アストラゼネカの血液癌領域が立ち上がりそう!がっつり調べてみた!

アストラゼネカ

どうもこんにちは、だいさくです。

スーパー絶好調のアストラゼネカですが、

血液癌領域がなんとなくですが立ち上がりそうな雰囲気を感じますね。

多分、AZのこれまでの歴史を考えると、

新規で立ち上げそうな予感がしてます。

しかもこのアカラブルチニブですが、MCLで適応を取りそうですが、

現在泌尿器領域のザイテガでコプロしてる、

ヤンセン社のMCLに対する薬剤であるイブルチニブと競合するという、

なんか面白い感じになりそうです。

アストラゼネカの血液癌領域が立ち上がりそう!がっつり調べてみた!




今回は普通に、自分の仕事で昨年度のASHの内容をまとめていて、

アカラブルチニブのデータを勉強していたら、

Acerta Pharmaの薬剤かと思っていたらアストラゼネカの子会社だったんですね。

これは間違いなく上市されそうですので、

是非チェックしてみてください。

まず見てほしいアストラゼネカオンコロジーのパイプライン

今回記事を書くにあたって改めてAZのことを調べてたんですが、

まず驚くのがこのパイプライン!すごい!この時代に!?え?すごい!

薬剤名 適応 臨床段階
イミフィンジ

(PD-L1抗体)

NSCLC(1st line) P3
NSCLC(ケモラジ併用) P3
NSCLC(局所進行/Stagelll/ケモラジ併用) P3
NSCLC(局所進行/Stagelll/ネオアジュバント) P3
非筋層浸潤膀胱癌 P3
筋層浸潤膀胱癌 P3
局所進行肝細胞がん(VEGF、肝動脈化学塞栓療法併用) P3
頭頸部扁平上皮がん(DNA-HPVワクチンMEDI0457併用) P2
他固形癌5癌種での他剤併用試験 P2
イミフィンジ+Tremeimumab
(抗CTLA-4抗体)
小細胞肺癌(限局型、ケモラジ併用) P3
小細胞肺癌(1st line、Standard of Care併用) P3
非小細胞肺癌(1st line、Standard of Care併用) P3
非小細胞肺癌(1st line) P3
肝細胞癌(1st line) P3
頭頸部扁平上皮がん(1st line) P3
膀胱がん(1st line) P3
胆道・食道がん P2
胃がん P2
イミフィンジ+
リムパーザ
(PARP阻害剤)
膀胱癌 P2
卵巣がん、乳がん、胃がん、小細胞肺がん P2
リムパーザ 再発・プラチナ抵抗性卵巣がん(併用) P3
BRCA遺伝子変異陽性乳がん(アジュバント) P3
膵臓がん P3
前立腺がん P3
BRCA遺伝子変異陽性再発・プラチナ感受性卵巣がん P3
前立腺がん(アビラテロン併用) P3
胃がん(AZD6738併用) P2
トリプルネガティブ乳がん(AZD6738 or adavosertib併用) P2
固形がん P2
タグリッソ
(EGFR阻害剤)
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(アジュバント) P3
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(維持療法) P3
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(イミフィンジ、selumetinib、savolitinib併用) P2
Calquence
(アカラブルチニブ)BTK阻害剤
マントル細胞リンパ腫(1st line) P3
慢性リンパ性白血病(1st line) P3
再発・難治性慢性リンパ性白血病 P3
再発・難治性慢性リンパ性白血病(高リスク) P3
血液癌全般 P2
savolitinib
(MET阻害剤)
乳頭状腎細胞がん P3
selumetinibu
(MEK阻害剤)
小児神経繊維腫瘍1型 P3
adavosertib
(WEE1阻害剤)
卵巣がん P2
capivasertib
(ATK阻害剤)
乳がん P2
AZD2811
(オーロラキナーゼB阻害剤)
固形がん P2
AZD8186
(PI3Kβ阻害剤)
固形がん P2
AZD4547(FGFR阻害剤) 固形がん P2
AZD4635(A2aR阻害剤) 固形がん P2
AZD6738(ATR阻害剤) 固形がん P2

