どうもこんにちは、だいさくです。
中外製薬って凄い!ですよね。
製薬業界で働いている人は、中外製薬が凄い!ということを知らない人はいないと思います。
でも、具体的に何が凄いかご存知でしょうか?
僕は中外さんの回し者でもなんでもないですが、
中外製薬って本当にすごい会社だということはこれまでもちらほら書いて参りましたが、
結構株主向けのIR資料なんかを読んでみても、
例えば学生さんとか、この業界で働いてない人には一見わかりづらい、
理解できない部分も出てくるかと思いますので、
今日は中外製薬の何がすごいか?を現役の製薬業界で働く社員として、
噛み砕いてご紹介させていただければと思います。
中外製薬は本当に凄い!と言われる7つのポイントを解説します!
内資系最大手と言われる武田薬品をはじめ、
国内製薬会社の苦闘が続く製薬業界の中で、
数少ない勝ち組、それも半端ないスーパー勝ち組と言われる中外製薬。
時価総額としては、大体8兆円前後を推移しており、2020年にはついに国内第1位になりました。
国内製薬会社に関しては、
売上、時価総額、戦略、創薬、研究、そして理念、何をとってきても、
中外製薬の上にはもちろんのこと、横に並ぶことすらできないのではないかと思います。
中外製薬の真似をしようと思ってもできないのです。
まぁまぁかなり持ち上げておりますが、
ここからは具体的にどの辺が凄いのか7つのポイントに分けてお伝えしていければと思います。
1、ロシュとの戦略的”アライアンス”を結んだこと
中外製薬は2002年、
当時から世界有数の製薬企業であったロシュ社と戦略的にアライアンスを結びます。
アライアンスは、同盟や提携と言った意味で、
両社とも「買収」や「合併」という言葉は使わず、
あくまで”アライアンス”という言葉を使ってます。
文字通りアライアンスを結んだんです!
これ本当に凄いことで、中外も凄いが、ロシュも凄い!
何が凄いかというと、まずロシュは中外を子会社化してない。
たまに中外製薬は外資系とか、ロシュの子会社に成り下がったとか、
短期的にしか物事を見れてない人や事実関係に不勉強な方は言いますが、
ロシュは中外製薬の株を59%持っていますが、経営は全て中外に任せてます。
全てです。
2002年当時、ロシュは中外製薬の15倍近く大きい会社だったわけですが、
普通なら会計部門くらいにはロシュの人間を送り込んだりするんですが、
それを全て中外製薬に任せたのです。
なのでまず2002年にこのような自主独立を前提とした”アライアンス”を自ら戦略的に結んだ事、
それ自体が中外製薬の凄さの1つ目です。
2、戦略的アライアンスを高潔に実行している
ただ、外資系とこのようなアライアンスを結んだ会社というのは他にもあるかもしれませんが、
それを高潔に実行し、要はお互いに”アライアンス”を結ぶ事で無駄を省き、
超効率的な創薬、開発につなげて組織運営をできてるってことが凄いんです!
