どうもこんにちは、だいさくです。
なんと!日本イーライリリーさんが早期退職を開始されたようですね。
これまで一度も早期退職を行ったことがなかったイーライリリー社ですが、
正直、昨今行われていた大手内資、外資の早期退職とは比較にならないくらいびっくりしてます。
あのリリーがわざわざ積み増しを払って早期退職を行なうっていうのは、
なんとも信じがたいのですが、SNSやネット掲示板にも複数の情報が上がっていたので、
私の情報網も使いつつ、
今日はリリーのリストラに関してその条件や、早期退職の理由などをまとめてみたいと思います。
【最新版!】日本イーライリリーが早期退職開始!条件や理由をまとめ!
重複しますが、リリーといえば早期退職を一度も行ったことがない会社として有名でした。
ただ一方で、公式なデータではないようですが、
離職率が20%前後ではないかと言われており、社員の出入りが激しい会社でもありました。
僕、個人的には組織のあるべき姿として、
居心地が良いと感じている人もいれば悪いと感じている人もいるのが理想だと思っているので、
特段リリーをはじめ米系ビッグファーマの離職率の高さは気にしておりませんでした。
少し言い方が悪く申し訳ないのですが、
要は勝手に人がやめていく会社、
辞めていく人がまた辞める人を生んでいく風土があったにも関わらず、
わざわざ大きなお金を払ってまで退職を促す措置をしているリリーの実情は、
武田薬品など国内の大手製薬会社が早期退職を行うことよりも個人的にはびっくりしております。
日本イーライリリー早期退職の概要や条件
今回の日本イーライリリー早期退職の概要や条件を下記に示します。
※実際にはイーライリリー社としてはリストラや早期退職ということではなく、セカンドキャリアプログラムのような名目で募集をされています。
対象:35歳以上の営業部門全社員(全領域MR・エリアマネジャー・学術部門etc)
対象人数:MR180人 / エリアマネジャー40人
募集期限:9月末が期限、10月上旬までに決定
退職日:2020年12月末
条件:年齢・役職・勤務歴によって違うが、
大体勤続10年の40歳で通常退職金に合わせて24〜36カ月程度の積み増し退職金が付与される
備考:有給の買取あり
日本イーライリリー早期退職の理由は中枢神経領域の開発失敗
では、これまで全く早期退職を行ってこなかったリリーが今なぜリストラを行っているか?
という部分ですが、これはいくつかの情報を吟味すると、
今回の早期退職は対象が全領域となってはおりますが、
リリーとして特に負担だったのは現在の筋骨格中枢神経領域(以下ON領域)における、
過大な人員のようです。
イーライリリーを世界のビッグファーマに押し上げた大きな要因は、
ジプレキサやサインバルタなどFirst in classの薬剤を開発した事による、
中枢神経領域における台頭でした。
しかし、ジプレキサは既に特許切れ、サインバルは2021年に特許が切れます。
中枢神経領域で利益を上げ、
その利益を、アルツハイマー病治療薬のBACE阻害剤などに莫大な投資をしてきましたが、
ご存知のように既に失敗しております。
こちらの記事で書いておりますが、
MRの数は現在ピークから数える1万人以上が減少しておりますが、
その減少理由の一つはCNS領域の開発が失敗していることが挙げられると思います。
またリリーのON領域の柱の一つである骨粗しょう症治療薬「フォルテオ」に関しても、
バイオシミラーが発売され売上減少が推測されています。
ですので、今回の早期退職の対象は全領域となってはいますが、
ON領域のパイプラインが枯渇しており、屋台骨を支えてきた既存薬の特許が切れる事が大きな要因ではないかと思います。
イーライリリーの社員は早期退職に手をあげるべきか?
不確かな情報ですが、今回の早期退職では50歳以上の社員にはさらに優遇された積み増し退職金が提示されているという話もあります。
では、今回35歳以上で、勤続年数が10年以上あるような社員の方は、
この早期退職に手をあげるべきでしょうか?
はっきり言って、今この製薬業界の転職状況は氷河期です。
これだけ膨れ上がったMRの数の受け皿は全く無いわけでは無いですが、
非常に小さいパイを奪い合うような、完全な買い手市場になっています。
しかも内資外資関わらず名だたる大手の製薬会社がこぞって早期退職を敢行してます。
やめてもいくところが無いから、みんな辞めない、
だから早期退職をして、好条件を出してまで辞めてもらいたいというのが、
悲しいかな今の状況なのです。
次に確実に転職できる先があれば辞める
僕も今の会社に転職したのが約3年前ですが、
当時の僕はバイオベンチャーで希少疾患をやって沢山お金をもらうんだ!みたいな、
今思うと恥ずかしいお花畑な感じだったのですが、
実際そういう会社に転職できましたし、そこしか考えてませんでしたが、
正直製薬業界の転職先は選ばなければいくらでもありました。
2、3年くらい前でしたら製薬業界の転職案件は溢れるくらいあったのですが、
前述の通り今は本当に厳しいです。
リリーの方ならそんな状況くらい分かってるよって感じかもしれませんが、
びっくりするくらい氷河期です。
ただ、それでも転職案件は全くのゼロでは無いですし、
人脈を使って転職できる方もいらっしゃるのでは無いかと思います。
なので、確実に、
まさに確実に転職できる先があるのであれば僕は全然良いのでは無いかと思います。
間違っても、「なんとかなるでしょう」ではやめない方が良いのでは無いかと思います。
ましてリリーさんは以前のように完全な縦割り領域制度というよりは、
領域間の異動ができる状況と聞いています。
だからON領域だけに絞らず早期退職が募集できると思うので、
手をあげないというのも全然ありだと思います。
今の状況は3年前の状況とはだいぶ違うと思います。
最後に
創薬難易度の上昇、新薬候補となる化合物の枯渇化、
そして薬価改定、情報提供ガイドラインの策定とそれを強制的に守らせる覆面制度、
しかし、現在のコロナ禍の状況もあって、
これは製薬業界に限らず、潤ってる業界があまりありません。
イーライリリーのような会社ですら早期退職を行うというのは、
ある意味異常事態なのかなと思います。
ではまた!
コメント