これ、1社のパイプラインで、しかもオンコロジーだけってすごいですよね。

ちなみにFirst in humanからP1までは除いて記載してこれだけある感じです。

アストラゼネカの本国のHPを引用したので、ご興味ある方こちらからどうぞ。

AstraZeneca Our pipeline

僕もブログ書いてる時に他社のパイプラインをよく調べて書くんですが、

ここまで沢山の表を作ったことは恐らく初めてだと思います。

1剤ごとの効果がどれほどあるかまでは分からないですが、

オンコロジーの最先端の化合物ばかりですね。

オンコロジーの時代はアストラゼネカの時代と言われても過言じゃないですね。

アストラゼネカが血液癌領域にやってくる

上記のパイプラインの赤文字にしていた部分が今回のテーマとなる薬剤で、

アカラブルチニブという薬剤です。

恐らくアカラブルチニブによって初めてAZが血液癌領域に参入されると考えられます。

アカルブルチニブは論文のデータ改ざんで一時期話題に

アカラブルチニブは、アストラゼネカが、

2015年にAcerta Pharma(アサータ・ファーマ)社を買収したことによって、

手に入れた薬剤になります。

Acerta Pharmaの研究員がアカラブルチニブ に関する2015年Cancer Researchの論文のデータを

改ざんしたとして少し話題になりました。

しかし健康被害等もなく、

当時は上市されている薬剤ではなかったことから大きな問題にはなりませんでした。

アカラブルチニブはBTK阻害剤

アカラブルチニブはがん細胞の生存や増殖に関与する酵素である、

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の活性を阻害するBTK阻害剤と呼ばれる薬剤になります。

BTKは非受容体型のチロシンキナーゼTecファミリーの一種と言われており、

B細胞のアポトーシス制御、細胞接着や細胞の遊走・定着といった、

B細胞の生存に重要な役割を担うメディエーターとして広く認知されています。

BTK阻害剤はB細胞特異的な抗腫瘍効果が期待されており、

B細胞性リンパ腫の新たな治療戦略として注目される薬剤と言われております。

アカラブルチニブとイブルチニブの違い




アカラブルチニブが今回適応となるのは、

MCL(マントル細胞リンパ腫)です。

アカラブルチニブは第二世代と言われている薬剤であり、

すでに同じ薬効の薬でヤンセン社からイブルチニブが上市されております。

今回その違いを調べて見たんですが、恐らくほとんど同じ薬です。

簡単に両剤の比較をしてみます。

イブルチニブ アカラブルチニブ
作用機序 BTK阻害剤(不可逆的) BTK阻害剤(不可逆的)
投与方法 1日1回連日経口投与 1日2回(約12時間ごと)経口投与
年齢中央値 68歳(40〜86歳) 68歳
前治療歴 3レジメン 2レジメン
MIPIスコア high-risk 49%
奏功率 67% 81%
完全奏功 23% 40%
無増悪生存期間 14ヶ月 20ヶ月
主な副作用 白血球減少、貧血、下痢、倦怠感、上気道感染、悪心、発疹、など 好中球減少(および肺炎)、貧血、頭痛、下痢、倦怠感、咳、筋肉痛、など
薬価 約123万円/1ヶ月 約168万/1ヶ月(米国)

アカラブルチニブの方は論文が有料だったので詳しく見てませんが、

第二世代BTK阻害剤と記載されてますが、イブルチニブとほとんど同じ薬と言えます。

アカラブルチニブは1日2回経口投与であることと、

効果が高そうに見えますが、患者背景が恐らくイブルチニブの方が悪いと言えそうです。

ただ、アメリカのNCIのブログで両剤の違いに関するブログ記事がありました。

Acalabrutinib Receives FDA Approval for Mantle Cell Lymphoma

この記事の中では、アカラブルチニブの方がイブルチニブと比較して、

「効果がより選択的であり、特異的であることでイブルチニブと区別される」

と記載されています。また、それ故に副作用のプロファイルがイブルチニブよりも、

いくらか改善される可能性があることが示唆されているが、証明はされていない。

もっと症例を積み重ねる必要があるが、

アカラブルチニブはイブルチニブと同じくらい効果的であるが、

それはより安全であるかもしれない。

またアカラブルチニブの方が耐久性のあるレスポンスであると記載されています。

1日2回の経口投与はBTKを標的とした場合、

実験室の研究では効果的にBTKを抑制するとしています。

Keyは耐久性か?

先ほどのNCIのブログ記事はアストラゼネカのオンコロジーの方は、

絶対に全文読んだ方が良いです。

若干アカラブルチニブよりに書かれてはいるんでしょうけど、

違いがしっかり書かれています。

恐らくこの両剤の使い分けとしてKeyになるのが、

・1日1回or2回

・副作用のプロファイル

・イブルチニブの耐性

この3つだと思います。

特にアカラブルチニブは「選択的でより特異的」という部分が差別化ポイントみたいです。

実際カルナバイオサイエンスという会社が、

イブルチニブの耐性化の機序に目をつけて、

CB1763というより選択性の高い薬剤の治験を開始すると発表してます。

カルナバイオサイエンス— BTK阻害剤CB1763を前臨床試験段階へステージアップ

アカラブルチニブが出てきたことによってCB1763の必要性が、

疑問視されているようにもみえました。

アストラゼネカが力を入れるかは疑問ではあり

今後は分からないですが、現状ではMCLでしか適応を取らないように見えます。

MCLは非常に患者数が少ない疾患なので、

AZがそんなに力を入れるのかは疑問ではあります。

ヤンセンのイブルチニブもDLBCLへの開発が失敗してるので、

一番患者数の多い DLBCLに失敗した事でヤンセンの社内がどのように、

評価してるのかはわかりませんが、

AZに関しても恐らく少人数性でいくのではないかと考えられます。

ニッチだけど群雄割拠

MCLって高い確率で再発する希少疾患です。

イブルチニブは本当にすごい薬ですが、

そんな希少疾患にほぼ同じ薬であるアカラブルチニブが恐らく2019年度には申請されそうです。

ザイテガでコプロしてる両社ですが、

MCLではバチバチな感じになるんでしょうか。

アストラゼネカが血液領域に参入してくるので、

これまでの流れだと新しい組織を作ると思います。

完全に僕の個人的予測ですが、

今年中くらいには組織されるのではないかと予測してるので、

先駆けて書いてみました。

まぁこの先の荒波を生き残っていくのは、こういう会社です。

ちょっと勇み足ですが是非情報取ってみてください。

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