セルソースの株価がやばい!「保険診療を目指さない」は成功するのか?

セルソース

どうもこんにちは、だいさくです。

皆さんはセルソースという会社をご存知でしょうか。

2019年10月28日にマザーズに上場したのですが、

公募価格が2,280円だったのですが、上りに登って、

2019年11月初旬現在で、8,790円まで上がっています。

セルソースの株価がやばい!「保険診療を目指さない」は成功するのか?




このセルソースのコンセプトの一つとして「保険診療を目指さない」というのがあります。

今後高齢者が大半を占めることが確定しているこの日本において、

2025年頃には医療費が70兆円と、

現在の約42兆円から大幅に増加する事が見込まれております。

実際薬局の処方箋の枚数は増加の一途をたどっています。

しかし、薬価ベースではどんどん削減されており、

こちらの記事でも書きましたが、

処方数は増えるが、薬価はどんどん下げられており、

年々数百億単位で薬価下げが実施されております。

いわゆる製薬会社が儲からない様な仕組みが今後も続いて行くことが予想される中で、

「保険診療を目指さない」というのは、

この製薬業界で働く僕自身にとってはとても斬新であると感じる一方、

ん〜なんか怪しい??とも感じてしまいます。

ただ、僕の感覚とは裏腹に、世間はかなりセルソースを評価していることは、

冒頭の株価でもお伝えした通りです。

セルソースの役員に医薬系人材が全くいない

混沌とした業界や環境を変えるのは、

いつも総じてその業界を知らない人だったり、

凝り固まらない発想を持っている人であると言いますが、

セルソースという会社のびっくりすることとして、

取締役にこの製薬業界の経験者がいないのです。

興味ある方はHPの役員紹介をご覧いただければと思いますが、

社長の裙本(つまもと)さんも商社系のご出身です。

他の役員の方も証券会社の方など、

製薬業界どころか、化学系出身者の方もいらっしゃいません。

この辺の体制が今後どうなるのかはわかりませんが、

彼らのビジネスに関してはこの株価が示す様に非常に巧みだと思いますので、

その辺が2015年に創業し初年度から黒字化を達成、

時価総額200億近いところまで最速で持っていくことができた要因ではないかと思います。

セルソースの手がける再生医療とは何か?

では、セルソースの手がけるビジネスは何か?というところですが、

再生医療の分野になります。

特に特化しているのが、PRP療法でPFC-FDというものを用いた再生医療で、

これは仕組みは非常に簡単なのですが、

PRP(Platelet Rich Plasma)は多血小板血漿と言われており、

血小板を濃縮した血漿のことを言います。

血小板には、ご存知の通り、

創傷治癒や、組織再生に効果的な成長因子が多く含まれており、

そのPRPを局所に移植することによって、組織再生が促進されることから、

再生医療の分野でも非常に注目されております。

セルソースは、患者本人から採取したPRPの受託事業を行なっている会社です。

患者本人から採取したPRPを、セルソースの再生医療センターに配送します。

そしてそのPRPを活性化させ、さらに濃縮したものを無細胞加工した後に、

フリーズドライしたPFC-FDを用いて治療を行います。

簡単にお伝えすると、患者本人からPRPを採取し、

それをもっと濃縮させ活性化させ、

元々の機能である、組織再生の機能をさらに強める事ができる技術を提供している会社です。

PFC-FDはどんな疾患にどの程度の効果があるのか?




セルソースの提供するPFC-FD療法ですが、

投与までの流れとしては、下記の様になります。

患者の静脈より血液を49ml採取(49mlは大体ヤクルト1本分より少ないくらい)

専用キットを使い、セルソースの再生医療センターに配送
大体3週間程度で作成可能

作成されたPFC-FDを当該患者に注射。入院、手術は不要。

この様な流れになります。

現状では、スポーツ選手の怪我、特に半月板損傷などの治療に使われております。

PRP療法自体が欧米もで主流担っており、

僕は野球やっていたのですが、大谷翔平選手も肘の治療をこのPRP療法で行なっております。

田中マー君もPRP療法を使っているんですよね。

なのでスポーツ選手の予期せぬ怪我には手術も必要なく、

基本的には自分自身の治癒力で治す事ができるためその出番はとても多い様ですし、

一定の効果が得られており、ある程度のコンセンサスが得られている治療法であると考えられます。

ちなみにセルソースのPFC-FDは全て保険適応外の治療になります。

セルソースのキーはOA(変形性膝関節症)

またOA(変形性膝関節症)にも用いられている様ですが、

症例報告ベースの報告はいくつか見つけられましたが、

しっかりとした大規模臨床試験の様な結果は僕自身は見つけられませんでした。

またOAのガイドラインにも記載はされておりません。

OAの患者数は潜在的な患者数も加味すると800万人程度と言われており、

今後の高齢化も考えると非常に大きな市場になるので是が非でも取っていきたい市場だと思います。

しかし、前述の通り、この治療法は保険適応外で、自由診療となります。

値段は各医療機関で設定しておりますが、

15万円から20万円程度になります。

確固たるエビデンスがない治療であり、

実際スポーツでの怪我と比べると、OAの領域では効果のある人と無い人がおり、

決して夢の治療では無いと思います。

しかし、医療機関(特に整形外科の開業医)の宣伝文句としては様々で、

これが第一選択であるかの様に謳っている医療機関もあれば、

あくまで標準治療に抵抗性の患者さんだけという風に謳っている医療機関もあります。

セルソースはビジネスがとにかくうまい!