下記にアライアンスに伴う両社の役割をまとめてみました。
役割 | 中外製薬(国内5位) | ロシュ(スイス)(世界1位) | 備考 |
研究開発 | 自立して行う | 自立して行う | |
元々の強み | バイオ系、 特に抗体医薬に強み |
がん領域など幅広い分野に強く圧倒的存在感がある | |
グローバル開発 | 全てロシュに任せる | 中外製品の日本以外のグローバル開発、治験・販売を全て担う | 米国販売はジェネンテック |
国内開発 | ロシュ・中外製品の開発・治験・販売を一貫して行う | 全て中外製薬に任せる | |
出資 | ロシュが中外製薬に59%出資 |
絵に描いた餅ではなく、これを本当に実行してることが凄いわけです。
昨今製薬会社同士の買収、それこそブリストル/セルジーンなんかの大型買収もあったりしましたが、
その際によく言われるのがコストカットシナジーってやつ。
合併することによって研究開発、製造、販売を一緒に行うことによって生まれる、
コストカットシナジー効果。
はっきり言って、中外/ロシュのコストカットシナジーはその他と比較しようがないくらい、
スーパーシナジーと言えると思います。
これだけ役割がはっきり分かれていて、
しかもお互いにしっかり結果を出している。
こんな凄いアライアンスは無いのです。
どこというわけじゃ無いですが、外資系製薬会社に対して自分の身の丈以上の買収を行って、
結果買収した外資系から逆にコントロールされちゃってるような、
コストシナジーを生み出してるような会社とは全然違うのです。
なので2番目はアライアンスを忠実にそして高潔に実行し、
しかも結果を出しているという部分です。
他の内資系が中外製薬さんと同じことできますか?と。
3、人間関係、SOV何それ?中外の凄さは高度な情報提供にあり
※SOV=Share Of Voice
僕がMRになったのが今から12年くらい前になりますが、
その頃中外と言えば、オンコロジー全盛期。
オンコロジーと言えば中外、中外と言えばオンコロジー、
まぁまだ当時は中外と言えども、人間関係やSOVを重視する傾向は確かにあったと思いますが、
他社と比べると少なかったし、
オンコロジーは高度な情報提供こそに価値がある、
それが真なり、
それが我ら中外!
って感じで、
一人一人の情報提供の質まではわからなかったんですが、
中外さんの提供するオンコロジーの医師向けサイトなんかはマジで貴重でしたし、
あのサイトのおかげで高度な情報提供が本当にできていたと思います。
エリアごとのニーズの多様性にきめ細かく対応する社内体制であったり、
チーム医療の推進や、地域医療連携の促進体制なんかも凄いと言われています。
SOV全盛時代に高度な情報提供を価値として形にした中外は、
今でも情報提供の提供ラインに苦しんでないし、
呼ばれる会社になっているわけです。
オンコロジー関連のアンケート調査でも、
医療関係者からの満足度評価ずっと国内ナンバーワン、
医療関係者からの安全性情報提供の充実度評価ずっと国内ナンバーワン、
なのです。
製薬業界がSOV、人間関係による処方促進に邁進してる中で、
中外だけは情報という価値の最大化に努めていたからこそ今がある、
そこが中外の凄いところの3番目になります。
まぁそれから中外の金魚の糞のようなサイトは沢山できましたが、
中々越えられないのが現実ではあるのです。
4、中外製薬は”刺されてない”のが凄い!
中外製薬って、これだけ高度な情報提供を行なっていながら、
刺されてないんです。
武田のCASE-J、
ノバルティスのディオバン、
セルジーン、ノバルティス、ファイザー、メルクバイオ、ブリストル、ギリアド、ヤンセン、藤本製薬による副作用未報告事件、
バイファ、BCGによる承認書と異なる製造、
そう言えば2021年は後発品会社の製造問題もありましたね・・・・
ね、中外製薬って無いんですよ。
遠い記憶にカペシタビンの臨床研究不正操作疑惑みたいなのがあったけど、
結局それもよく結末がわからないんですが、
とにかく明確に何かペナルティのある違反って無いんですよ。
それやっぱ凄いなぁと思うんですよね。
これだけきついルールの中にあって、
あれだけ沢山のピカ新扱ってて。
本当に高潔なのか、ただ単にうまいのか、
それは定かでは無いけど、本当にうまいとしても、
この時代にそのうまさを発揮できるのが凄いっすよね。
なので、4番目は刺されてないのが凄い!です。
中外製薬は目をつけられている
余談ですし、まぁこの場で言うことかどうかわからないですが、
僕はブログを書いてる関係で、医療系メディアの方とちょっとお知り合いだったりするんですが、
中外製薬は目をつけられています。
なぜかというと、刺されてないのは何か理由があるんじゃ無いの?ということで。
例えば、中外製薬は、この時代にあって、医者への報酬額が会社の規模の割に多すぎること、
研究助成金もまだやっぱり多いこと、
要はそう言ったお金の流れがあることによって中外を医者側が刺しづらい状況を作ってんじゃ無い?
