製薬会社に勤務しながら同僚を刺した(リークした)話

MRエピソード!

だいさくさん

はじめまして。いつもブログ楽しく拝見しています。

私は国内製薬メーカーでプライマリーMRをしている者です。

あまり表に出てこない話かと思い、投稿させていただきました。

私は「同僚を刺した」ことがあります。

今日はそのエピソードについて紹介させていただきます。

製薬会社に勤務しながら同僚を刺した(リークした)話




「同僚を刺した」というエピソードですが、

もちろん刃物で襲ったわけではありません。

特にMR界隈で隠語的に使われており、

ご存じかと思いますが「不正を告発する」「チクる」という意味です。

近年、医療用医薬品広告活動監視モニター制度が強化され、

競合他社のMRだけでなく、医療従事者からも告発されるリスクが高くなっています。

とはいえ私は接待が禁止され後に入社した世代で、

導入研修からコンプライアンスに関して徹底して指導を受けていました。

そのため自身では誰が見ても明らかに違反と思えるような重大な違反はしてこなかったつもりです。

気になってしまう元プロパーの人達

反面、元プロパーと呼ばれた一部のおっさんMRの中には、

以前から怪しいと噂されている同僚が何人かいることを聞いていました。

しかし自分には影響がないからと、ある時までは無関心だったことも覚えています。

状況が変わったのは春の異動が公示されたことでした。

噂のおっさんMRのひとりが私の支店に異動してくることになったのです。

しかも担当の領域は違うものの私が担当する基幹病院の担当になり、

施設ルールや医師情報の共有でたまに連絡をとるようになったのです。

さらに運が悪いことに私の直属の上司も変更になっており、

コンプライアンスにとても厳しいといわれているマネージャーが上司になりました。

そしてある日、事件は起こったのです。

当該の基幹病院で私が医局説明会を予約したところ、

例のおっさんMRが同席したいと申し出てきました。

出席予定の医師のなかにターゲット医師がおり、

また担当して日が浅いため医療従事者との関係作りに協力してほしいとのことでした。

その病院の説明会はわりと取りやすく、

過去に何度も実施したことのあった私は深く考えずに、

「では2人でやりましょうか」

と、おっさんMRにも製品紹介の機会を提案してしまいました。

事件は起きた

病院からも2製品を紹介することを快諾していただき、

前半は私・後半は自己紹介も含めておっさんMRが担当することになりました。

ちなみにおっさんMRとは担当領域が違うのでその病院でしか出会いません。

そのため説明会の直前で合流し、

お互い紹介する内容を打ち合わせることもないまま説明会が始まりました。

前半の私のパートが無事終わり、

おっさんMRのPCがプロジェクターにつながれた瞬間、私は目を疑いました。

会社提供のスライドではなく、

パワーポイントで作ったであろうお手製スライドが映し出されていました。

そのまま説明会はスタートし、

おっさんMRはたびたびブラウザを開いて有名な医師のブログを写しながら、

そこに書かれている内容をつかって競合品の誹謗中傷を繰り返したのです。

参加した医療従事者たちがどのように感じたかわかりませんが、

後日部長から「新しく来た人個性的だね」と言われたのを覚えています。

葛藤したけど上司に報告

説明会が終わり私は途方に暮れました。

あの場で即座に私が説明会を止めれば良かったのですが、

さすがに2回り以上歳の離れた先輩の説明会に割って入る勇気はありませんでした。

ちょうどその頃モニター制度がはじまったばかりで、

しかもどこかの県の自社MRが告発されたと噂されていたときでした。

私の担当する病院はそれほど大きな病院ではないので、

普通に考えればモニターがいるとは思えなかったのですが、

万が一の可能性も否定できませんでした。

しかも新しい上司は特にコンプライアンス違反に厳しい人で、

不自然に部下を庇うのではなく上に報告する方がいいと考えている人です。

もしも医療従事者や競合他社から告発が上がったら、

同席していた私も罪はまぬがれないと考え先に報告していまうことに決めました。

