「イルミナ」医療業界を牛耳るかも知れない絶対知っておくべき会社

イルミナ

どうもこんにちは、だいさくです。

皆様、イルミナという会社をご存知ですか?

ゲノム医療、ゲノム解析、がんゲノム、全ゲノム時代etc、

そんな言葉がよく聞かれるようになった昨今ですが、

その時代を作ったのは全てイルミナという会社なんですよね。

僕も昨今遺伝子治療に興味を持っていて、いくつか記事を書いてきましたが、

遺伝子を医療の方面と、研究の方面から調べてみると、

そのバックに必ずと言って良いほどイルミナという会社が出てきます。

なんだこのイルミナという会社は?と思って調べてみたら本当にすごい会社で、

言い過ぎかもですが、この医療業界の半分はこの会社が牛耳るんじゃないかと感じます。

そこで今日はイルミナという会社がどういう会社で、どういうビジネスをしてるのか?

何故王者に君臨するのか?

その辺多分知っておいて損はないと思うので、

わかりやすくまとめてみましたのでお気軽にお読みいただければと思います。

「イルミナ」とはどんな会社か?医療業界を牛耳るかもよ・・・




イルミナは簡単にいうと次世代シーケンサーを開発した会社です。

厳密に言うと、

2005年に開かれた国際ヒトゲノム会議で次世代シーケンサーの前段階の装置について発表した、

米国の若者が中心となり創業された「ソレクサ」と言うベンチャー企業を買収したことで、

その権利を手に入れ、開発を進めました。

話はそれますが、

今では普通に行われているDNAを増幅する事で検査ができるようになったPCR検査も、

米国の若者が開発し、それをロシュ社が買収することで広く使われる技術になり、

医療に限らずその後の検査全般に大きな変革をもたらしました。

いかに優れたシーズがあってもそれを育てる資本力と、開発力、

そして宣伝力がないと中々世の中は変わらないもので、

技術のシーズを持つベンチャーに目をつけそれを育ててきた会社があると言う事が、

世の中に変革をもたらす要因なんだなぁと感じますよね。

次世代シーケンサー(NGS)を超絶わかりやすく解説!

では、イルミナが開発した次世代シーケンサーとは一体何なのか?というところですが、

これを理解するのは非常に簡単です!

というよりめちゃくちゃわかりやすく書くので絶対最後まで読んでください!

NGSって難しそう・・・ゲノム検査ってなんかよくわからないよね・・・

と僕もMRをやっていた時感じてました。

でも実際はシステムだけ理解すると後は非常に簡単です。

ヒト1人のゲノムというのは約30億塩基あると言われています。

※塩基というのは「ATGC」この4つしかありません。要はこの4つの塩基配列が重要になります。

次世代シーケンサーが無い時代に、

人のゲノムを全部読み取るというプロジェクトがアメリカであったのですが、

その時にかかった時間、何と13年!費用は1千億円以上!です。

しかし、イルミナのNGSを使うと、

たった3日間、費用は10万円程度でヒト1人の全ゲノムが解析できてしまいます。

かたや13年、1千億かかっていたのが何故そんなに早くできるようになったのでしょうか。

ゲノムを読むスピードは変わらない、ただそれを並列で読むだけ

ヒトゲノム30億塩基をはじからはじまで読んでると13年かかってしまいます。

しかしNGSではそれを25塩基ずつランダムにちょん切って、

並列にしてそれを一気に読み込みます。そして読み込んだらそれをまたくっつけます。

何かわかりやすい画像ないかなぁと思い探してたんですがなかったので、自分でイメージ図作成してみました。

NGSの原理は基本的にこれです。

ゲノム配列をランダムにちょん切ってそれを並列にして一気に読み込む。ただそれだけなのです。

NGSが開発された事で救われる命




では、NGSが開発された事で何が変わったでしょうか?

NGSが実際に開発されたのはソレクサをイルミナが買収した後の2007年に、

最初の1号機が発売されました。

ここはちょっと難しい話になるかもですが、

例えば小児特有の希少疾患があったとします。

先日書いたソリッドバイオの手がけるALSだと、特有の遺伝子異常があるので、

その遺伝子の異常部分にプライマーをつければそこの部分の異常だけを見たりする事ができます。

なのでNGSが開発された事で、遺伝子疾患やNGSを使った研究プロジェクトの数は2007年以後、

うなぎ上りで増えていきます。

※DBCLS SRA

白血病患者の全ゲノム配列が2008年に発表されたり、がんゲノムを解読した論文が次々と発表され、

「癌の原因の全ては遺伝子の異常」というのは今では当たり前に知られてますよね。

癌の検査を血液から見るCell Free DNA

固形癌を担当してる方はご存知かもしれませんが、

例えば肺癌なんかは、診断のための癌の組織を取ってくる(バイオプシー)だけでも一苦労です。

全身麻酔をして肺の中に内視鏡通して組織をとってくる訳ですが、

高齢患者が多い中でそんなの何回もできませんよね。(若い人でも嫌です)

