製薬会社は何故リストラを頻繁に行うのか?現役MRが解説します。

MRと早期退職

どうもこんにちは、現役MRのだいさくです。

昨今のニュースを見ていると、

製薬会社のリストラニュースはとても多いですよね。

これから、製薬会社に入ろうと考えている方や、

若いMRの方、そして、40代や50代のMRの奥様なんかも

製薬会社のリストラ事情は気になる所では無いかと思います。

私もこの業界に転職して10年が経ち、外資系メガファーマから、

内資系メガファーマ、そして現在はバイオベンチャーの製薬会社で働いています。

以前2018年は製薬会社のリストラが最も多い年になるといった事をこちらの記事で書きました。

2018年の製薬会社リストラまとめと世間の勘違いについて

今日はそんな私が製薬会社の内部から見て、

何故製薬会社はリストラを頻繁に行うのか?

それにはどんな理由があるのかをご紹介していきたいと思います。

ここ数年で大規模リストラを行った製薬会社




製薬会社は比較的他の業界と比較してもリストラの頻度が多いです。

こちらはここ数年間で大規模(ニュースになる程度)のリストラを行った会社です。

年度 社名 人数 対象 備考
2013年 エーザイ 45歳以上
2014年 第一三共 513人 全員 退職金最大72ヶ月分
2015年 GSK 不明 40歳以上(?)
2016年 大日本住友 295人 45歳以上 10年ぶり2回目
2016年 田辺三菱 634人 45歳以上
2017年 第一三共 約100人 部・課長職
2018年 MSD 250人 30歳以上 50歳以上は12ヶ月分上乗せ

一応ニュースや話題になったものだけを抜粋してもこれだけあります。

製薬業界は大体年に1回以上は大きなリストラをする会社があります。

年に1回はかなり多いです。

他の業界を全て合わせて、やっと年に1回くらい

大規模リストラがニュースになるくらいですからね。

そう考えるとやはり製薬業界はリストラのニュースは多いです。

ニュースにならない程度でもリストラや早期退職は頻繁に行っています。

下記は2015年度のデータですが、

人材の削減は一定数の会社で行っています。

※アンサーズより

リストラを公表する会社は一流企業ばかり

リストラは製薬会社では1年に1回以上のペースで話題になります。

他の業界でも話題になることはありますが、

それは一流企業がリストラをするから話題になるわけです。

「あの一流企業がリストラをする」だから話題になるので、

基本的にリストラを公表される会社は一流企業なのです。

だから製薬業界には一流企業が多いと言えます。

製薬会社は何故リストラを頻繁に行うのか?




