただいたんですが、
ノバルティスファーマのCAR-Tチームの募集かかったみたいですね。
以前から製造管理や、SOP策定の部門は募集が上がっていたようでしたが、
確かに営業部隊として募集がされていますね。(と言っても少人数です)
残念ながらサンバイオのSB623の慢性期脳梗塞への治験は失敗してしまいましたが、
なんだかそのせいで再生医療ダメなのか?的な雰囲気もあると
仰ってる人がたまにいらっしゃいますが、
全然そんなことはないですよ。
むしろこれからラッシュのごとく承認されていくと思います。
現段階で承認されている再生医療製剤は、
JCRファーマのテムセル(急性GVHD治療)と、
テルモのハートシート(重症心不全)この二つだけです。
一応こちらが今年(2019年)薬価収載もしくは承認の可能性がある再生医療等製品になります。
製品名/ 開発番号 |
会社名 | 種類 | 適応 | 承認 申請 |
備考 |
ステミラック | ニプロ | 間葉系幹細胞 | 脊髄損傷 | 18年12月承認 | 先駆け審査 |
AMG0001 | アンジェス | 遺伝子治療 | 重症虚血肢 | 18年1月申請 | |
キムリア | ノバルティス | CAR-T | ALL・DLBCL | 18年4月申請 | |
FSI2007 | 富士ソフト | 自己細胞再生軟骨 | 口唇口蓋裂に伴う鼻変形 | 18年6月申請 | |
AVXS-101 | ノバルティス | 遺伝子治療 | SMA | 18年11月申請 | 先駆け審査 |
G47 | 第一三共 | がん治療用ウイルス | 悪性脳腫瘍 | P2 | 先駆け審査 |
TBI-1301 | タカラバイオ/大塚 | 遺伝子治療 | 滑膜肉腫 | P1/2 | 先駆け審査 |
CLS2701C/D | セルシード | 口腔粘膜由来食道細胞シート | 食道がん関連 | – | 先駆け審査 |
再生医療は注目しとけ!
こちらの記事でも詳しく書きましたが、
製薬会社の次の波は再生医療で間違いない!情報をまとめてみる!
現在のオンコロジーを牛耳っているモノクローナル抗体に対して、
どんどん勢いが増してるのが、
この細胞療法と遺伝子治療などの再生医療になります。
ちなみにですが、製薬業界の今後を担うと言われているのが、
再生医療と抗体医薬品に対するバイオシミラーと言われています。
再生医療は2030年に現在のオンコロジーの市場と同じ
1兆1千億の市場になると見込まれています。
まだまだ課題の多い再生医療だとは思いますが、
徐々に徐々に市場を拡大していくのは間違いないとおもいます。
ノバルティスのCAR-Tを始め一つの成功が大きな成功を導いてくれると思います。
ノバルティスCAR-T(キムリア)チームの募集内容
こちらノバルティスのCAR-Tチームの主にセール部門の募集内容になります。
【CAR-T】Account Manager
【必要な能力・経験】
オンコロジー領域における大学病院の担当経験5年以上
※特に京都大学担当など再生医療、血液がん領域のご経験がある方
【英語力】
読み書き以上の英語力
【仕事内容】
CAR-T(CTL 019)の広域プロモーションをお任せします。直接病院にコンタクトを取り、エリア戦略の立案・分析・実行を行います。CAR-T治療が円滑に行われるよう、日々のプロセスをマネジメントします。
【想定年収】
700万〜1,250万
【その他制度】
住宅手当、家族手当、在宅勤務制度
【面接】
2〜3回 筆記試験無し 英語面接あるため、英文CVの提出は後ほど必要
とまぁこんな感じです。
今後の再生医療の市場を考えると、
遺伝子治療の経験はとても魅力的ですね。
募集人数は数名程度ではあります。
英語面接は大したことない
この募集内容読むと、
それなりにオンコロジー領域を経験してる人は全然いけると思いますよね。
ただ、最後の英語面接有りってところ、これがネックになる人もいるかもしれません。
僕もこれまで英語面接は何度か受けたことがあるんですが、
そんなに大したことないです。これは本当に本当に。
普段から英語の勉強しているのであれば全然いける程度。
自己紹介、これまで自分がやってきたこと、趣味、特技、強みあたりの説明は、
事前に準備可能ですし、
わからないことはわからないと言えば別にそのあとは深く突っ込んできません。
もしダメだったとしても、
英語面接がどんなものか分かればそれだけでステップだと思いますし。
まぁこういう時のためにしっかり英語は普段から勉強しておいた方が良いと思います。
僕もブログで何度も言ってますが、マジで英語は勉強した方が良いです。
英語ができないから諦めないといけないキャリアとか、
仕事があったり外人に言われたい放題って本当に悔しいと思いますので。
こちら渾身の思いで書いた英語勉強記事になるので、ご参考いただければ嬉しいです。
英会話がもっと上手になりたい!そんな方におすすめの7つの方法!
