固形癌担当者要チェック!リキッドバイオプシーの原理と未来をわかりやすく!

リキッドバイオプシー

どうもこんにちは、だいさくです。

先日書いたイルミナの記事のなかで、

「イルミナ」医療業界を牛耳るかも知れない絶対知っておくべき会社

Cell Free DNAを解析するリキッドバイオプシーについて少し書かせていただいたのですが、

固形癌を担当されている方から、一部承認になっている事は知っていたが、

もう少し詳しく、わかりやすくその原理と将来性などを教えて欲しいとリクエストいただきまして、

このリキッドバイオプシーの検査に関しては、

固形癌を担当されている方は必ず知っておいた方が良い話題でして、

とても便利な検査ですし、何より患者さんが誰よりも喜ぶ検査方法で、

今後どんどん承認の枠なども広くなっていくと思います。

今日はリキッドバイオプシーの原理やその未来予測に関してご紹介させていただければと思います。

正直全然難しくないですし、

わかりやすく書けると思いますので是非ご一読くださいませ。

固形癌担当者要チェック!リキッドバイオプシーの原理と未来をわかりやすく!




僕がリキッドバイオプシーを初めて知ったのは、

MRをやり始めた頃(今から10年以上前)に、当時まだ色々できた時代、

ASCO(米国腫瘍学会)のフィードバック説明会を1時間くらいかけてやっていたんですが、

血漿タンパクから癌の変異をみてる試験があって、

当時の結果で、

血漿タンパクでみた変異と、実際の組織生検でみた変異の一致率が85%まできている、

と言うデータを紹介した時に、

説明会を聞いていただいていお医者さんがめちゃくちゃ感心されていて、

これできるようになったら良いよねぇと仰っていて、

どこの病院でも同じリアクションをされていたので、

当時の僕は、「これって本当に有益な事なんだなぁ〜」と思っていました。

2020年にシスメックスから大腸癌のRAS変異をリキッドバイオプシーで保険内でみれるようになりましたが、

正直これ自体は本当のリキッドバイオプシーの価値を体現しているものではなくて、

もっともっと大きな未来が待っていると思います。

リキッドバイオプシーができない場合

リキッドバイオプシーができない場合、それが今の通常状態なのですが、

癌の診断には必ず組織生検が必要になります。

癌の組織を直接生検して、病理診断を行い、

それが本当に癌なのか?そして癌であればどのような遺伝子の変異があるのか、

腺癌なのか、扁平上皮にできているものなのか?その辺をしっかり診断するわけですが、

特に固形癌というのはその組織生検が非常に困難で、何度もできません。

肺に癌があれば肺にとりいかなければならないし、

膵臓にあれば膵臓に、大腸にあれば大腸に、

全身麻酔して、入院して手術して、確定診断をつけるための組織生検だけで、

非常に患者さんにとっては負担になるわけです。

病院の内部的にも、内科の先生は組織生検のために外科医とコンタクト取る必要があるし、

それがまた外科医が協力的じゃなかったり、

外科が名門な病院とかだと中々予約取れなかったり、、、

そうすると診断自体が遅れて、治療開始も遅れてしまう可能性もありますよね。

リキッドバイオプシーができない現状では組織生検するだけで患者さん的にはリスクも大きいし、

そのご家族にとっても負担であるわけです。

リキッドバイオプシーが普通にできる未来になると?

リキッドバイオプシーがもし普通にできるようになったら、

前述したことが全て解決されます。

診断や遺伝子の変異が、血液を取ってくるだけでわかってしまうのです。

内科が中心となって癌治療をしているのであれば外科医と無用なコンタクトが必要なくなります。

そして、組織生検は何度もできませんが、これは何度もできますし、何より低侵襲で、

実は組織診断は取ってくる場所によってその確度が違うとも言われておりますが、

リキッドバイオプシーは癌のDNAをそのまま解析してるので、

真の標的遺伝子異常を同定しやすいとされてます。

そして手術も必要ないのでとにかく素早く治療選択ができます。

色々な意味で、こんなに楽で素晴らしい事はないのです!!!

そして、冒頭に述べた、シスメックスの検査は本当の価値をまだ体現してないとお伝えしましたが、

実はリキッドバイオプシーの1番の利点は、

癌の早期発見(予防)と早期再発予測です。

下図はリキッドバイオプシーで診断した再発ポジティブとネガティブのデータになります。

大腸癌の手術後に血液検査だけで再発の有無が分かるというデータです。

またリキッドバイオプシーの市場の予測なんですが、

将来的にはやはり早期診断と早期の再発予防が大きな市場になるとされています。

もちろん癌に罹患した際にも有用ですが、やはり予防観点で考える方が利益が大きいのです。

後ほど詳しく説明しますが、リキッドバイオプシーというのは、

原発の癌から漏れ出たCell Free DNAが血液に流れ込んできてそれを解析することです。

なので癌では無い人にその癌特有のDNAは血液に流れ込んできません。

なので癌の早期発見、そして早期の再発予測が非常に簡便にできるわけです。

【超簡単に!】リキッドバイオプシーとは?Cell Free DNAとは?




ここまでで大体説明してしまいましたが、

癌細胞というのはそもそもしょっちゅう死滅してます。

その死滅した癌細胞からDNAだけが血液に流れ込んでくる事が普通に起こっていて、

その癌細胞(Cell)から自由(Free)になったDNAという意味でCell Free DNA、

細胞を持ってないけど、

その癌細胞のDNAだけが血液に流れ込んで、

そのDNAをNGS(次世代シーケンサー)で検知して解析するのです。

面白いですよね。

まぁそれができるようになった背景はやはりNGSの開発なんですよね。

NGSがなければそもそもそんな少量のDNAを検知して解析する事ができてないと思います。

Cell Free DNAを用いたリキッドバイオプシーの起源を調べてみたんですが、

元々は生殖医療(不妊治療)のようですね。

そこで開発された技術が癌の方で活かされているようです。

リキッドバイオプシーの開発は簡単だけど保険償還が難しい

リキッドバイオプシーの検査で、保険償還を目指してやってるプログラムは下記のようです。

上から3番目のガーダントという会社の技術は有名で非常に有用です。

もし、MRから異業種にと考えている方がいて、

オンコ経験者ならガーダントは働きがいと年収面でもかなりおすすめです。

ただ、これ以外にも実は自由診療の部分ではありますが、

リキッドバイオプシーで癌の診断ができる検査会社はめちゃくちゃ沢山あります。

正直、NGSさえ持っていて、その癌特有のDNAの配列や遺伝子異常部分の配列さえわかっていれば、

さほど難しい技術ではないので、開発自体は難しくありません。

しかし、その検査を保険償還するのがとてつもなくハードルが高いのです。

熱い市場!将来性のある遺伝子検査の会社をチェックしてみた!

この記事で一部紹介してますが、

東大発のgenomediaとかはNCCと一緒に開発したりしてます。

コニカミノルタプレシジョンメディシンは米国のNGSの会社を買収して出来上がりましたが、

若干迷走気味に見えます。

最後に

まぁとにかく何が言いたいかというと、

固形癌を担当されている方は、是非このリキッドバイオプシーの技術と有用性を知って欲しく、

もし、診断とかに困っている人がいたら調べてみれば自由診療にはなりますが、

血液検査だけで遺伝子の異常を診断できる会社が多分普通にありますという事です。

治療の選択肢が早期に広くなりますし、こんな良い事はないと思います。

ではまた!




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