どうもこんにちは、だいさくです。
アルナイラムファーマシューティカルズ(以下アルナイラム)の
立ち上げ募集が開始されましたね。
アルナイラムが日本法人を立ち上げるというのは2018年の初頭くらいに、
発表されてたんですが、すっかり忘れておりました。
ツイッター経由で色々教えていただきまして、
改めて情報をまとめてみたいと思います。
アルナイラムファーマシューティカルズとは?
【本国】米国マサチューセッツ州
【日本法人名】Alnylam Japan
【日本法人社長】中邑 昌子 元Aegerion Pharmaceuticals代表取締役社長
社長の中邑さんは、アメリカのジェンザイム(現サノフィジェンザイム)で希少疾病用医薬品事業に長年携わっており、2013年からは希少疾病に特化した製薬企業であるアメリカのエージェリオンの日本法人の代表取締役社長を務めていた方です。
アルナイラム・ファーマシューティカルズは、
リボ核酸干渉法(RNAi)に基づく治療薬を開発する製薬会社です。
現在は自社開発した5つの製剤を含む7品目が臨床試験を開始しております。
今回立ち上げの背景となっているパチシランという薬剤は2018年8月に米国、
欧州で承認を取得しております。
日本では2018年9月27日にトランスサイレチン型家族性(hATTR)アミロイドーシスの治療薬として、
パチシランの新薬承認申請が厚生労働省に提出されております。
日本国内では初のRNAi治療薬の承認申請となります。
アルナイラム立ち上げの背景
今回日本で上市が予定されているパチシランに関しては、
アルナイラムは米国・カナダ・西欧の責任を持っており、
それ以外の国ではサノフィがライセンスを取得しておりますので、
僕はサノフィが日本でも扱うのかと考えておりましたが、
アルナイラムは今回サノフィへのライセンスアウトではなく、
自販体制を整えることになりました。
パチシランの申請はサノフィがしてるという話(噂?)を聞いたことがあったので、
今回なぜアルナイラムが自販体制を整えているかというのは、
はっきりした事はわかってませんが、
パチシランが今回無事に上市された後に、
あくまで米国での話ではありますが、
株主説明の中で、年1品目のペースで3品目申請する準備があると記載されております。
そういったことから、
十分自販体制を敷いて良いと判断されたのでは無いかという風に推測されています。
アルナイラムの募集人数
アルナイラムの日本法人は現在10名です。
今回の募集でメディカル部門やMRを合わせて45名まで増やしていくそうです。
MRはおそらく8名の新規募集となります。
8名に対して人数が80名前後応募があり、書類審査によって25名程度に絞られます。
1回目の面接で10人まで絞られます。
最終面接では、パネルディスカッション、
プレゼンテーション(質疑あり)を行い、
最終的に8名に絞られます。
上述の通り、アルナイラムの今回の立ち上げはアミロイドーシスに対する治療薬で、
世界で初めて米国で承認されたsiRNAのパチシランという薬があるからです。
僕はこれまでのキャリアの中でアミロイドーシスの領域を担当したことがあるので、
少しは知ってるんですが、結構難しいと思います。
出てくる単語が聞きなれないものが多く、理解するまでは結構難しいと感じています。
そのためか、一応アミロイドーシスの経験者が優遇されているようではあります。
こちらがLinkedInに記載されていた社員データになります。
薬事系の内勤者は既に揃っていそうです。
siRNAとは?