ノバルティスのCAR-T(キムリア)チームの求人募集が上がってるので情報まとめてみる
CAR-T部隊の募集を待っていた人もいると思いますので、
ここからは血液領域を担当して結構長い僕がCAR-T治療について今回の募集背景と合わせて、
解説させていただければと思います。
ノバルティスのCAR-T療法とは?
ノバルティスのCAR-T療法ってそもそも何か?というと、
医療機関において患者さん本人から採取した血液を、
ノバルティス社の「細胞加工施設(CPC)」と呼ばれる場所に送ります。
一般的に医薬品は工場で大量生産した同一の製品をすべての患者さんが服用します。
これに対してキムリアは患者さんごとにオーダーメイドで製造します。
後述しますがそのためにコストも非常に高いものになってしまいます。
ノバルティスのCPCはアメリカのニュージャージ州モリスプレーンという場所です。
ニューヨークとワシントンDCの間くらいのところにあります。
アメリカではキムリア製造の目標とされている期間は22日と言われていますので、
日本の患者さんの場合はもう少し時間がかかるかもしれませんね。
このCPCでは、
患者さん本人の血液からT細胞だけを分離し、増殖させます。
そして、がん細胞を攻撃する能力を高めるための加工を施します。
その加工というのが何かというと、
患者さんから採取したT細胞に標的能を持つキメラ抗原受容体(CAR)を発現させるように、
人工的に遺伝子を変異させます。
CARはがん細胞を探索するレーダーのような機能を持っていて、
CARを発現させたT細胞は、特異性や機能、代謝の性質が再構築され、
抗原特異的な適応免疫能が増強されます。
患者さんのT細胞にCARを人工的に発現させ、
その細胞を患者さんに輸注することによって、
患者さんの体内に生着して増殖し、免疫監視を促進します。
そのCAR-Tが多くの腫瘍細胞を殺傷したりもするし、
腫瘍浸潤リンパ球が腫瘍を攻撃するのをアシストすることによって、
腫瘍の再発を抑止することが可能になるのです。
ノバルティスのCAR-T、キムリアはそんなお薬になります。
キムリアの適応
キムリアの日本における適応(海外でも基本的には同じ)は、
どちらも標準治療に対する治療抵抗性の、
小児を含む25歳以下のCD19陽性再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)
星人のCD19陽性再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
(DLBCL)
こちら2つの疾患になります。
※米国では縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)にも承認されてます。
キムリアの有効性
キムリアは上記2疾患において治療抵抗性、
もう既に有効な治療薬がないような患者さんに対して臨床試験が行われています。
ALLに対して行われたキムリアの試験ELIANA試験においては、
有効性評価ができた63人のうち52人でがん細胞が消失したという結果です。
実に8割の患者さんで大幅に症状改善されています。
※消失というのは必ずしも完治ではありませんが、
この成績は従来の治療法と比較しても極めて高いと言えそうです。
DLBCLに対して行われたキムリアの試験JULIET試験では、
全奏効率50%、内32%が完全奏効(CR)、18%が部分奏効(PR)となってます。
奏効した患者さんでは奏効期間の中央値に達しておらず、
奏効の持続性が示されています。
DLBCLは血液癌の中では患者数が多い疾患で、
再発してしまうと中々治療に難渋する疾患です。
その中でこの成績は良い方だと思います。
キムリアの有効性の報告はいくつか出ていますが、
中には全奏効率が80%や90%を超えるものもありました。
キムリアの副作用
キムリアは副作用がそこそこ出ます。
いわゆる自家の細胞(本人の細胞)なのに副作用が出るんだ?と思われるかもしれませんが、
いわゆる細胞に対する拒絶ではなく、
CARがCD19、CD 20、CD22といった、
