Stemline TherapeuticsのELZONRISは結構注目だよ!

ステムラインセラピューティック

どうもこんにちは、だいさくです。

Stemline Therapeutics(ステムライン セラピューティックス)ってご存知でしょうか。

ステムラインは血液がんのスーパーオーファンの薬剤を開発した会社なんですが、

結構すごい会社なんです。

ELZONRISっていう薬がFDAに承認されたんですが、

オーファン系の会社に転職したいと考えてる方は絶対に注目しておいた方が良いです。

Stemline Therapeutics(ステムライン)って知ってる?結構注目!

ELZONRISというのは、BPDCN(Blastic Plasmacytoid Dendritic Cell Neoplasm)、

日本語に訳すと、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍という疾患に使われる薬になります。

僕も実は先日(2019年6月29日)行われましたリンパ網内系学会に参加してる時に、

知りました。

BPDCNは急性骨髄性白血病(AML)のなかに分類される疾患で、

大体血液がんの0.5%くらいの発現率とも言われていたり、

米国でも大体年間400人弱くらいの患者数のいわゆるスーパーオーファンの薬剤になります。

BPDCNを簡単にご紹介

BPDCNは前述の通り非常に稀な疾患で、これまで何度か疾患の名前も変更されています。

BPDCNは小児にも成人にも発症する可能性のある白血病になります。

ただ、一般的に白血病は血液を作る器官である骨髄に発生しますが、

BPDCNは皮膚の発疹として発症するのが多いという特徴があります。

血液がんの長い歴史の中で研究自体が進んでおらず、確立された治療法がないために、

他の白血病に対する治療法、抗がん剤治療や骨髄移植が行われておりましたが、

再発することも多く、予後の悪い疾患になります。

米国ではMDアンダーソンキャンサーセンターが熱心に研究されており、

日本では限られた施設、

名古屋大学や東京の一部の施設でしか研究されていなかった状況がございます。

ELZONRISがBPDCNに承認!




ELZONRISは一般名tagraxofuspという薬剤で、SL-401という開発番号で治験が進んでいました。

ELZONRISはCD123に対する阻害剤で、

短縮ジフテリア毒素と遺伝子組み換えヒトインターロイキン-3が融合した毒素になります。

まずMDアンダーソンのNaveen先生がBPDCN患者11例にパイロット的に投与を開始し、

安全性と有効性を検証し、多施設共同の第ll相試験に移行しました。

その第ll相試験の結果を受けてFDAで承認されております。

その第ll相試験の結果がこちらです。

tagraxofusp 7μg/kg群及び tagraxofusp 12μg/kg群 備考
対象患者 未治療/再発BPDCN患者 未治療/再発BPDCN患者
n数 47例(未治療患者32例、既治療患者15例)
投与方法 1サイクルを21日とし、day1〜5に静注投与(PDもしくは忍容できない副作用が発現するまで継続)
完全寛解率 53.8%(全奏効率は90%) 主要評価項目
安全性 ALT上昇(64%)、AST上昇(60%)、低アルブミン血症(55%)、抹消浮腫(51%)、血小板減少(49%)、毛細血管漏出症候群(19%)、各投与群で1例づつ治療に関する死亡

FDA Approves ELZONRIS (tagraxofusp), the First Treatment for Blastic Plasmacytoid Dendritic Cell Neoplasm and First CD123-Targeted Therapy

Care net

特に未治療の患者に絞ると奏効率は90%、CRが72%でした。

造血幹細胞移植を寛解期に受けられた患者は29例中13例でした。

既治療群の生存期間中央値は8.5ヶ月でした。

これまで確立された治療法が無い疾患である中で、未治療の患者に対する寛解率が72%は、

とても良好な成績だと思われます。

ただ、毛細血管漏出症候群において死亡例が確認されています。

ELZONRISは毛細血管漏出症候群を引き起こす可能性があって、適切に管理されていないと生命を脅かす可能性があるといえそうです。対処法などは英語ですが、こちらに記載されております。

Stemline Therapeuticsとは?

stemline

ステムラインは特にオンコロジー製剤の開発と商品化に注力しているバイオ医薬品会社になります。

設立は2003年 に米国で設立されました。

今回ELZONRISがBPDCNにFDAで承認されました。

今後、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄線維症(MF)などを含む追加の適応症が予定されています。

他には、SL-801が固形癌に対してP1が進行中、

SL-701(免疫治療薬)がセカンドラインの膠芽腫に対してP2が進行中です。

ちなみにSL-801は静岡にある日本の創薬バイオベンチャーの会社から導出されたものです

ELZONRISの日本の治験に注目!

ELZONRISがFDAに承認されたのは2018年末になります。

まだ日本ではこの薬の治験が行われていません。

患者団体からも切望されているので間違いなく始まっていくと考えられます。

この治験をステムラインがそのまま日本で行えばステムラインが日本参入してくると思います。

個人的な予想としては、大手の会社は希少疾患過ぎて手を出さないと思います。

どこがやるかは結構注目ですが、今後のパイプラインも考えると、

ステムラインがそのままやってくれると面白いなと思います。




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