アルナイラムにもしご興味ある方は必ず覚えておいた方が良いこととして、
今回世界で初めて米国で承認されたsiRNAに関しては覚えておいたほうが良いと思います。
siRNAは核酸医薬の一つになります。
RNA干渉(RNAi)は、細胞内で遺伝子がどのように調節されているかを理解するためのブレークスルーとなりました。RNAiはさらに、新薬発見・開発の全く新しいアプローチをもたらしています。Craig Mello博士とAndrew Fire博士により見出されたRNAiの重要性は、大きな科学的発見として認められ、2006年ノーベル生理学・医学賞を受賞しております。
こちら核酸医薬品に関して簡単に標的と作用機序についてまとめてみました。
種類 | 標的 | 作用部位 | 作用機序 |
siRNA | mRNA | 細胞内(細胞質) | mRNAの切断 |
miRNA | microRNA | 細胞内(細胞質) | microRNAの補充 |
アンチセンス | mRNA,miRNA | 細胞内(核内・細胞質) | mRNA,miRNAの分解、 ヘルスケプライシングの阻害 |
アプタマー | 蛋白質(細胞外) | 細胞外 | 機能阻害 |
デコイ | 蛋白質(転写因子) | 細胞内(核内) | 転写阻害 |
リボザイム | RNA | 細胞内(細胞質) | RNA切断 |
CpGオリゴ | 蛋白質(受容体) | 細胞表層 | 免疫賦活 |
パチシランの作用機序
パチシランは1番目のタイプのsiRNAになります。
siRNAは2本鎖のRNAで、細胞内でmRNAを分解(RNA干渉)することによって、疾患原因タンパク質を消失させる作用を持っています。
ちなみにですが、パチシランはリポソームなどのドラッグ・デリバリー・システムが必要になりますが、アルナイラムは糖鎖を付加し、肝臓に特異的に取り込まれるようにすることで、リポソームを不要とした新しいタイプのsiRNA(ギャルナック コンジュゲーティド siRNA)の開発も進めています。
パチシランのライバル薬イノテルセン
これは一応覚えておいたほうが良いかと思いますが、パチシランのライバル薬であるイノテルセンという薬剤がおそらくパチシランの後に上市されます。イノテルセンは上述の表の3番目のアンチセンスという種類の薬剤になり、パチシランが数時間かかる点滴静注ですが、イノテルセンは皮下注になるのでそういった違いがあります。
しかし、臨床試験を見比べてみると、臨床プロファイル的にはパチラシンの方が優位だとおもわれます。パチラシンとイノテルセンの重要なP3試験、パチラシン(APPOLLO試験)イノテルセン(NEURO-TTR試験)をみる感じでは、ニューロパチー改善スコア(mNIS+7)とQOLで高い改善効果を示しており、安全性と忍容性でも優位であることが認められております。
また、パチラシン投与に関連した有害事象はほとんどが軽度または中等度であったが、IRと抹消性浮腫がおもですが、イノテルセンは5令で重篤な腎関連の有害事象や血小板減少症が見られております。死亡率や投与中止率は、パチラシンではプラセボよりも低かったが、イノテルセンはプラセボを上回っております。
パチラシンの薬価
パチラシンの薬価は、米国での申請を見ているとかなりの高額薬剤です。
年間で計算してみると大体4000万〜5000万近くになるようです。
そのことから、米国ではVBAという制度を採用しており、
臨床試験通りの効果が得られたら保険会社に請求するというものです。
日本ではどうなるかまだわかりませんが、かなり高額薬価になると思います。
アミロイドーシスとは?
アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれる線維性の異常蛋白が特定の臓器または組織の細胞外へ沈着して、それら臓器の機能障害を引き起こす病態の総称になります。全身性と限局性に大別され、各々がさらにアミロイド構成蛋白の科学的性状と臨床像の組み合わせにより細分類されております。神経系の障害は全身性アミロイドーシス、限局性アミロイドーシスの双方で出現しますが、前者では家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)のような末梢神経障害が、後者では脳アミロイドアンギオパチー(CAA)による脳障害がその典型となります。
アミロイドーシスに関してはガイドラインを読んでいただければと思います。
僕も今回の記事を書くにあたって読んだんですがとてもわかりやすいです。
パチラシンの適応
パチラシンの適応はATTR-FAP(トランスサイレンチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)になります。
ガイドラインの中では1番目に信州大学の関島先生が説明されております。
パチラシンは一般名で、製品名はOnpattroになります。
アルナイラムファーマへの転職は魅力的か?情報をまとめてみた!
広く浅くですがまとめてみました。
最終面接はヘビーですね(笑)
最近のオーファン立ち上げあるあるですが、
プレゼントパネルディスカッションは聞いた事ないですね。
iRNAを製剤化するのは無理だとずっと言われていたけど、
2002年からAlnylamはその「無理」にずっと挑んでおり、
それが初めて製剤化されたので、
そのパッションを共有できる人が真に欲しいんでしょうね。
アルナイラムは技術が特徴的で、
方向性が非常にわかりやすいと思います。
アミロイドーシス自体が患者数が非常に少ないですし、
その中でもパチラシンの適応となるATTR-FAPは日本国内で数百人です。
薬価は高額になるとは思いますし、
ライバル薬との差別化もしっかりできると思います。
こちらがパイプラインの一覧になります。
パチラシンを含む3製剤が米国のブレークスルーデザインに指定されております。
上述した通り年間に1品目のペースで3品目が上市される予定です。
個人的にはかなり大化けしそうな予感がしてます。
またアミロイドーシスという希少疾患を経験できることもそうですし、
非常に難しい疾患でもありますので、
経験値としてもやはり魅力的であると感じました。
ご興味ある方は是非情報とってみてください。
希少疾患(オーファン)系製薬会社への転職を考える人にオススメの転職サイト
広く浅くではありますが情報をまとめてみました。
ご参考になれば幸いです。
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