B細胞分化抗原に対する特異作用があるので、
正常な細胞のCD19,20,22にも作用してしまうことに起因すると考えられているようです。
いわゆるオンターゲット作用と言われるものです。
普通の抗癌剤治療の副作用はオフターゲットと言われます。
主な副作用は大腸炎、発疹、内分泌障害などです。
一番問題となるのが、CRSというサイトカイン放出症候群です。
このCRSはオンターゲット作用のためだと思われますが、
CAR-T療法の効果が得られない患者群ではほとんど認められてません。
CAR-T療法で一番問題となると言われており、
FDAでは、CAR-T療法に伴うCRSの対処法として抗IL-6抗体医薬のトシリズマブを承認してます。トシリズマブの反応が鈍い場合にはグルココルチコイドの投与が推奨されています。
キムリアは1回5200万
キムリアは患者さん個々でオーダーメイドで治療されることもあり、
非常に高額です。アメリカでは47万5000ドル(約5200万)です。
さすがに高すぎるので、ノバルティス社はこれまでにない価格制度として、
キムリアを使用した患者さんに効果があった場合だけ、
料金を請求するという仕組みの、成功報酬型の価格制度を導入してます。
日本では3月に承認、5月にも保険適用される見通しで、
日本でも5千万近い価格がつくとみられてます。
日本でそのような保険収載のされ方をされるのか興味深いです。
現状の適応だと患者数が日本では大体250人くらい(年間)と言われているので、
市場規模としては100億〜200億程度だと言われています。
日本は高額医療費が適応されますが、
それでも1回の負担は70万程度になると考えられます。
個人的に気になったキムリアのこと
今回調べていて個人的に気になったキムリアに関することを書いていきたいと思います。
なぜ米国の適応が25歳以下なのか?
これはキムリアがCD19の標的CAR-Tなので、CD19陽性のALL、DLBCLというのは、
大半が若年者なので、臨床試験が若年者だったからでは?と思いますが、
なぜ25歳以下になったのかという背景はいまいちクリアカットにはわからなかったです。
生殖機能への影響は?
やはり若年者や小児の患者さんが対象で、そもそも強めの抗癌剤をやっているので、
心配してもしょうがないのかもしれませんが、
生殖機能への影響はどうか?というところですが、
基本的に妊娠、または授乳中の女性に対しての使用は推奨されていませんが、
生殖機能への影響はちょっと見当たらないです。
動物実験などは何かしらのデータがありそうですね。
患者の状態はどれくらいで使えるのか?
血液を採取してCPCに送ってまた輸注してとなると、
大体1ヶ月はかかってしまうと思いますが、
やはりPSの悪い人には使えないんだと思いますが、
状態が急変してCPCに送ったものの亡くなってしまったという人が出ないようにするためには、
どれくらいの患者さんの状態で投与すれば良いのか?というところも疑問に残りました。
最後に
今回改めて調べてみて、やはり小児やAYA世代、
若年層に多い疾患で、
しかも治療抵抗性だと予後は本当に悪いです。
そんな中でALLで8割程度、DLBCLで5割程度奏効するというのは魅力的だと思いました。
色々あったノバルティスですし、
東大との問題で出禁になってる施設も多いと思いますが、
やっぱ結果が全てのこの世界で、
これだけの画期的な新薬を出してくるのはさすがだと思います。
ノバルティスはAVXS-101という脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療も開発中で承認まじかです。
今後の遺伝子治療、細胞治療は盛り上がっていきそうですし、
普通なら社内で異動させるところですが、
しっかり社外の人材も獲得するところが外資系の良いところだと思います。
本当に小さいな枠でしかないですが、
ご興味ある人は是非チャレンジしてみてください。
僕はJACから案件もらいました。
ではまた!
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