説明会が終わったその晩に、

直属の上司にメールで事の顛末を報告しました。

会社のコンプライアンスとのやり取り




間もなくして上司から電話がかかってきて詳細を聞かれました。

幸い私が普段からコンプライアンス違反に注意していたこと、

逆におっさんMRが悪い噂が絶えないことから、

私は何も知らず止めることができなかったと信じてもらうことができました。

そして本社のコンプライアンスを管轄する部署に連絡すると言われました。

数日後、また上司から連絡が来て本社が事情聴取をおこなうということで日程調整をしました。

そして決められた日時に上司に電話をかけると、

同時接続で本社の担当者とつながりました。

担当者は2人おり、上司と私の4人同時接続で聴取がおこなわれました。

経緯の説明

まず最初に担当者から言われたことは

「ごまかさず正直に話してほしい。記憶が曖昧なところはわからないと言ってほしい」でした。

次に告発者の権利を保護する社内規則についてや、

担当者から私に不当な尋問がおこなわれていないか監視するために、

上司が接続しているという説明をうけました。

そして例の説明会を取得したときから、

これまでの役割について、

説明会でおっさんMRがどのような誹謗中傷をおこなったかを詳細に聞き取られました。

印象に残ったのは、

そのおっさんMRの性格や告発されたことを聞いたらおっさんMRはどんな反応をすると思うかについても尋ねられたことです。

聞き取り時間はおおよそ1時間程度だったと記憶しています。

最後に万が一おっさんMRから疑われ報復された場合の対応について、

指示を受け事情聴取は終わりました。

それから1ヶ月後

聴取から約1ヶ月後、

おっさんMRは出勤停止の懲戒処分をうけたと本社から連絡をもらいました。

どうやら説明会に出席した医療従事者の一人から本社に連絡がはいったという建前で、

本社は対応してくれたようでした。

担当者いわく、おっさんMRは違反したことをすべて認め、

なおかつ持論を展開して反省の様子が見られなかったとのことでした。

その後おっさんMRはその病院を敬遠し、

説明会にも一切参加しなくなったので直接会うことはほとんどなくなりました。

そして1年半くらい後に実施された早期退職をきっかけにおっさんMRは手を挙げ辞めていきました。

最後の方はほとんど連絡をとらなかったので、

おっさんMRが会社に居づらくなったのかや私を疑っているのかはわかりません。

ただ報復行為のようなものは全くありませんでした。

私はというと聴取後は上司からこの点について特に触れられることもなく、

その年の評価も平常変わりはありませんでした。

今でも同じエリアを担当し何事もなかったかのように活動しています。

後日、研修でMRが告発されるのは競合他社より、

同僚からの内部告発が大半を占めるということを聞きました。

以前の私なら「ひどい奴もいるもんだな」と思ったでしょうが、

自分を守るために仕方がない人もいるのだろうなと今では思えます。

告発したことに罪悪感はありませんが気持ちのいいものではないので、

プロパー営業をいまだに続けているMRたちにはどうかルールを逸脱した営業活動をされないようお願いしたいと感じています。

だいさくより

僕もこれまでいわゆる刺した人何人か知ってますが、

一連の流れはとても分かり易かったです。

そういう感じで進んでいくんですね。

まぁでも普通に対応してよかった案件だと思いますけどね。

僕も以前の会社でプライマリーの人達と合同で説明会やったりしてましたが、

その年配の方はちょっとあり得ないっすね。

いや、もちろんダメだけど、自分一人でやるならまだしも。。

僕は正直いうと、記事を読んで、その年配の方、クビにならないんだなぁと思いました。

多分外資だったら速攻バッサリで、多分次の会社も見つからないかも知れないなぁとか、

思って読んでおりました。

いやはや、中々聞けないとても貴重なエピソードです。

ではまた!




 

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