【後編】遺伝子治療の開発状況をまとめてみた!君の会社はあるか!?

遺伝子治療

どうもこんにちは、だいさくです。

前編では遺伝子治療がなぜこんなにも熱い領域になったのか、

なぜ沢山の会社がこの遺伝子治療でベンチャーを立ち上げ、

そして大手の会社は買収をおこなっているのか?

その背景となる内容をまとめさせていただきました。

【前編】遺伝子治療領域が熱いぞ!研究開発状況と課題をわかりやすくまとめた!

では今日の後編では、どんな会社がどんな疾患に対してどんな開発をおこなっているのか?

その辺をまとめてみたいと思います。

遺伝子治療の投資加熱状況をまとめてみた!君の会社はあるか!?




遺伝子治療を開発してるバイオベンチャーはと〜っても沢山あります。

ノバルティスのゾルゲンスマが13億ドル売れていることで、

もっともっとこの領域が加熱していくことも予想されています。

しかし、前編でもお伝えしたように副作用を軽減する取り組みとして、

大量投与しなくても良いような送達経路の開発など、

様々な工夫が凝らされています。

海外サイトも含め様々な情報をチェックしておりますが、

抜け漏れも多々あると思いますし、

主要な開発状況と方向性という部分に注目していただければと思います。

順番は順不同ですが極力日本で有名な大手の会社から順番に、

また前臨床などアーリーフェーズはそこまで詳しく記載してません。

企業名 送達経路 適応症 段階 備考
Eli Lilly(米) AAV9 GBA1変異を伴うパーキンソン病 P1/2 2021年初頭に米Prevail社を買収したことにより導入
ファストトラック指定
神経型ゴーシェ病(nGD) P1/2
GRN変異を伴う認知症 P1/2
シヌクレイノパチー 前臨床
Bayer(独) AAV8/9 ポンペ病 P1/2 2020年10月に遺伝子治療先端を行く米Asklepios Bioを買収することで導入※AskBioは他にも武田、ノバルティスと提携
パーキンソン病
うっ血性心不全
LGMD(2i/R9)
※筋ジストロフィーの一種
前臨床
ハンチントン病
Novartis(スイス)
 
 
ゾルゲンスマ
(AAV9)
脊髄性筋萎縮症 上市済み 2021年に売上13億ドル
キムリア(ex vivo遺伝子治療) DLBCL及びB-ALL 上市済み
濾胞性リンパ腫 P2 ピボタルP2試験でエンドポイント達成済み
 Roche(スイス) AAV2(RPE65遺伝子) 遺伝性網膜ジストロフィー 米国承認済み 米スパーク社の買収によって導入
 武田薬品(日) AAV及び
ex vivoなど
非常に沢山の疾患に開発中だが、現状は前臨床段階のみで、臨床試験は無し。筋ジストロフィーや1型糖尿病など多数。数々の遺伝子治療スタートアップを買収済み。期待大!
 アンジェス(米) HGF/プラスミドベクター 慢性動脈閉塞症における潰瘍改善 上司済み 2019年に日本にて条件付き承認
 バイオマリン(米) AAV5 血友病A 欧米で申請中
 アステラス(日)
 
AAV8など XLMTM 臨床試験は中止 送達経路の問題などで死亡例を受け試験中止も多く難解な現状
ポンペ病 etc 前臨床
 UniQure社(蘭) AAV1(Glybera) リポ蛋白リパーゼ欠損症 2012年上市 欧州で初めて承認された遺伝子治療、薬価1億1千万
 GenSight Biologics社(仏) AAV2(lenadogene nolparvovec) レーベル遺伝性視神経症 欧州申請中
 PTC Therapeutics社(米) AAV2 AADC 欧州申請中
 Krystal Biotech社(米) COL7A1遺伝子 表皮水疱症 欧州申請中/米国も申請予定
Sarepta Therapeutics社 AAVrh74 デュシェンヌ型筋ジストロフィー 米国申請予定
 セルジェンテック AAV 家族性LCAT欠損症 P1/2 日本初ベンチャー。臨床試験は千葉大中心
 ときわバイオ ステルス型RNAベクター フェニルケトン尿症/血友病A/X-SCID など 前臨床 日本初ベンチャー
 Splice BIO 蛋白質トランス-スプライシング 遺伝性網膜疾患(スターガルト症) 前臨床 米国発ベンチャー。
 hC BIO社 ゲノム編集 タンパク質編集療法という変わった取り組みをしている 前臨床 米国発ベンチャー。大手製薬が出資している

