MRがペイシェントセントリックを考えるのは気持ち悪い事なのか?

MRの価値

どうもこんにちは、以前書いた記事のコメントで、

下記のようなご質問をいただきましたので、僕なりの回答を書かせていただきます。


だいさくさん

いつも楽しく拝見させていただいております。
とある内資の会社で働いております20代のものです。
ちょっと愚痴になってしまいますが、
最近弊社でも患者さん思考みたいなのが横行しており、
今までそんなことを言ってなかった上司までそんなことを言うようになりました。

もちろんこの仕事をしている以上必要な観点なんだとは思いますが、
実際普段働いている中で患者さん思考を持つことって多くのMRは無いと思っています。

会社が言うことと自分の仕事を進めていく中でギャップを感じてしまい、
ちょっと嫌な気持ちというか気持ち悪いと感じてしまう自分がいます。

そろそろ転職しようかなぁと考えていたのもあって、
先日会社の会議でも少しもめてしまいました。

だいさくさんは患者さん思考に関して実際どういう風に思われますか?

MRがペイシェントセントリックを考えるのは気持ち悪い事なのか?




ふむふむって感じなんですが、

会社で揉めちゃうあたりが、

なんというかとてもピュアーな人なんだろうなぁとは個人的に思いました。

多くのMRは患者さん志向なんて無いしと言いますが、

そんなことはないと思うし、

かなり若手の方だという事なので、

率直に僕が感じたことなんかを書いていきたいと思います。

ペイシェントセントリックとは一体何か?

ペイシェントセントリックというのはいわゆる患者志向をもっと大枠で捉えたものになります。

患者志向というのは患者さん中心にものを考え、

患者さんの利益を中心に話を進めていくという事で、

全ての中心を患者さんに置く事なので、

ペイシェントセントリック(Patient Centric)と言われています。

欧米の製薬会社が発端で発せられた言葉で、

そのまま「ペイシェントセントリック」と言っている会社もありますし、

「患者さんのために」とか、「患者さん志向で」とか言い方を変えていたりしますが、

今回は発端の言葉として「ペイシェントセントリック」という言い方で統一したいと思います。

ペイシェントセントリックがなぜ気持ち悪いと感じるのか?

