遺伝性癌が消える?PGT-Mの適応が拡大になるかも!

遺伝子治療

どうもこんにちは、だいさくです。

ちょっとオンコロジーの方とか、希少疾患関連の小ネタになりそうなお話がありまして、

僕は今の事業開発の仕事で、遺伝子治療系の仕事をしてます。

詳しく書けないのが残念ですが、

たまに遺伝専門医とか、遺伝カウンセラーの人と話をしたりすることがあって、

今日本でPGT-Mの適応患者が拡大しそうだというお話を聞きました。

良く調べてみると結構面白いですし、

恐らく臨床で癌治療をされている先生も知らないと思うので、

PGT-Mの適応患者が拡大すると、家族性の癌や遺伝性の癌が未来に消えるかも知れません。

訪問時の小ネタにもなるかと思いますので、

かなりわかりやすく書きますので是非是非お気軽に読んでみてください。

PGT-Mとは何か?超わかりやすく解説!




まずPGT-Mとは一体なんぞや?というところなんですが、

PGT-M(ピージーティーエム)はPreimplantation Genetic Test for Monogenic

の頭文字を取った略語で、

日本語で言うと着床前診断(ちゃくしょうぜんしんだん)という意味になります。

これは何かというと、

重篤な遺伝性疾患を持った人がその疾患を自分の子供に遺伝させないようにするための検査です。

方法を理解するのは簡単で、

子供を作る前に両親の受精卵にその重篤な遺伝性疾患を、

その受精卵が受け継いでいるかを調べてからお母さんのお腹に着床させるための検査になります。

なのでこの検査を行う場合は、体外受精になります。

まず排卵誘発剤などを使用し、お母さんの卵巣から複数の卵子を採取します。

例えば10個採卵(卵子を取ること)できたとします。

その後10個の卵子をお父さんの精子と受精させ、5日くらい培養します。(シャーレの上で育てる)

ある程度育ったら(胚盤胞という段階まで育てる)、

そこから細胞をいくつか取り出し、その複数の受精卵(正しくは胚盤胞というらしい)の中で、

その両親のどちらか(もしくは両方)が持っている遺伝性疾患を、

遺伝してない受精卵を選んでお母さんの子宮に戻すという検査になります。

何となく理解できましたでしょうかね?

現在のPGT-Mの適応

もし自分が何らかの遺伝性疾患を保有していたとしたら、

その疾患を子供にまで遺伝させたいと思う人はまずいないと思います。

現在そのPGT-Mの検査ができる対象となる疾患は以下の通りです。

・デュシファンヌ型筋ジストロフィー
・筋強直性ジストロフィー
・副腎白質ジストロフィー
・オルニチントランスカルボミラーゼ欠損症
・リー脳症など

まぁ正直に自分の感想を述べさせていただくと、たったこれだけ?って感じです。

この世に遺伝性疾患ってまぁ沢山あるわけで、

当然それを子供に遺伝なんかさせたくないのにこの数の疾患しか調べられません。

ちなみに自由の国アメリカでは、保険が効くかどうかはわかりませんが、

もっと適応は格段に広いです。というより別に何でも調べられるし、自費であれば受けられます。

馬鹿げている日本のメディア

なぜ日本ではこれしか検査が受けられないのか?というと、

ちょっと詳細まではわからなかったのですが、この検査を管理しているのは、

日本産婦人科学会みたいです。(後ろに厚労省がいるかも)

とにかく日本産婦人科学会がこの適応の幅を広げないのですが、

その理由はマスコミがかなりうるさいみたいですね。

なんか細か〜い協議はされているようなんですが、

PGT‐Mに関する倫理審議会(第1部)での意見

要は簡単に言うと、命の選別をしているじゃないか!と言うことみたいです。

仮に受精卵10個のうち1つ が正常な受精卵で、

あとの9個は遺伝性疾患を受け継いでしまった受精卵だった場合、

その9個を捨てるわけですが、それが、

命を選別している!

この世に障害者がいるのに障害者差別じゃないか!と言う意見があって、

世の中というよりマスコミのバッシングもあって、中々適応が拡大できないようです。

ちなみに今適応になっている疾患はかなり重篤な遺伝性疾患で、

20歳までに高い確率で亡くなってしまうような疾患ばかりのようです。

PGT-Mが遺伝性の癌の検査にも拡大するかも

やっと本題になるのですが、

理由は分からなくて大変恐縮ですが、

とにかくこのPGT-Mの検査が、

遺伝性の癌、家族性の癌にも適応が広がるための協議が行われているようです。

家族性の癌といえば、BRCA1、BRCA2(遺伝性乳癌、卵巣癌)が非常に有名で、
※「ブラカ」と読みます

アンジェリーナ・ジョリーが保因していました。

他にも家族性大腸癌(遺伝性非ポリポージス性大腸がん、家族性大腸腺腫症)

あとは、網膜芽細胞腫(RB1)、多発性内分泌腫瘍症MEN2(RET)、家族性黒色腫などなどあります。

例えばこの検査が広がれば、

中々自分が保有している遺伝性腫瘍を克服することは難しいかもですが、

自分の両親のどちらかがこの遺伝性腫瘍が原因で亡くなっていたとして、

自分もその遺伝子を持っていたとしたら、

子供に遺伝させないようにはできるわけです。

まとめ

ちょっと仕事柄小耳に挟んだ情報を元にがっつり調べてみたんですが、

何となく小ネタくらいにはなりそうでしょうか??

まぁ多分アメリカに行けばこの検査すぐに受けられるんですが、

日本は色々とうるさいなぁと思いました。

この世に遺伝性疾患ってマジで沢山あります。

染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群の疾患一覧

このサイトで紹介されている疾患以外にも沢山あるんですが、

やっぱそれを自分の子供には遺伝させたくないというのは普通のことだと思うんですよね。

それって命の選別になるのでしょうかね。

遺伝子治療って、特に小児の疾患で研究がめちゃくちゃ進んでいるんですが、

遺伝子治療って、その疾患がもし発症しない、もしくは発症を遅らせることができたとしても、

その後の子供の将来にどのような副作用があるのかって全然分からないんですよ。

だから遺伝子治療ってちょっと倫理問題もすごいあって、

でもそれとPGT-Mの倫理の問題と同じで、

そんなこと言ってるから日本では今ホットな遺伝子治療の治験が全然進まないんじゃないかと思ったりするんですよね。

遺伝子って、治療アプローチも診断、検査も結構難しいのですが、

倫理の問題もついてくるんですよね。

ちょっと本題と外れてしまいましたが、命の選別について皆さんはどう思われますかね?

ではまた!




コメント

タイトルとURLをコピーしました