では、なぜ製薬会社はリストラを行うのでしょうか。

そもそもリストラを行うということは、とてもお金がかかるのです。

リストラや、早期退職というのは上述の表を見ていただいてもお分かりになる通り、

退職金や退職にかかる費用も特別損失として計上されます。

そんな多額のお金がかかるリストラ、早期退職ですが、

実はリストラや早期退職を行う理由は一つではなく、いくつかあります。

製薬会社がリストラを行う理由①コンパウンド

コンパウンドというのはその会社が現在開発を進めている薬剤のことです。

まだ市場には出回ってないけど、今後出るかもしれない薬の事です。

製薬会社の生命線は画期的な新薬が有るか無いかです。

その新薬の候補であるコンパウンドが微妙だとリストラを行う事があります。

製薬業界は、ある意味では数年先の会社の状況が見える業界なので、

薬剤が市場に出る前からその会社が今後どうなるかというのが見える業界です。

逆にコンパウンドが良くて、社員を沢山採用したけど、

薬剤を上市してみたら微妙であったという場合にリストラを行うパターンもあります。

2018年度に話題になったMSDはこのパターンです。

製薬会社がリストラを行う理由②買収失敗

現在ある大手の製薬会社(ランキングに載ってくるような会社)の中で、

自社開発だけで生き残ってきた会社というのはありません。

自社で研究開発を行い自社の販路だけで生計が成り立つほど甘く無いのです。

そのため製薬会社は高頻度で買収を行います。

買収を行なって会社がもっと成長する事もあります。

沢山の具体例はあると思いますが、

例えば、イーライリリー社が10数年前に買収した、

イムクローン社は、確か、2〜3千億で買収しましたが、

イムクローンから出てきた画期的な新薬というのはサイラムザを含めて、

3製剤ほどありますし、

その製剤が今でもイーライリリー社の屋台骨になっています。

しかし、第一三共のようにインドの製薬会社の買収に失敗する例もあります。

巨額の損失になりましたし、

その買収失敗のために2014年、2017年にリストラが敢行されました。

買収ははっきり言ってその会社のBD(ビジネスデベロップメント)の

手腕が発揮されるところです。

買収の力によって会社がリストラを行うかが決まってくると言っても過言ではありません。

製薬会社がリストラを行う理由③働かないおじさんを切りたい

基本的に製薬会社がリストラを行うのは、コンパウンドや買収が失敗したなどが多いです。

しかし、その根底には働かない年配者をリストラしたいというのは往々にしてあります。

このイメージが製薬会社=リストラというイメージの一旦になっているかもしれませんね。

当ブログでも書いていますが、MRとして働く事のメリットは沢山ありますが、

唯一の大きいデメリットはキャリアの選択肢が無いのです。

MRは80%がMRで終わっていくというデータがあります。

そのため仕事に飽きてしまうのです。昔はバリバリ仕事していた人も、

やがておじさんになると仕事に飽きてしまうのです。

やる前からその仕事がどういう仕事か分かっているので、若手ほどやる気が無いのです。

でも緩やかな会社はそんなおじさんにも優しいので

どんどん腑抜けた人間を作ってしまいます。

しかし、いざリストラになった時に対象となるのはほとんどが45歳以上です。

会社としては働かないおじさんを切りたいのです。

これは外資系メガファーマのあるあるで、おじさんをリストラした、

数ヶ月後に募集がかかって、対象は若手の人材を募集するという事です。

仕事に飽きてしまったおじさんは切りたいけど、

バリバリ働いてくれる若手は取りたいのです。

製薬会社がリストラを行う理由④選択と集中のため

選択と集中。これは昨今よく叫ばれるようになった言葉であり、

僕としては非常に酷い事だと思っています。

この選択と集中に関しては、研究拠点のことを指す場合が多いです。

研究拠点を1つや2つに集中させることにより、

いらなくなった人材を子会社に転籍させたり、

希望してない人材を海外拠点に左遷させたりする事を

「選択と集中のため」という都合の良い言葉に変えているのです。

子会社に転籍というのは事実上は会社が変わるので、

社会的には転職と似ています。

その会社を退職しなければなりませんし、

事実上の解雇です。

記憶に新しいところで武田薬品がこの手法を使っていますね。

武田薬品はこの子会社転籍をよく使っていて、

早期退職というのはそこまでやってません。

その代わり子会社転籍や、僻地へ飛ばす事によって、

人材の入れ替えを図っているように見えます。

まぁこの選択と集中は武田薬品に限らず内資系でよく使われる手法であると思います。

製薬会社のリストラ対象はプライマリーの男

今までは年間1000億円売れる薬を1000人+コプロで行ってました。

そういう時代は10年前から終わっています。

私は当ブログを運営してる関係で、転職エージェントの方と話す機会が多くあります。

現状一番相談案件として多いのがプライマリーMRからのスペシャリティへの転職です。

はっきり言って遅いです。

現在はMRの転職市場は完全に買い手市場です。

それでも、オンコロジー、CNS、希少疾患の経験者だけは、

まだかろうじて重宝されています。

それでも、かろうじてです。

そんな状況の中でプライマリーしか経験してない人のチャンスは厳しいです。

これはどのエージェントも口を揃えて言います。

プライマリーの時代はとっくに終わっています。

これがまだ20代であれば良いですけど、

30代後半でプライマリーの経験しかしてないのは本当に厳しいです。

それで英語も勉強してませんというのは、

やっぱりリストラの対象ど真ん中です。

最後に

いかがでしたでしょうか。

製薬会社はリストラのイメージがあるかもしれませんが、

私がMRになった10年前もリストラしてる会社は沢山ありましたし、

それは今に始まったことではありません。

ただ、昨今ではリストラする理由というのも変わってきています。

まぁどの業界であれ会社で働くということは、

会社やその業界が求めているような人材に自分から変わって行くというのは、

とても大切なことです。

楽では無いですけど楽しんで変化して行くと良いんだと思います。

お互いに頑張りましょう。

では!




コメント

  1. 独身MR より:

    最近発表されました、日医工へのエルメッド譲渡に関しての見解をお聞かせ願えますか?
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180328-00000069-reut-bus_all

    私としては、GEに関しても本格的に企業の絞り込みがスタートするなと感じております。
    先般、田辺三菱が田辺製薬販売をニプロに譲渡したことからも分かるように、先発企業ではGE部門がもはや不採算部門なのだなと。
    AGがここまで台頭してしまうと、AGを売れないメーカーは余程の納入価格を提示できない限りは全くメリットがなく、今まで国の政策でイケイケだったGEも完全に踊り場ですね。

    若い方でもGE企業から先発企業に転職するのは非常に厳しい背景もあるので、それこそ入る企業はどこでも良いわけではないと感じています。

    • 大ちゃん 大ちゃん より:

      独身MRさん

      こんにちは。
      自分はあまりGEとかAGに関してよく分かってなかったんですが、
      今回コメントをいただいたことで調べて見ました。
      とりあえず少し記事にして見たいと思いますので、
      少々お待ちいただければと思います!

      だいさく

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