冒頭にもお伝えしましたが、

日本の医療制度というのはこれまでの様な手厚い状態を維持することは難しく、

患者は増えてくるが、

製薬会社を含め医療機関側もそこまで儲からない様な仕組みになってきております。

保険診療よりは自由診療にスイッチした方が今後は儲かると考えている、

医療機関も多いため、医療機関側もこの自由診療で、

投与も勘弁で仕組みがしっかりしているPFC-FD療法を取り入れることは魅力的だと思います。

再生医療は医療機関が認可を取るために厚労省への申請、届け出た必要になるのですが、

当然めんどくさい様で、

つい先日もその申請を怠っていた大学が処分を受けたニュースがありました。

しかし、セルソースは医療機関に対して、その申請・届出の手続きを、

セルソースが代わって行なってくれるサービスも提供しています。(恐らく無料です)

人工関節トップメーカーのジンマー・バイオメットと再生医療ベンチャーのセルソースが再生医療の新事業を開始

医療機関側にとってはやる理由しかない

なので、多くの整形外科のクリニックにとって、

このPFC-FD療法を取り入れることは宣伝にもなるし、

めんどくさい申請や届け出はやってくれるのでやらない理由がなくなってきてます。

しかも、PFC-FD療法を行うにあたって必要な検査に関しては、

保険適応内です。

自由診療で高額といっても15万円程度ではあるので、

手がとどく額ではあります。

この辺はセルソースが展開するビジネスは非常に巧みですし、

「保険診療を目指さない」というのも納得感があると思います。

怪しさは若干つきまとう

ただ、データ構築が不十分であることや、

今後美容の領域にも踏み込んでいきそうなので、

僕の頭が硬いのかもしれませんが、どうしても若干の怪しさは感じてしまいます。

これまでは、自分が受ける医療はお医者さんのいうことをしっかり聞いていれば、

最善の医療を受けられる時代だったと思いますが、

しっかり情報を精査し自分で納得して受ける医療に変わってくるのかな?とは、

個人的に思いました。

ただ、再生医療は今後も非常に注目されておりますし、

血液癌の領域では適応外でもしっかりガイドラインに記載されたりするので、

OAの評議員の方もその辺は意識しても良いのではないかと感じました。

「保険診療を目指さない」というのは、

一定の納得感があると思いましたが、

今後のセルソースの動向にも注目したいと思いました。

以上になります。

ではまた!




 

コメント

  1. saisei より:

    いつも楽しく拝見しております。
    セルソースが売っているPFC-FDとPRPは異なります。
    PRPは再生医療法下になりますが、PFC-FDは再生医療法外になりますので届出等は不要です。
    また、ジンマーのサービス有料です。
    PRPは既に美容で大分前か、行われております。

    色々と指摘してしまい申し訳ございません。
    セルソース社に関してはとても素晴らしい会社ですが、PFC-FDに関しては誤解している方が多いのでご連絡しました。

    • 大作 大作 より:

      とても貴重なコメントをありがとうございます。
      それなりに勉強したつもりではあったんですが全然分かってなかったと反省しております。

      ちなみに、PFC-CDは再生医療ではないとすると、なぜジンマーのサービスと提携したのでしょうか?
      あまりセルソースにとってメリットがないと感じたのですが。。

      PFC-CDに対して誤解しているというのは、ちょっと怪しい感じと思ってる人が多いけど、
      実際はそんなことないよ〜という感じの会社でしょうか。。。

      逆に質問ばかりで申し訳ないです。

      もし可能であれば教えてください!!

  2. Ntk より:

    こんにちは。セルソース がジンマーバイオメットと提携したのは、脂肪由来培養幹細胞を整形外科領域で広めるためです。元々、PFC-FDも脂肪由来培養幹細胞も美容で販売していました。彼らの技術、売り上げのベースは培養技術にあります。

    • 大作 大作 より:

      そうなんですね!
      ちょっと勉強不足すぎて恥ずかしいです。

      ありがとうございます。
      しっかり勉強いたします。

  3. saisei より:

    セルソースはジンマーが販売しているPRP作製キットを使って施術が出来るようにする為、法律的な手続きを代行してます。
    自社販売のFDとジンマーの書類代行をしており、お客さんが被るので、若干利益相反?みたいな感じですね。

    • 大作 大作 より:

      すいません、貴重な情報を本当にありがとうございます。
      マジでもっと勉強しないといけないと反省しております。
      ありがとうございます!

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