しかしNGSを使えば少量の検体があってその癌特有のDNAさえあれば解析できるので、

血液に流れ込んだ癌細胞のDNAを読み込むだけで検査ができます。

それをCell Free DNAというのですが、

そのCell Free DNAを使って検査することをリキットバイオプシーと言います。

これももう臨床で普通に使えるようになりました。

血液癌はその辺そこまで侵襲度が高くないですが、

固形がんは組織取ってくるのが大変なので、本当に良い方法だと思います。

治療できなかった疾患が治療できるようになった

とにかくイルミナがNGSを開発したおかげで、

検査のあり方も変わったし、何より希少疾患や癌をはじめとした疾患の研究開発、治療、

そして予防医療までもが大きく変わるようになったわけです。

その変革の全てを起こし引っ張ってきたのがこのイルミナになるわけです。

もちろんイルミナ以外にも大手だとサーモフィッシャーなんかもNGSを開発してるんですが、

性能があまりにも違いすぎてシェアは80%程度がイルミナのNGS見たいですね。

出てくる論文の数もイルミナのものを使ったのがほとんどのようです。

イルミナが何故医療業界の半分を牛耳るのか?

ヒトゲノムを解析することを簡単にすることでこんなにも世の中が変わった訳ですが、

イルミナのIRを読みあさってみたのですが、

一番台数として売れているのがMiSeqというタイプのNGS見たいです。

NGSはゲノムだけを見るわけではなく、いわゆるエクソンだけを見たり、

mRNAだけを見たりすることもできるようにアプリケーションを豊富にしていて、

研究のタイプや研究機関のボリューム、予算によって変更ができるようですが、

高い機械だと2億円弱で、安い機械だと3千万円くらいのようです。

イルミナはNGSを開発することで時価総額が7兆円程度まで一気に上昇し、

大きい会社になったのですが、

実際はその機械を売るより、売った後のランのたびに使う試薬で儲かっています。

またその試薬が高い!

例えるならばコピー機と同じで、コピー機ってその機械で儲けてるより、

インクがバカ高いんですよね。

まぁイルミナの場合は機械もインクもどちらも高いわけですが。。

なのでこの遺伝子の研究や検査などをすればするほど、

NGSを利用すればするほどイルミナが儲かるようになるわけです。

これからは遺伝子に直接アプローチする時代になります。

その時代が加速すればするほどイルミナがどんどん王者に近づき、

この医療業界の後ろにはイルミナがいるという構図が出来上がると考えちゃうわけです。

日本の遺伝子研究は周回遅れ

ちなみにイルミナの決算報告を見てると日本はかなり苦戦してそうです。
(イルミナが日本に苦戦してるという意味です)

一時期調子良さそうに見えましたが、昨今は日本はかなり成績が悪いです。

イルミナの日本に対する成績が悪いということは、

日本のNGSを使った研究が進んでない、取り組んでないとも捉えられます。

日本からNGSを利用したベンチャー企業もあまり出てきませんし、

多分、タカラバイオくらいではないでしょうか。

タカラバイオはコロナの関連でPCR検査でだいぶ潤っていて株価爆上がり中ですが、

10年くらい前にNGSに相当な投資をしてる日本の中では稀有な会社です。

今は大塚製薬さんと提携してるのですが、遺伝子治療の方も有望なパイプラインを持ってますよね。

後は日本の会社では、アステラスくらいしか無さそうです。

一応第一三共かな?と思うような会社にかなり大型のNGSが販売されてそうではあります。

まぁいずれにしても日本の遺伝子研究は周回遅れに見えます。

イルミナで働くってどうなの?

そんなイルミナで働くってどうなんでしょうかね?

僕のブログは転職ブログでもあるのでちょっとガッツリ調べてみたんですが、

というより僕学会で何度かイルミナの人に会ったことあるんですが、

営業マンの年収はバカ高いです。

外部調査のデータを見ても年収は1200万以上ありそうですね。

管理職にもなるとサラリーマンとは思えない額に跳ね上がります。

まぁ扱ってる物の金額が金額なのでね。

営業先は主に国の研究機関からお金を持っていそうなクリニックまで様々です。

自前で検査をやりたい先や研究でガッツリやりたい先までを幅広く担当されるようです。

どちらかというと研究期間に強い人材が重宝されているようなので、

研究上がりの方で営業やってみたい方とかは良いかもしれませんね。

夢があるかもです。

パッと見はランスタッドが一応イルミナの紹介案件は持っていそうですね。

最後に

ちょっと長くなってしまいましたが。

イルミナの起こした変革みたいなのをまとめようとするともっともっと沢山書けそうなんですが、

とりあえず端的になってしまいますがまとめてみました。

もし遺伝子のことやNGSのことをもっと知りたい方はイルミナのHPを見ると、

漫画とか、無料の講座が受講できるので是非検討してみてください。

何よりNGSの原理を少しでもお伝えする事ができましたでしょうか。

NGSを利用する事で、遺伝子検査、治療、予防に対してもっと幅広いアプローチができるので、

今後検査や治療のあり方というのはどんどん変わっていくと思います。

そしてこのNGSを活用して立ち上がったベンチャー企業というのも海外では沢山ありますし、

日本でも以前書いたように海外ほどではないですがベンチャー企業が立ち上がってますね。

熱い市場!将来性のある遺伝子検査の会社をチェックしてみた!

ただ何にしてもイルミナが試薬で儲かるようになっているので、

イルミナが業界の王者に君臨する日は遠くないかも・・・

ではまた!




 

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