何か不正してんじゃない?と粗探しをされていたりします。
でもそれでもやっぱ何も出てこないので、やっぱ凄いんですよね。
まぁ余談です。でも目つけられているのは本当です。
5、中外製薬のDXが凄い!
先日の記事でも書きましたが、
中外製薬はDXの部門も他の内資系製薬会社と差をつけています。
2番目の凄いところにも書きましたが、元々中外製薬は抗体医薬品の研究に強みを持っています。
そのビッグデータを元にMALEXAというAI創薬のプラットフォームを自社開発に成功しています。
こういう環境基盤自体を一つ開発できるだけで、
とても良い経験であり、成果になるので、
今後の中外製薬のAI創薬は期待できるものになります。
2021年の11月にも「CHUGAI DIGITAL DAY2021」っていうイベントを行ったんですが、
真面目に他の内資系の方も絶対参加した方が良いと思います。
自社の強みをさらに大きな強みにできるヒントがあると思います。
6、中外はやっぱり凄いヘムライブラの開発
元々はオンコロジー製剤が中外製薬の業績を牽引していたわけですが、
最近の中外製薬の業績を牽引しているのが、血友病薬である「ヘムライブラ」です。
血友病は一度出血すると血が止まりにくくなる病気ですが、
このヘムライブラは中外製薬の抗体医薬の技術を使って開発した中外のオリジン製品で、
既存薬と比べ投与が簡単で、効果が持続するため投与回数が少なくて良く、
使用量が大幅に向上しています。
既存薬は武田薬品が買収したシャイアーが扱っていましたが、
その既存製品から急速にシェアを奪い、拡大、
国内では約350億の売上で、世界では1,600億円を越え、
軽くブロックバスターとなりました。
ん〜凄い!
7、MRの情報提供ができないため新薬が入りづらいと認めるとこが凄い
2020年末でしたでしょうかね?中外製薬の決算発表会の時に、
コロナ禍に入り、MRの情報提供が大幅に規制されたことにより、
新薬が入りづらいと述べていたんですが、
なんか良いなぁと思ったんですよね。
確かに、新薬の発売がコロナ禍と重なった会社は、
MRの活動が制限されたことによってだいぶスタートダッシュが遅れました。
MRの訪問に厳しく規制をかけている施設ほど新薬が入りづらいというデータもあるくらいで、
MRの情報価値は新薬にこそ有り!ってのはまぁよく知られているところですが、
それを代表自らが認めている、
それをパブリックな情報として出してくれる部分がやっぱ良いなぁと思うわけです。
中外製薬は凄いけどちょっと懸念点もある
ここまで中外製薬って凄いよねぇという部分を7つにまとめて書いて参りましたが、
やっぱ懸念点もあります。
お伝えした通り医師向けの報酬が多いことで、
何か不祥事につながらないかなぁというのもあるんですが、
やっぱ何よりグローバルの開発をロシュが全部やっているという部分。
中外は韓国はおろか、日本国外で自分でビジネスをできないのです。
ヘムライブラも実際海外で1,600億円売れていても、
日本の売上350億にロイヤリティ収入のプラス150億くらいにしかなりません。
実は以前Twitterでなぜ中外製薬は中堅内資と呼ばれるのか?と質問をいただいたのですが、
僕はそれに対してグローバルの開発を全てロシュがやってるからとお答えしました。
まだせめてアジアだけでも中外がやっていればなぁというのはあったりします。
まぁそれでめちゃくちゃうまくいっているので変えることはないと思いますけど。
むしろオペレーションを取ろうと思って会社をめちゃくちゃにしてしまうより、
よっぽど良いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
中外製薬がなぜ「凄い!」と言われてるのかお伝えできましたでしょうか。
まとめると、
1、ロシュとの戦略的アライアンスを結んだ事
2、戦略的アライアンスを高潔に実行している事
3、SOV全盛時代から情報に価値を置いていた
4、中外製薬は刺されていない
5、中外製薬のDXが凄い!
6、ヘムライブラの開発
7、MRの情報提供を大事にしてる
でも、懸念点も少しあるよ。という事でした。
ではまた!
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