僕はペイシェントセントリックって至極当たり前のことなんだと思うんですよ。

何故当たり前かというと、

ペイシェントセントリックを念頭において話を展開していかないと、

受け入れてもらえないと思うんですよ。

言葉を濁さずに言うと、そうじゃないと売れないと思います。

使ってください、使ってください、では売れないと。

この薬剤を使うと患者さんにとってこう言う利益がある、

今の課題をこのように解決できると言う風に全てを患者さん中心に考えて、

話を展開していかないと響かないと思うんですよね。

しかし、ご質問者さんが何故ペイシェントセントリックを気持ち悪いと感じるのかというのは、

僕自身が想像するには、

・ペイシェントセントリックが必要ない薬剤を扱っているのか、

・それともご質問者さんの感覚が鈍いのか、

その2つかなと思います。

ペイシェントセントリックが必要ない薬剤は淘汰される

このブログでもなんども書いてますが、

今後は非イノベーションを許してくれる環境ではどんどん無くなっていきます。

同じような薬効の薬剤が6つ7つあるような環境を許してくれるほど、

日本国には余裕がありません。

なのでご質問者さんがどのような会社でどのような薬剤を扱っているのかはわからないけど、

ペイシェントセントリックが本当に気持ち悪いと感じるのであれば、

それはペイシェントセントリックが必要な薬剤を扱ってないんだと思うんですよね。

もし本当にペイシェントセントリックが必要ないのに、

なんか外資系の真似して上司がそんな事を言い出してる感じなら、

僕の中のやばい製薬会社の中の特徴の大部分当てはまりそうな会社な気がして、

製薬会社への就職を考える学生に知ってほしいブラックな製薬会社の特徴

とっととやめたほうが良いんじゃないかと思います。

転職考えてるって事だったので、

まだ若いし、むしろ早い所やめとかないと、

今後もっと加速していく国からの兵糧攻めに耐えられない会社になってしまって、

なんと言うか、結果的に責任のすべてを自分以外の環境に置換して、

愚痴ばっか言って過ごす30代になってしまうんじゃないかと。

それはやっぱ良く無い。

ペイシェントセントリックに気づいてないケース




本当は患者さん志向がとても大切な薬剤なのに、

自分自身がそれに気づいてないケースってのもあるんだと思います。

この業界は特殊なので、顧客の方が勉強していて、

勝手に使ってくれていると言うケースが特に良い薬剤であるほどそんなことがあります。

そうすると、自分が頑張ったからとか、

自分のキャラが良いから先生と人間関係構築できて、、とか、

そんな風に勝手に解釈しちゃうのかもしれないんですが、

実際患者さん志向の必要な薬剤ってあんまり関係ないですからね。

逆に本当にキャラ売りしてるような感じだと長続きしないし、

スペシャリティ領域の人が比較的広域を担当してもやっていけるのは、

頻回訪問が必要ない薬剤であることが多いからなんですよね。

僕がいる会社は本当に極端な会社なんだけど、

1人で6県とか担当しないといけなかったりします。

そうすると当然頻回訪問なんてできないので、

しっかりその薬剤の有効性や患者さんにとってのベネフィットを多角的に理解してもらわないと、

まず無理なんですよね。

逆に本当に理解してもらえればもう訪問する必要もないので、

次の場所に行くことができます。

もう少し詳しく

ちょっとうまく言えてるかわからないんで、長くなってしまいますが、

山で例えると、

まだ山の高さを測る指標もないような昔の時代において、

日本人に「日本で一番高い山は富士山である」と言う事を、

証明するのって結構難しいと思うんですよ。

人によっては、剱岳だの、槍ヶ岳だの、立山だの、

色々言う人がいる中で、

あの手この手を使って「富士山が一番高いんだよ」と証明していくことに、

似ていると思うんですよね。

例えば剱岳が一番だと思っている人が、本当は富士山が一番だと気づいた時に、

初めて富士山がその人の中で一番になるんだけど、

富士山というのはその人が気づく前から元々一番なんですよね。

スペシャリティの活動とはそんな感じなのかなと。(逆にわかりにくいでしょうか)

元々一番な事を気づかせるような感じ。

もちろんそうじゃないことも多いんだと思うんだけども。。。

なので、何が言いたいかというと、

上司の方がいうペイシェントセントリックは本当なんだけど、

君の勉強不足が原因で君自身がそれに気づいてないことはないか?と言う事もあるんじゃないかと。

富士山が本当は一番なのに、

君自身の勉強不足で富士山が一番だと君自身が気づいてない事はないか?と。

僕は内資にいた時に、

扱う薬剤が多すぎて薬剤のポテンシャルに全く気づいてない、

みたいなケースを何度か見たことがあったのでそんなことになってないだろうかと。

オンコロジーの薬で、その後劇的にその治療を変えていったすごく良い薬なのに、

この薬は売れないと言って辞めていく人って必ずいるんですよね。

その薬剤が変えていく未来みたいなのが、

勉強不足のせいで見えなくなってるようなことになってはいないか?

と感じることがあります。

最後に

MRや製薬会社が、患者さん志向とか、

ペイシェントセントリックのような言葉を発信することって、

別に普通のことなので、

全然気持ち悪いことでもなんでも無いです。

至極当たり前の、そりゃそうだろと。

もしそれを気持ち悪いとか感じるのであれば、

実際に会社がそうなのか、

それとも自分の勉強不足のせいでそう言った考えになってしまってんのかは、

しっかり見極めてみて、

ちょっと色々考えたほうが良いのかなと思ったりはします。

ではまた!




コメント

  1. たまこ より:

    私も医療業界で働く上でペイシェントセントリックは至極当然の思考だと思います。ただ、例えば「なにつかってもどれも似たようなものでしょ」的薬剤であれば、売るためには営業的側面が強くないといけないため、患者思考には中々ならないのかな、とも思いました。。

    • 大作 大作 より:

      たまこさん

      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通りで、僕も思い返してみるとすっかり忘れて話してることもあったなぁなんて思いました。

      患者思考って簡単なようで難しいですしね。。。

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