※XLMTM:先天性ミオパチーの一種

ご覧の通り、遺伝子治療は対象疾患がかなりの希少疾患なので、

一応全力で調べてみましたが、

小規模ベンチャー参入しやすいこともあり全ては網羅できてないかもしれません。

遺伝子治療の開発を断念した会社一覧

前編でもお伝えしましたが、

遺伝子治療は有効性が確認されるされないという簡単な話ではなく、

その送達経路を工夫する必要があります。

アステラスも有効性はそこそこあるが、送達経路の選択がうまくいっておらず、

中々望むような結果が得られてません。

色々な会社が工夫しておりますが、遺伝子治療に取り組み断念した、

もしくは試験中止の一覧も下記にまとめました。

これは=ダメというわけではなく、

現状これだけ送達経路がとても大事だよ、

こういった課題に取り組んでいるよということが理解できれば良いのかなと思います。

企業名 製剤 中止理由
GSK 希少疾患(ストリムベリス/グリベラ) 商業的に利益にならない
アステラス XLMTM 高用量投与による肝障害による2例の死亡例により中断
バイオマリン フェニルケルトン尿症 非臨床でマウスの肝臓にゲノムが組み込まれ腫瘍化
ファイザー DMD(筋ジストロフィー) P3試験で筋力低下の重篤な副作用が発現。対象を変更し再開発するがP1で死亡例が起き中止
ノバルティス 脊髄性筋萎縮症 OAV-101(ゾルゲンスマとは違う)にて非臨床で後根神経炎が起こり中断。しかし改善を行い小児を対象としてP3試験を予定
Solid Bio社 筋ジストロフィー 重篤なSAEが発現したがその後改善し臨床試験を再開中

中止になったり、撤退した例は他にも沢山あるのですが、

主な理由として似通っているため代表的なものとして挙げさせていただきました。

GSKの遺伝子治療は7千万程度の薬価がついたにも関わらず、

商業的にならないとしてGSKは手放したのはちょっと印象的でした。
※まぁ違うと思うけどMRに対するプロモーション規制が問題ではないよね?

現代なら遺伝子治療に比較的明るい世の中になっている(医師も含めて)ので、

逆に成功したのではないかなぁと思ったりはします。

GSKがやってることは10年後に世の中がついてくるんでしょうかね。

対象疾患や日本の開発状況を簡単に解説




遺伝子治療は希少疾患がメインのようには見えますが、

実は対象疾患の大体6割は癌になります。

そして開発状況としては、多くは米国で行われておりまして、

臨床試験全体のうち日本で行われている臨床試験の割合はなんと1.6%のみです。

ただまぁそれはいつものことであって、

要するに少ししたら日本にも波が来ることを示唆しているとも言えます。

日本の会社もかなりのお金をこの遺伝子治療に投資しているので間違いなく来ます。

遺伝子領域を目指そう!

僕は今遺伝子領域を担当していますが、

今前編後編にわたってかなり長くこの遺伝子治療に関して書いてきましたが、

この領域はかなり伸びます。

確かに課題や難題も沢山ありますが、

それはおそらく解決されます。

解決されるのは間違いないと言えるくらいの投資額が集まっているし、

もはやもう後戻りはできないくらいのレベルです。

確かに、現状は成功してる会社もいれば中断している会社もあるし、

送達経路を工夫している会社もあったりするのですが、

これだけの莫大な投資と臨床試験の数をみたら分かる通り、

今後のアプローチは遺伝子からが主流になります。

非常に面白いですし、遺伝子領域は粛々と募集されていたりもするので、

是非一度情報収集してみてください。

希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト

僕も最近あまり時間がなく書けてませんが、

具体的な企業もどんどん書いてまいります。

ではまた!




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